2009/5/11

テレビ局オンデマンドについて思うこと

映像というもののWEBへの親和性というのを10年前は皆疑ってたように思いますが、YouTube然り、そんなことは全然なくて、すっかりWEBで動画を観ることが一般的になりましたね。NHKを初め、民放各社も「~オンデマンド」に取り組んでいますし、最近じゃデジタルテレビで直接コンテンツ購入できたりするみたいですから、むこう10年くらいで色々あり様が変わるのかも知れません。

以前にも書いたと思いますが、予算的コスト、時間的コスト、人的コスト、という意味で、やっぱりテレビというメディアが作るコンテンツというのは、「誰しもがコンテンツを作れる時代」においても、プレゼンスを発揮し得るものだと思います。それに甘んじてもいけないわけだけれども。

ただ、思うのは「~オンデマンド」というサイトを作ってみても、そこに日常的に滞留するユーザって少ないんじゃないかと思うのですよね。例えばNHKマニア、みたいな人がいればNHKオンデマンドにいるだけでワクワクするのやも知れませんが、多くのユーザにとってそうじゃない。

YouTubeへのアクセスで僕が一番多いパターンは、誰かがブログで紹介していたものを観る、それでYouTubeに移動して、関連する動画も観る、というようなフローです。

テレビ局の「~オンデマンド」的なサービスを見ていると、それはしばしば「パビリオン型」で、そこに行けばそれなりのレコメンデーションとかあるのだけれども、そもそもそこを訪問する動機付け、フックになるものが普通に生活していると、ない。

極論言いますと、例えば先日注目した坂口恭平氏に興味がある時に、「坂口恭平」でテレビ局の動画サイトで検索かけると、関連した動画が見れるとか。NHKオンデマンドで「司馬遼太郎」と検索をかけて、『街道をゆく』が出てくるのはいい線言っていると思うのだけれども、「白洲次郎」で検索かけても、何も出てこないとか。

YouTubeで「Theo Jansen」と検索かけると、Theo Jansen氏の作品が実際動いている映像が見れちゃったりするわけじゃないですか。そういう体験って、発想の連想性という意味でとっても気持ちが良いことで。

ただそれは、極めて断片的な情報で、体系的にそのことを知りたいってなると、やっぱりメディアが作ったオフィシャルなコンテンツでしっかり見たいという気持ちにはなるんですよね。いくら無料で手に入る断片的な知識を張り合わせても、それだけじゃ一本の芯があるストーリーにはならないし、そういう収集活動に自分が払わなきゃいけないコストというものもある。

と考えると、いわゆる動画共有サイト的なものといわゆるテレビ局オンデマンド的なものには一長一短があって、両方の中間に位置するようなものがあればそれに越したことはないのですが、なかなか難しいですよね。どちらかというと、テレビ局オンデマンド的なものが、もう少しWEB的なことに歩み寄らないといけないと思うのだけれども。

映像をインデックス化するのが面倒なら、ユーザにやってもらっちゃえばいいじゃないか、というのはWEBを日常的に使っていると普通に至る考え方ですが、マスメディア的にそういうアプローチって難しくなっちゃうのかな、やっぱり。

ただ、「番組」という良質なコンテンツのアーカイブを最大限に活かそうというような見地に立つのであれば、番組が色々なところに独り歩きして行って、ユーザアクセスのためのフックが色々なところにばら撒かれている状態にならないと、なかなか「録画代わりにウェブで見る」くらいのスケールのビジネスにしか、ならないような気はしますね。

加藤 康祐 / 企画・設計

プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。

加藤康祐企画設計

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