2006/12/5

FONで我々の世界は変わるか?

GoogleがYouTubeがMixiがSkypeが我々の世界を少しずつ変えています。FONは我々の世界を変えるでしょうか。FONは無線LANの共有サービスです、と言ってしまえばそれまでですが、我々の世界を変えるパワーを秘めているようにも思います。

無線LAN共有サービスの「FON」が日本上陸–ルータの無償配布も – CNET Japan

母体となるFON WIRELESSは2005年11月にスペインで設立されたまだ若いベンチャー企業です。1980円のルータを購入し、家のネットワーク接続をFONユーザに対して開放することで、FONEROになることができます。FONEROには三階層があります。

ルータを購入して自宅に設置し、アクセスポイントを無料で開放するかわりに、他のユーザが開放しているアクセスポイントを自由に利用できる「Linus」。ルータを購入して自宅に設置し、アクセスポイントを有料で開放する代わりに、他のアクセスポイントの利用が有料の「Bill」。ルータを購入してアクセスエリアを開放するのではなく、有料でアクセスエリアを利用する「Aliens」。日本ではまずはネットワークの拡大を目的に「Linus」を募集してサービスの拡大を図るようです。

FONの特徴は分散化でしょう。Skype=通信リソースの分散化、オープンソース=人的リソースの分散化、そしてFON=WiFi接続の分散化です。大手プロバイダが都心にアクセスポイントを整備するのに四苦八苦しており、またユーザもあまり食いついてきていないところを見ると、格安のルータを買ってもらって、個人のアクセスポイントを解放してもらおうというFONの試みは非常に野心的に思えます。

FONがただのサービスではなく、ユーザ参加のソーシャルアクトであるという点も見逃せません。大手プロバイダがインフラに過剰なコストを要求するのに対して、FONでは入り口の1980円のルータ代だけ払えば、世界中のFONEROとネットワークを共有する環境を即座に構築できるわけですから。

僕は東戸塚の山奥に住んでいるわけですが、コペンハーゲンに行っても、デュッセルドルフに行っても、そこにFONユーザのアクセスポイントがあれば、気軽に無線LAN接続できてしまうわけです。FONユーザは全世界で約16万8000人、現在中国と韓国を中心にアジア圏でのユーザが急増していると言います。

僕が学生であれば、ブログ連動アジアのFONアクセスポイントを巡る旅なんてのやってみたいなあ。きっと面白いことができそうですよね。ノートパソコン持って歩かなくても、ソニーのMyloなんかを持って歩いて、Skype電話して、ブラウザでブログを更新なんてのもできるわけですから。日本国内に限ってだと、W-ZERO3ユーザにも福音になるかも知れませんね。

しかしFONの最大の味噌は、皆で公共のインフラを作り上げるという「お題目」が掲げられてることのように思います。1980円で参加できるソーシャルアクトってお気軽で良いと思うし、困った人を助けるみたいな強烈な使命感に拠るものでもなく、何となく緩く繋がれるといいなあ的なアンニュイ感が時代の空気にもマッチしているように思います。

ECO RESONANCEの記事でも書きましたが、高潔な精神を振りかざすのではなく、参加する人へのインセンティブをきちっと明示して、その上で「社会性もあるアクティビティだよね」、と思えるのがFONプロジェクトの素晴らしいところではないでしょうか。

1ユーザとしてのFONのサービスへの期待と、ソーシャルアクトとしてのFONの社会へのインパクトへの期待と、両方入り混じっているFONEROとして迎える初日です。

加藤 康祐 / 企画・設計

プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。

加藤康祐企画設計

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