良い仕事はワーク・ライフ・バランスから作る
「ワーク・ライフ・バランス」などという言葉を使ってしまうと、何だかそれなりに聞こえてしまうところが怖いところですが、そんなにいつも帳尻合わせをしているわけではなく、例えばすごくわかりやすい例で言うと「寝食を忘れる」ほどには仕事しない、というのがあります。日の出前から仕事しようが、週末も仕事しようが、とにかく寝ることと食べることは削ってません。それすごい単純な話ですが、僕にとっては結構大事なことのような気がします。この7年間、仕事で徹夜、してません。
客商売はカツカツでやっちゃ駄目だと思う。あらゆる意味で。だから自分に常にゆとりを保持できる状態でしかやるべきではなくて、できる限りそうできるように仕事を作るべきだと思う。
今日こんなことを書きました。僕の場合、カツカツでやっていた時期、というのも人生の中にはあるんですが、こと独立して自分のお客さんを持つようになってからはカツカツ感は皆無です。で、そういう時期を否定するつもりはないんですが、ある意味、カツカツ感のある中で良い仕事をしていけるほど、自分は器用じゃないな、と思っちゃったんですね。今だって忙しい時はあるけれど、でもカツカツにはならないようにしています。
じゃあ、カツカツじゃない状態って何ですかというと、有り体に言えば、「心身ともにゆとりがある状態」だと思います。「ワーク・ライフ・バランス」って何のためにあるの?と考えると、僕は「心身ともにゆとりがある状態」をどうやって生み出して、維持していくか、ということだと思っていて、まあただ、さすがに客商売をやっているからと言って、お客さんのために「心身ともにゆとりがある状態」を作らないといけない、みたいに話ぶっ飛ばすつもりもないです。
客商売やっていると、というかほとんどの商売って人付き合いだと思いますから、色々な思いが生まれます。良いこともあるけど、悪いこともある。それは単純にコミュニケーションの問題かも知れないし、要件や状況に無理があるのかも知れないし、もしかしたら自分のポリシーに則さない、反するというところに何がしかのやり切れなさが発生するのかも知れない。「仕事楽しい」とは日々言っているつもりですが、そういう辛い部分が全然ないのかというと、それはまるで嘘になります。
ただ、そういうある種の負の感情が発生する時に、それをある程度、吸収してバッファを持たせるのが「心身ともにゆとりがある状態」なのではないかと思います。切羽詰った状態でそういうことになると、負の感情ってどんどん鬱積してしまうと思うんですよね。仕事だから綺麗事だけでは回らないし、客商売だからお客さん本位なわけで、喧々諤々やるべきところはやるべきなんだけど、状況を打開したり、難題を突破したりするには、ある種の辛抱は必要不可欠だと思っていて、まあでも自分が辛抱すればそれで済むような問題は、十二分に許容範囲で、とりあえず、自分にゆとりがあれば、ある程度は吸収できるもんではないかと思います。
日々淡々と仕事していくためには、仕事は怒ったもん負けだと思います。
お世話になっている営業畑の先輩とお話ししていると共通しているなと思うのが、「お客さん好きじゃないと始まらないよね」ということです。当たり前って言えば当たり前なんですけど、やっぱり一緒に仕事したいとか、仕事上尊敬できるとかの、本当のベースラインってまずそこじゃないかと思います。別に「好きで好きでしょうがない」とまで行かずとも、ある意味、仕事の工夫って、お客さんを好きになる工夫、お客さんに好きになってもらう工夫、のようなもので、やり方は色々あるとおもうんですけど、そこベースで仕事って組み立てられてないとなんか違和感あるし、どんなにコテコテの工夫でも、そういうものって、というかそういうことこそが大事なんだなあと割と素直に思えます。
それでもうまくいかないこともあるんだけど。
だから最初の話に戻ると、ワーク・ライフ・バランスを取りながら仕事をしていくことってとっても大事なことだと思っていて、特にせっかく個人事業主なんだから、モチベーション的にも予算的にもスケジュール的にも、そういうお互いの関係性の中に極力無理が発生しないように仕事を作っていく努力、というのもまた、大事な仕事の工夫の一つなのではないかと思っています。
より良いパートナーシップを中長期的に継続していくために、どういう風に仕事を形作っていくべきなのか?どう仕事を取るとか、どう仕事を受けるとかいうことと同等かそれ以上に、どう仕事を形作るかということを関係性の中で考えていくのが、それこそ僕みたいな規模感の仕事にあっては「戦略」ということなのだろうなあと思います。
せっかく仕事するんだから、「これからも」って言われたいじゃないですか。

加藤 康祐 / 企画・設計
プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。
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フリーランスとして働き始めるってどういうことだったのか?フリーランスとして働くってどういうことなのか?フリーランスが目指すことってなんなのか?5年間の自分の経験から書きました。(2010年執筆)