2012/2/21

ところでテンプレで語ることを抜け出すにはどうすれば良いかという話

大企業に就職する、ベンチャーに転職する、公務員になるべく国家試験を受ける、スタートアップに挑戦する、研究者として活躍する、社会起業家になる、フリーランスとして独立する、MBA取得目指して海を渡る、田舎に引っ越して田畑を耕す、趣味を極めて教室を開く、リゾートのビーチでノマドする、あと何かありますかね。楽しそうなテンプレを列挙してみました。うん、楽しそうです。なんか別にそういう選択肢の中で自分にフィットするものに巡り合って、そこで充実した毎日を送れれば幸せそう。

無理に新しい形態作ろうとしなくても良い気がしませんか。今や世にはたくさんの生き方が溢れていて、その中から取捨選択するだけでも大作業になると思いますし、仕事って経済合理性だけじゃないけれど、どういう働き方が豊かかって最終的にわからない世の中ですし、世の趨勢うんぬんよりも個人的なマターだけで十二分にどうにもならない気もしますし。

じゃあ何が問題なのか、テンプレで語ることの何がいけてないかと考えてみますと、「経験していないことをテンプレで語ることが陳腐」なんじゃないかと思うのですよね。だって、僕みたいな人に「会社で働くことの意義」とか、とうとうと語られても、何言ってるのアナタ、みたいな話じゃないですか。新卒での就職もしてないし、企業で働いたこともないし、サラリーマンやったことないし。

テンプレで語るってのは知識ベースで話すってことで、先人たちの話聞いて面白いや、と思えるのはその話が経験ベースだから、ってことなんじゃないですかね。だからこれこれはこうあるべきだ、という話にも説得力が出てくるんだと思うんですよね。

だから、サラリーマンがフリーランス語ってもイマイチ説得力ないし、フリーランスが農業語ってもイマイチ説得力ないし、公務員が研究者語ってもイマイチ説得力ないし、まあ経験してないことだから当たり前なんだけど。

つまり「経験してないこと経験則がないことはテンプレ化して語らざるを得ない」ということですよね。おそらく。それで議論ぶつけようとすると野次大会にしばしばなりがちで。

とは言え、フリーランスやりながら、田畑を耕すって今の僕に取っては難しいことだし、とは言え、関心はあるし、何かしたいし、じゃあどうすれば良いかというと、体験してみるしかないですよね。現場に行って、そこのプレイヤーの話聞いて、風景眺めて、仕事ぶりを観察する。そういう時にわずかだけれど、主体の移動ができる。

会社員の人は会社員とは言え色々だと思っていると思うし、フリーランスはフリーランサーとは言え色々だと思っていると思うし、農家さんは農家とは言え色々だと思っているはず。なんだけど、むこう側を知識だけで語ろうとするとテンプレで語っちゃうことになるだろうと思うんですよね。こちらも色々だったらあちらも色々だということは、何となくイメージできるはずなんだけど。なんか外交問題みたいになって来たな。ああでも、このトピックって異文化交流とか、そういう類の話なのかも知れないですね、働き方の文脈で。

そんなことはET Luv.Lab.やってても感じる気がします。デザイナーと言っても色々、エンジニアと言っても色々。取材ってやっぱり大事で、その人の経験則をなぞることって、それはかなり「バーチャル」なことではあるんだけど、でも大事。

とすると誰にフォーカスするかって大事で、でもそれは身近な人の方が良い気がしますよね。誰でも知ってる誰かより。きちんとトラックできる近辺の人。僕はソーシャルメディアがメンターだ、みたいな話は行き過ぎていると思っていて、それより良い友達とちゃんと付き合ったほうが良い気がします。

まあだから、僕もここに到るまでに、陳腐なテンプレ論をいくらかは展開してきたのだろうな、と思うのですが、やっぱり色々なことを経験することが大事だし、そういう一次体験をできるだけ自分のビジネスのエッセンシャルなところに持っておくことが、僕みたいなフリーで客商売で仕事していくには、大事なんじゃないかなと思ったのでした。

加藤 康祐 / 企画・設計

プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。

加藤康祐企画設計

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