2010/8/2

電気自動車と電子出版の2年目に期待する #evtna

ちょうど電気自動車やら電子書籍やらの話に去年くらいに興味を持ちまして、電気自動車は週末に参加した日産 the new action TOURで色々な方と意見交換をする機会を持てましたし(LEAFにも乗った!ペーパードライバーなので、運転はしてもらったけど)、電子書籍に関してはご存知パブーで、細々とですが実際に出版してますから、そろそろこの2つを並べて考えるのも趣向としては面白いんじゃないかと思った次第。

プラットフォームについて

電気自動車への変化にしても、電子書籍への変化にしても、大きなパラダイムシフト(死語?)には違いないと思います。そして、双方ともプラットフォームは重要な位置をしめそうです。それは販売のプラットフォームであり、流通のプラットフォームであり、利用のプラットフォームであると。一見すると、電子書籍は割かし舶来の品にオロオロしてて、電気自動車は積極的に取り組む構えを見せているような気もしますが、車もインド・中国がこのタイミングで強烈な追い上げをかけてくることを見越しているでしょうし、グローバルな変化に伴っての追い立てられ感というのは実は結構同じ性格なのではないかと思ったりします。

単価について

ここは大きな差異だと思うのですが、電子書籍は安く、電気自動車は高いです。でも考え方を変えると、日本の電子書籍は「高め」ですし、日本の電気自動車は「高め」という意味では一致していると思います。つまり価格設定が現状の産業構造に変化を与える、というラインはこのタイミングでは超えようとしていない、という感じがします。

産業構造の変化について

出版社と車メーカーの数を比べると、プレイヤーの数は圧倒的に出版社の方が多いです。一方でどちらもその下にピラミッド構造を抱えていることは確かです。電気自動車に関しても、電子書籍に関してもそのピラミッドの再定義や再構築が必要になって来ると思います。販売というところだけに目を置いてもディーラーはどうなるのか、書店はどうなるのか。製造を考えればもっとドラスティックな変化が必要そうです。電気自動車や電子書籍の普及には、インフラが整って、モノが売れることも勿論ですが、業界の体質のメタモルフォーゼがどのように進展していくか、ということも大事なポイントなのではないでしょうか。あまり1ユーザが心配することでもないのかも知れませんが。

異業種参入の可能性について

僕が電子書籍を出版したパブーはペイパーボーイという会社が運営しています。いわゆるネット企業、なんだと思います。出版という意味においては異業種参入組です。僕は電子書籍という分野において、異業種から新規に早期に参入業者が出てきたことは、評価するべきポイントだと思います。「個人で電子書籍を出版できる時代」辺りにまとめてますが、今後ますます期待しているサービスです。自動車業界も特に中国やインドの会社などは元々からして異業種参入組なんだというのをテレビで見ました。以前、「電気自動車とそれに伴う世界の変化について考える」という記事を書いていますが、村沢氏の言う「ビッグスリーからスモールハンドレッドへ」というのはまさしくそういう話ですよね。国内でもそういう取り組みは事例としてニュースなどで紹介されていますが、大企業と渡り合える企業が現れて、パワーバランスを崩すまでに行かずとも、選択肢が多様化したり、価格が適正化したら良いですね。

ガソリン車はなくならない、紙の本はなくならない、論について

よく音楽業界の話が引き合いに出ますが、なくならなくても割合がシフトするだけで、十分その業界に与えるインパクトはでかいんですよね。ゼロになるかならないかということはあまり意味がないと思っていて、ただ世の必然であれば重点はあっという間にシフトしちゃうんじゃないかと思ったりしています。

元年であることについて

一番の共通点はお互い元年と言われたことでしょう。そして、お互い大いなる可能性を秘めているフロンティアであると。とは言え、なかなか元年は元年以上に成り得ないのも事実かと思います。いよいよ面白くなってくるのは、2年目、つまり来年からじゃないでしょうか。サッカーの本田選手も言ってましたが、試合のためにできることは十分な準備、なわけで、今プレイヤーがどんな準備をしているのかを観察しつつ、来年に思いを馳せてみると楽しいんじゃないでしょうか。というわけで、僕は2年目に期待しているわけですが、同時に年内のプレイヤーの動きを観察するのも同じくらい楽しみにしているんです。

まとめますと、両方共に言えるのは、自動車、ないし、本、というものの変化を超えて変質になるんじゃないかなあと思います。すごくすごく大きな体質や性質の変容になるんじゃないかと思います。モノが変わることによってそれを取り巻く色々なことが変わる。そういう意味で新しもの好きの僕としてはワクワクしています。勿論、ポジティブなことだけではないと思いますし、むしろ大きな痛みがそこかしこに生まれてくるのかも知れません。一方で、今回の2つは言わば世の必然で、不可避には違いない、という確信は持っています。ですから、これらの推移を見守ることって、為替や株価を見守ることより、よっぽど大事な観察のポイントになって来る気がします。

加藤 康祐 / 企画・設計

プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。

加藤康祐企画設計

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