2009/3/17

ツールがメディアを超える日 = 私的Twitter論

WEBサービスの使い始めは大体そうなのですが、Twitterを使い始めた時も、「いや、まあ、どうなのこれ?」という感じでした。実際、出て来た当時、さるWEB系の会社にブレストにお邪魔した時も、ちょっとTwitterを絡めてのサービスってのは難しいだろう、というような話になってました。しかし、今や僕にとってTwitter中毒とまではいかないですが、Twitterがネットでのコミュニケーションにおいて、一番カンファタブルな形態になりつつあります。このカンファタブルというのは大事だ。

昨晩、BS1でTwitter特集を観ました。所謂、実況メディアとしてのTwitterや、政治家の広報活動としてのTwitter、Twitterで就職できた女性の話など、特徴的な事例が紹介されていました。個人的には解釈の部分がイマイチ消化不良で、まあテレビだからしょうがないのかなあなどとも思ったりしましたし、Twitterというのはある種そういう「特別さ」から解放されているがゆえに、そのコミュニケーションとしての純粋性を保っていられるのではないかとも思うのですが、これを機会にちょっとTwitterについて僕も改めて考えてみようと思いました。

こういう時は、やはり松村太郎氏の考察がためになります。
TAROSITE.NET: Timeline – Twitterが気づかせるモノ

僕が一番同感だと思ったのは、「アイディアの放牧をする場として、Twitterはより細かい種をばらまける場所になる」という部分。以前、「知の放牧」という記事を書いて僕も考えたことですが、この時は「ホウレンソウメール」みたいなプリミティブなやり方しか例示できなかったのですが、今振り返ると、Twitterこそ、アイデアの放牧、知の放牧の役割を果たしていると思えます。

今、TwitterFeedというサービスを使って、ブログの更新や写真のアップロードなどの情報をTwitterに集約しています。そこにTwitterでの単発の呟きを含めたものが、Facebookなどのソーシャルメディアに連綿と出力され続けている。有り体に考えれば、Twitterは僕のネットにおけるコミュニケーションのHUBになっています。実際、久し振りに会ったり話したりする知人に「久し振りの気がしない」というのはこの一連のコミュニケーションの収束と拡散のおかげですし、「個人事業主の仕事は劇場型であるべき」だと思っている僕的にこれは願ったり叶ったりの状況だと言えます。

Twitterとは何なのか?メディアなのかツールなのかと考えた時に、出て来た答えは「ツールド・メディア」だということです。ちょっとツールド・フランスみたいな響きで良いですね、これは。

最近、若者のテレビ離れが激しいという話は、色々なところで耳にします。僕はそこそこ観る方だと思いますが、仲間内にはテレビを観るのを辞めている、という人も多いです。その一番の理由というのは、テレビがとてもアン・カンファタブルなメディアになってしまったからではないでしょうか。ただそれは、今のテレビ業界を批判しようという話ではなくて、ネットやケータイの台頭が、我々にその特性がゆえに避け難い、マスメディアというものの億劫さ窮屈さを気付かせてしまったということのように思います。

聖書とか、経典とか、日記とか、書籍とか、メディアの起源はそもそも「ツールド・メディア」的だったのではないですかね。目的のための道具としての情報があった。しかし、いつしか情報を摂取するということが目的になった。だから情報を発信することが目的のマスメディアというものが隆盛した。けれども改めて情報を目的のための道具として使える環境に気付かされた。

だから、これからに見据えるべきものは「ツールド・メディアの隆盛」ではなくて、「ツールド・メディアの復権」なのかも知れません。勿論、これからもマスメディアは必要でしょう。あまねく広く知れ渡るべき情報というのもあるでしょう。でもマスメディアの扱う情報が全ての人にとってクリティカルな情報かというと、そんなことは全然ない。

ちょっとTwitterの話にしては仰々しい内容なのかも知れませんが、僕は非常にTwitterというものは、これからのメディアというものの行く末に対して、示唆的なツールだ、と思うのですよね。

加藤 康祐 / 企画・設計

プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。

加藤康祐企画設計

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