2010/2/3

感覚で買うのか、情報で買うのか

今日はショッピングのお話です。ネットショッピング勃興期から10年は経ったであろう今でも、洋服なんかをネットで買っているよと言うと、結構驚かれるのですが、「実際に触ってみないと」とか「実際に着たり持ったりしてみないと」とか言われるのですが、まあ返品もできますし、最近では東戸塚で買えないものは、ほとんどネットで買ってるんじゃないですかね。食べ物とかはあんまり買わないんですけど。

一番ネットショッピングで決めてしまう機会が多いので洋服の話をしますけど、いつでも手軽に買えるとかって言うのは、あんまりメリットじゃないんですよね。明日必要な洋服ってあまりないですから。かと言って、安いからとか、在庫がない人気商品だから、とか言う理由で洋服をネットで買っているわけでもない。じゃあ何が魅力買っていいますと、「圧倒的な商品数から選別して欲しいものを手繰り寄せられるから」なんですね。

先日、セール時期にダウンジャケットが一着欲しいと思って探したことを思い出すと、機能的で長く使えるものが欲しかったので、頭からアウトドアメーカーのものということだけは決めていたのですが、デザインはやっぱり自分の嗜好とあったものを選びたいので、しらみ潰しに見ていたんですよね。最初、よく見るショップのサイトチェックして、その後、楽天やGoogle検索して、ブログのレビュー読んで、本国のサイトも見て、みたいな。

これ1~2時間続けていると、立派なダウンジャケットマニアになれるんですよ。ショップの陳列棚でダウンジャケット見てても、このジャケットはダウンが700フィルパワーだから暖かそうだ、とか言う思考回路は働かないわけじゃないですか。耐久性、防水性に加えて透湿性も確保しているとか。止水ジッパーを使っているとか。

ただ、洋服をファッションとして見るだけだとそんなことはどうでもいいんですけど、工芸的な視線で見ると、実はそこにどういう技術が使われているかとか、どういう用途が考慮されているとか、どういう素材が使われているとかいうことって、実はモノを評価するには大事な情報で、そういうものを評価分析しながら意思決定して行く、しかも圧倒的な選択肢を前に、というのはエキサイティングだと思うわけです。男の子的だ、とか言われてしまうんでしょうか。

「感性マーケティング」みたいな言葉もあるわけですが、それとは逆行する形で、今僕は「スペック購買」を楽しんでいたりする。「別注」とか「限定」とか言うことでもなく、「売り手の論理」でもなく、可能な限り「作り手の論理」に賛同し得る買い物をしたいなあなどと思っています。実際は作り手と話ができるわけではないし、ネットに書いてある情報(=宣伝文句)がどこまで信憑性に足り得るかということも勿論あるわけですが、それは圧倒的な数を相手にすることでカバーできるのではないかと思います。

タイトルの「感覚で買うのか、情報で買うのか」というのは舌っ足らずで、「感覚で選別して情報で買うのか」、「情報で選別して感覚で買うのか」という違いのような気もします。

リアルとネットでどういう商品が適しているかということもあるのでしょうけど、一長一短だと思うのですよね。リアル万能主義はおかしいしネット万能主義もおかしいと思う。少なくとも今のところどちらにも長所があり短所もあり、求める物や状況や考え方や生活で変わって来る。ただ少なくとも僕はネットでも洋服を買うようになって、リアルじゃないと買い物に失敗するみたいなのは幻想だなあと思うようになったのです。

なんでこんなある種わかりきった話を書いたかと申しますと、電子書籍の話なんですね。未だに「本は紙じゃないといけない」みたいな意見も聞きますけど、それは趣味嗜好の問題で、紙の本万能もおかしいし、電子書籍万能もおかしい。人はおそらく使い分けるようになっていくと思います。その上で、「読書」の需要を喚起する仕組みと仕掛けが大事なわけで。

僕は今回の電子書籍元年と言われるような状況に対しては多分に肯定的なのですが、何故かと言うと、「自分が電子書籍を買って読む」ということを経験することにワクワクしているわけで、あまり業界の歴史とか市場の動向とか言うよりは、「そういうこともできた方が僕の人生は楽しいよ」という一点です。ただ一方で、そういう考え方を持つ人が世の中に少なからずいるのではないかという気もします。アメリカは国土が広いですし、日常的な買い物にも車での移動が必要な国ですから、日本よりもリアル本屋のプレゼンスは低いというか、電子書籍で買えちゃうなら買っちゃうよという人が多いような気もします。現にKindle売れているわけですし。

日本じゃどうかということは正直わかりませんが、出版社ベースのプラットフォームでは広がりがないですし不便ですし、まあAmazonなりAppleなりがガサーッと取りまとめてくれると一番手っ取り早いなというのが正直なところです。そうじゃない解答は今のところ日本の企業を見ている限り導き出せないというのが素直な感想で、別にAmazonにもAppleにも偏愛はありませんから、日本の企業でそういうデバイスを含めた利便性の高いコンテンツプラットフォームを素早く用意できることができるのであれば、そっちに乗っかるのも全然やぶさかではありません。

ただ、このグローバリゼーションの時代に、どうやったら電子書籍元年に乗っからないで済むか、って議論は不毛ですよね。

そんなこんなで楽しみなトピックです。

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加藤 康祐 / 企画・設計

1980年1月12日生まれ。フリーランス歴15年。プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。学生時代にデザイン会社でWebデザインを経験。2005年よりフリーランスとしてキャリアスタート。これまでに個人から上場企業まで、100以上のクライアントとのプロジェクトを経験。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの編集・運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート等。趣味はラグビーと料理。Keep the head up, Bind tight & Stay low.

加藤康祐企画設計

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