美人な映画が観たいんだ
僕は長らく映画というコンテンツを敬遠してきた類の人間でして、そもそも「観~」が全て得意ではないタイプの人間でした。「観光」も「観劇」も「観戦」も。そう言えば、中学生の頃のフィールドノートでの「観察」からして駄目でした。とは言え、年を経るごとにそういうものも鑑賞できるようになりたいなあと思うようになり、旅行や芝居も好きになり、昨年くらいから映画館にもちょこちょこ足を運ぶようになりました。
今日たまたまTSUTAYAに立ち寄りましたら、「美人な映画」という特集コーナーがありまして、なるほどなと思いました。僕の観たいのはそういう映画だと。メインにはタナダユキさん監督の『百万円と苦虫女』がフィーチャーされており、僕もこの映画は映画館で観ましたが、非常に素晴らしい作品でした。この「美人な映画」という表現は巧いなと。
そう言えば先日我が家に遊びに来た友人が、阪本順治氏監督の『闇の子供たち』という映画を観たのだけれども、「何で俺はわざわざ休日に時間とって、こんなに凹まなければいけない映画を観なきゃいけないんだ、と思った」ということを言っていました。
映画というのはまあ始まってしまえば最後まで観るのが基本的にはお約束なのだと思いますが、友人が言っていたように、勿論、扱っているテーマが深刻で、表現が辛辣で、でもそういう作品は世の中に必要で、そういうメッセージを発したい監督のモチベーションと、現代社会における批評としての映画の役割というのもあるとは思うのですが、とは言え余暇の過ごし方ですから、お気楽に済ませたいという部分もあります。
そういう意味で「笑える映画」とか「泣ける映画」というより、僕が余暇の過ごし方として観たいのは「美人な映画」なんだなと感じました。「美人の映画」とはちょっと違う。最近観た映画で僕が「美人な映画」だと思ったのは先述の『百万円と苦虫女』、『かもめ食堂』、『スカイクロラ』、『おくりびと』あたりです。映像として美人という感じ、伝わりますでしょうか?
ヒロインの可愛さだけなら『少年メリケンサック』も『パコと魔法の絵本』とかも観たのですが、ちょっと「美人な映画」には入ってこなさそうです。「綺麗系」ともちょっと違う。やっぱり「美人な映画」なんです。
キャッチコピーの妙としては、糸井重里氏の「おいしい生活」と同じ系統なのかも知れませんね。本来、宛がわれるべきでない形容詞を宛がって、新たに、しかし、具体的なイメージを喚起するというようなアプローチ。
そんな些細な再発見をTSUTAYAでしつつ、今日はその「美人な映画」コーナーから、河瀬直美さん監督の『殯の森』を借りてきました。重いテーマを扱っているようですが、TSUTAYAの選球眼を信じて、その「美人な映画」っぷりに期待しようと思います。

加藤 康祐 / 企画・設計
プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。
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フリーランスとして働き始めるってどういうことだったのか?フリーランスとして働くってどういうことなのか?フリーランスが目指すことってなんなのか?5年間の自分の経験から書きました。(2010年執筆)