2011/8/8

ネットが未熟なこと – コンテンツはキングになるのか?

Crowsnestを観ていたら、昨日ちょっと面白い記事を拝見しまして、ああこれは紛糾するだろうなと思っていたら、案の定、そのようなんですが、こんな記事です。

ソーシャルの次の時代、「フリーミアム」が終わり「コンテンツがキング」になる【湯川】 : TechWave

さて、ちょっと離れたところから話を始めてみますが、音楽産業ってコンテンツ産業の中でも、最初にデジタル化の荒波に晒された業界ですよね。「村井純さんのせいで、CDが売れなくなった」、というのは笑い話ですが、僕も音楽業界の人にインタビューしてその辺の話は少し聞いていて(触りだけですけど)、だから360度マーケティングとかイベントベースの収益体制になっている。AKB48のWEBサイトとか見ると圧巻です。よくぞまあこれだけたくさんサブパラグラフをブチ上げてるなという感じで、ああ、360度ってこういうことかあ、と思うわけですね。

僕はパトレイバー、特に押井守さんが監督した『劇場版パトレイバー』が好きなのですが、あれってメディアミックスの走りですよね。漫画があって、TVシリーズがあって、映画があって、OVAがあって、という。ゲームもデバイスごとに出すだけじゃなくて、シリーズ化されて、ないしサイドストーリー的なタイトルやRPGのシミュレーションゲーム版出したりとか。そういう動きは90年代からあったわけです。

ここで今と昔を比べると圧倒的に何が違うかって、コンテンツのコンテクスト化にユーザが積極的に関与しているという点だと思うんです。昔はコンテンツをある意味マルチユースすることでバリエーションを作って相乗効果を出していた。けれどもAKB48というコンテンツをメディアとして、ソーシャル・リアル併せて様々なコミュニケーションが行われ、それはCtoCのみならず、BtoCのコミュニケーションまでを巻き込んでAKB48という一つの文脈=コンテクストになっている。そしてコンテンツそのものだけでなく、それが生ずるコミュニケーションがビジネスを生んでいる。

ちょっと乱暴な話ですが、でもそう考えると僕はソーシャルの次はコンテンツがキングになるというのは発想として真逆じゃないかと思っていて、ソーシャルや自由な課金のシステムでコンテンツがキングになるっていうのは、すごい「点」の議論だと思うんですよね。WEBサービスもフリーミアムということが言われて、ようやく「線」の議論になってきた。そこでまた「点」に戻るのかという気がします。

例えばリンク元のTechWaveさんでも、セミナー、勉強会、ツアーで事業が成り立っていると書かれている通り、TechWaveというコンテクストができあがってきたわけですよね。

僕はネットって「コンテンツに対して未熟」だと思っていて、それは「コンテンツが未熟」なんじゃなくて「コンテンツへの対し方」が未熟だと思っていて、そこは他の元々のコンテンツ産業の方が一日の長があって、そういう人達はネット「も」うまく使っているんだと思うんです。ソーシャルゲームしかり、広告プロモーションしかり。

ネットのビジネスモデルは「フリーミアム」しか成立しない

ネットを使って成立しているビジネスモデルは山ほどあるのに、ネットのビジネスモデルは「フリーミアム」しか成立しない、って言ってしまうのは、可能性の芽を摘んでしまうことになりませんか。僕が記事につけたコメントはこれです。

コンテンツがキングというのは僕の世界観とは真逆かも。これからますますコンテンツのメディア化が進んで、それがコンテクストの中の一部になっていく、そのコンテクストのベースになるのがソーシャルを始めとするミニマムなコミュニケーションで、コンテンツはますます媒介役になっていく、というのが考えていること。むしろ社会情勢の変化、経済や政治がソーシャルの次をもたらす。というかもうなってきている。で、そういうコンテクストにおけるコンテンツがモジュール化されていっても、それはコンテンツの品位を貶めることにはならないという認識。

敷居の低い業界に、割と低いコストで、割と気軽に参入できたのが僕らの世代。だけれども、今はもうそういう時代でもなくなっている気がします。だとしたら、僕は若い人達にもう少し広い視野でネットの持つ可能性を提示してあげられる方が、ネットを志す人達にだってもっと励みになるんじゃないか、と思ったりしたのです。

なんかもうネットのビジネスとか思わないで、Google+よろしく、ビジネスだって「サークル」みたいに捉えて語った方が良い時代な気がしますね。

加藤 康祐 / 企画・設計

プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。

加藤康祐企画設計

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