iPadの広告なんて全く見てないのに、ソーシャルストリームで完全に頭がiPadな件
iPadが発売され日本上陸してからというもの(海外で発売されたものを日本に持ち込んでくださるパイオニアの方々のおかげ)、連日連夜、TwitterやらUstreamやらでiPadを目にするうちに、もうなんだこれは、僕がiPadを買わない理由は金欠という一点のみ!(買えないだけじゃないか)というところまで大いに洗脳されてしまったのですが、これは冷静に考えるとすごいことだと思います。AppleのサイトやYouTubeのサンプル動画にもちょっとは影響されているわけですが、多くの僕に影響を与えた情報は、一昔前の言い方をするならば、まさしく「クチコミ」なわけです。
だから、ソーシャルストリームによって、クチコミが広範に可視化されてしまったわけですね。Twitterはつぶやきと言われますが、Tweetではなく情報の質としてはDialogueで、「同時多発井戸端会議」みたいなイメージではなかったかと思うわけです。で日に日にストーリーが膨らんでいって、今までのクチコミってサポーティングパラグラフだったんだけど、最早クチコミこそがメインパラグラフだぞ、という状態。
で、掲題のことをTwitterでつぶやきましたら、@taromatsumuraにこんなメンションをもらいました。
この感覚で、製品やコンテンツが消費者とマッチングしていくのが、これからの時代ですね。
そうそう、まさしくそのマッチングの重力というか引力というか、そういうもののフィールドが今どんどんソーシャルメディアにその戦場を移しつつあって、しばしばマスメディアは、後で体良くまとめる、ことしかできなくなるのかも知れない。そこに良識や批評や見解を交えてコンテンツとして洗練されたものを提供するということは不可能ではないと思うし、取材や記者は大事だと思うけど、ダイナミズムは、そうまさしく「同時多発井戸端会議」的なダイナミズムは、ソーシャルメディアにこそあるんだろうなあと思います。
大ヒットが生まれなくなって久しく経つと言います。個人の価値観の多様化とか、ライフスタイルの変化とか、マスメディアの影響力の衰えとか、言われます。ただ情報は受容するより発信した方が収斂されるということを、人々が体感しつつあるのが今の時代だと思いますから、そういう意味で大ヒットは30年ほど前よりは相変わらず生まれにくいのかも知れませんが、10年前、20年前よりは生まれやすい新たな土壌がじわじわと形成されてきているのかも知れない。
別に大ヒットはこれからも出ないかも知れませんね。ただ、ヒットは営業費×広告費みたいなことでは作れなくなっていたこの20年を考えると、いいもの作ってワクワクさせるみたいな根源的なところに、ヒットのメカニズムが原点回帰したら、それはそれで健全なんじゃないかと思います。
昨日正午から佐々木俊尚氏の『電子書籍の衝撃』が先着1万ダウンロード限定110円というプロモーションをディスカヴァー21がやっていて、僕も読もうかなと思っていたので、正午きっかりにアクセスしたのですが、案の定と言いますか、サーバダウンして購入した書籍がダウンロードできず、すぐに読めなかったわけです。「これはひどい」と思ったわけで、そんなつぶやきもして、Twitterでフォローしあっている人にも同症状の方がいましたから、まあそういう失敗談というのは瞬く間に広まっちゃうわけですね。
ただそれが話題になったからマーケティング的に成功とか、企業のブランドが失墜したとか、そういう話をしたいわけじゃなくて、時系列で見ていたらトラブル発生後、タイミングタイミングで適切な対応をしているように見受けられて、日本では全く新しい試みをしたということも含めて、最終的には好感持てました。
僕はこのプロモーションが広まるのも、トラブル発生するのも、収束するのもTwitterだけを介して見てましたが、そうやって企業とユーザの直接のコミュニケーションにならなくとも、商品や事象に関してソーシャルメディアの中で様々な情報や意見や疑問や批判が駆け巡るわけで、そういうことって全く新しいパワーじゃないかと思うのです。
これまでもTwitter炎上とかはありましたが、それはTwitterの使い方がアコギだとかいうことであって、今回はある種のリアル炎上をTwitterが消化吸収する役割を果たしたという意味合いで勉強になった感じがします。そしてそのメカニズムは必ずしも企業側が意図して働かせたものではないと。
だからこういう勃興期にあっては、色々議論にはなりますけど、結局は「いいもの作ってワクワクさせる、真摯に親切に対応する」というような、あまりにも当たり前のことが企業ができる唯一つのことだったりするのではないかと思います。ああ、体力勝負ですね。その上で戦術的なことは色々あるとは思いますが。
話を戻すと、そういうソーシャルストリームのまさしくウネリが、今後ますます企業とユーザのマッチングに果たす役割が大きくなるのは確かだと思っていて、一方でそこには広告的にテクニカルな因子より優先するべきことが色々ありそうだ、というのが僕の見方です。とりあえず、iPadはある種今の時代を象徴する大きなプロダクトリリースだと思うので(少なくとも発売前の盛り上がり的には)、それだけで消費社会の全てを語ってしまうのも乱暴な気がしますが、もう少し小さなパッケージであっても力強いムーブメントというのが「いいもの」の周りで起こると楽しいですね。
ちなみに最近よくTwitterで見かけるのは桃ラーの話題。好きな人が今更ワイドショーで取り上げるな、どこも売り切れで入手困難なのに拍車をかけてどうするとつぶやいておりました。そういうこともあるわけですね。
Tags : Apple, iPad, Twitter, YouTube, ディスカヴァー21, 佐々木俊尚, 松村太郎, 桃ラー, 電子書籍の衝撃

加藤 康祐 / 企画・設計
プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。
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フリーランスとして働き始めるってどういうことだったのか?フリーランスとして働くってどういうことなのか?フリーランスが目指すことってなんなのか?5年間の自分の経験から書きました。(2010年執筆)