行為が流通するプラットフォームに新しい時代を感じる
これまで、プラットフォームについては例えば、「Service As A Platform – コンテンツとネットの未来について」とか「コンテンツとプラットフォーム – 電子書籍について考える」という記事で考えてきました。割とプラットフォーム話は大好きです。最近書いた「趣味先進国アメリカに学んでみようと思う」もプラットフォームの話として読んでいただいて結構だと思います。
で、これは面白そうなプラットフォームのトピックだなと思ったのが、iUnivというサービスの話。
iUnivは「Free Flow Education」プラットホームである。
ウェブ上に存在している大学や企業、その他団体が無料で公開している学習コンテンツを集約し、オーディオやビデオにアノテーションを入れながら(特許取得技術の「Fusen」を活用)、自律学習するための教室のようなモノだ。現在、世界中の65000を超えるコンテンツがiUnivに登録されており、毎日増え続けている。これらのコンテンツとソーシャルメディアを使って、自由でオープンな学習プラットホームを構築したのだ。
このiUniv、スゴイ楽しみでベータテスタ申請してのんびり待っておるところなのですが、記事を読んで感心したのが、これは「学習という行為自体を流通させてしまうプラットフォームだな」と。勿論、これまでもソーシャルメディアではコミュニケーションが盛んに行われ、その中でも学習に関するトピックスは多いと思うのですが、人が学習する、そこで生成されるコンテンツが属人性を持って流通する、って言うのはコンテンツの消費がコンテンツを生産する、ということでもあり、プラットフォームのデザインとして秀逸だなあと。
最近、NHKオンデマンドを鑑賞しながら、Evernoteにノートを作っていくという行為がマイブームなのですが(詳細は「最近のNHKオンデマンド鑑賞法をご参照ください」)、後でブログにペーストするくらいのことはやっているのですが、基本的には自分のところで完結している行為なんですよね。こういうものが、わんさか色々な人によって行われて、それが例えば視聴コンテンツなのか、タグなのか、キーワードなのかわかりませんが、有機的に結びついて、コミュニケーションが図られて行ったら。。。ちょっと楽しくなるんじゃないですか。それこそAgoraというか。
僕は学生時代、大学の多くの授業の問題点は、課題が教授一人に見せるだけなので、大して「燃えない」というところにあるのではないかと思ってました。ブログに書いた方が全然良いし、せっかくのアウトプットがただ一人に採点されて、レスポンスもABCD評価に帰結してしまうのってつまらないですよ。勿論、1対100とか1対200とかって形で講義をするわけですから当然なんですけど、でもそれじゃあそのスタイルって限界あるんじゃないのと。いうところでiUnivとか、既存の大学よりも、むしろ可能性を感じてしまう。
プラットフォームに話を戻しますと、これまでTwitterとかFacebookとかコミュニケーションをするプラットフォームって色々出てきたわけです。iUnivも勿論、コミュニケーションが行われるのでしょうが、学習という行為が流通するというのが、このプラットフォームの可能性だと思います。「行為が流通する」って言うのは、なかなか具体的なイメージが湧きづらいわけだけれども、学習の経過、ないし成果を、教育コンテンツの二次的出力として、先程も書きましたが、コンテンツの消費がコンテンツを生産する形を取るという意味において、ただの「レビュー」やただの「まとめ」以上のプラットフォームになるんじゃないかと期待しています。で、このタイミングで恋愛でもなくビジネスでもなく「学習」っていう題材を扱うってのが面白い。実はインターネット時代の学習フレームワークって色々あれど、なかなか体系化されず、義務教育にも反映されず、ここまで来てしまったという気もしていて。
行き詰まっている日本の教育に、iUnivが新風を吹き込んでくれると、やっぱり教育って次の時代への希望だと思うので、素晴らしいなと妄想するわけです。
そんなわけで、今一番ローンチが楽しみなサービスです。

加藤 康祐 / 企画・設計
プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。
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フリーランスとして働き始めるってどういうことだったのか?フリーランスとして働くってどういうことなのか?フリーランスが目指すことってなんなのか?5年間の自分の経験から書きました。(2010年執筆)