2010/4/10

美の壺 File 165 中国の茶器

中国浙江省杭州…お茶の産地として知られる。

茶会の最大の楽しみ→急須(茶壷)の見せ合い。
特に紫砂茶壷は中国人に好まれる。

■ 紫砂茶壷

時大彬(明末期)
茶が中国で日常的に飲まれるようになった。
素焼きの素朴な風合いが多くの人の心をつかんだ。

魚化茶壷
中国の故事にならった茶壷。
立身出世の思いが込められる。

梅椿壺(清末期)
幹の形を型取り花の装飾を施す。
寒さの中で花を咲かせる梅を中国人は理想とした。

井欄壺(清中期)
井戸を掘った先祖への感謝の気持ちを忘れるな→形に意味が込められている。
汲めども尽きない井戸への畏敬の念が込められている。

傘帽壺(清前期)
被り傘の形をした茶壷。

呉遠明(中国茶葉博物館、紫砂茶壷コレクター)
茶壷は故事、物語を多く参照している。
「様々な茶壷が作られたがそれは全て生活の中から生まれたもの。経験や考え方が投影している。地味で質素だが紫砂茶壷は中国人の生き方を後世にまで伝えて行く。」

■ 道具一式

茶泉(東京都世田谷区、中国茶の専門店)

中国には千種類もの茶がある。
明から清の時代に道具一式が考え出された。

茶壷、茶海、茶杯、茶盤

「一杯目はのどと口を潤し、二杯目は寂しさを柔らげてくれる。三杯目でしぼんだ詩情がよみがえり、腹の中から5千巻の書物が浮かび上がってくる。四杯目は軽く汗が出て、不平不満が毛穴から出て行く。五杯目では肌と骨が清らかに、六杯目で仙人の魂が体に入ってくる。七杯目はもう飲めない。」

様々な意匠の道具が生まれた。
お茶を味わい、器を眺めながら、ゆったりとした時間を過ごす。

■ 肌つや

古い茶壷には独特の艶がある。
紫砂茶壷の原料、紫砂で作った粘土を焼き締めると表面に小さい穴ができる。細かい穴に茶の成分が染み込み、それがにじみ出ることに拠って独特の艶を作り出す。

静安作柱礎壺(清末期)

150年間使われることによって、風格さえ感じさせる茶壷になっている。
色々な人に使われて、紫砂茶壷の価値は高まる。

養壺(ヤンフー)→茶壷を愛でて育てていくこと。

飲み残しの茶を茶壷にたっぷりかけ、布で丁寧に磨く。
穴一つ一つに茶の香りが満ち、ますます美しくなる。

壊れたところは金粉と漆を使って修理されている。

客が茶壷を茶館に預け、多くの人に使ってもらうことで、一段と養壺が進む。

「新しい茶壷には火気(怒り)が宿っている。しかし何度も茶で潤すことで火気が収まっていく。同時に使う人の心も穏やかにする。茶壷を育てることは、自分自身の心も育てること。」

加藤 康祐 / 企画・設計

プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。

加藤康祐企画設計

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