2008/10/28

臆病という剣

どうやら世界がパニックを起こしているようです。「経済」とか「金融」ということは、メディアからの情報を咀嚼して偶像を思い浮かべるしかないのですが、「政治」はなかなかリーダーシップを発揮し得ていませんし、「社会」には不穏な空気が蔓延しています。電光掲示板の数字を追いかけているだけで「世界」は決まらない、と思いたいわけですが、数字が如実に与えるインパクトというのは大きい。大暴落とか急反発とか毎日メールが届くたびに、何か腰が砕ける感じがします。

株価も為替もまずいことになっていて、世界同時不況の入り口だって聞きますし、海の向こうでは国家破綻なんて言ってますし、日本企業はまだマシとか言われてますが景気に煽られやすい業界は倒産に拍車かかってますし、大企業も営業益が半分とか、どうにもテレビに出てくるアナリストの声が希望的解釈にしか聞こえず、かく言う僕にもどういう余波があるのかびくびくしております(以上、EUREKA「そろそろ不況について語ってみる」より抜粋)。

そうなんです、びくびくしているんです。実は今までの10年で、仕事が景気に左右された、という実感はほとんどないのですが、今回はちょっと毛色が違うのではないかと心配しています。

基本的にキャッシュフローだと思うんですよね。下請け企業はピラミッドの上が潰れればキャッシュが止まって崩落しますし、外資の企業だって本国で資金繰りがうまくいかなければ日本法人への要求が変わってきますし。貸し渋りや貸し剥がしが始まっているとも聞きますし、現時点では僕の仕事に直接影響は無いと言っていいと思いますが、今後のことを考えると、僕の仕事は中小企業の方々がメインですから、色々変化は受けざるを得ないでしょう。これはちょっと覚悟を決めなきゃいけない。アゲインストには臆病なくらいでいいと思う。ただ船は横波食らうと転覆しますから、錨を下ろして漂泊するにしても、しっかり前を向いてないといけない。(以上、EUREKA「そろそろ不況について語ってみる」より抜粋)。

お金が流れていないというのは単に金融の世界に留まる問題ではありません。流れがどこかで堰き止められれば、当然資金が枯渇しますし、そこで上層の企業が立ち行かなくなれば、支流で潤っている下層の企業は共倒れです。フラット化というのはあくまで大きな視点に立った話であって(マーケットがグローバル化したツケが世界同時不況ということにもなっているわけですが)、各業界には旧態型のピラミッド構造が多くあり、資金の供給がストップするとピラミッド全体が崩落するわけです。

駅前のマンションの工事の進行が急に遅くなったんじゃないかとか、そういう要らぬ心配まで働いてしまうという現状です。

とは言え、注意力を散漫にしているよりは、こういう時こそ神経をちと研ぎ澄まして明日明後日の危機に対して想像力を働かせていた方がいいと思うのです。一日一日の触れ幅に一喜一憂しようということではありません。精神的に苛まれてしまっては元も子もありません。ただ常にワーストケースに目を向けて、「底なし」と言われる状況を何とか定義して「底」を見つけて整理しないと、何かある時に本来の力を冷静に発揮できないように思います。

別にこの機に乗じて「勝ち組」に居残るなんてアメリカ的発想は僕には必要ないと思います。今振りかざすべきは臆病という名の剣で、当たり前のことを当たり前に続けていくための注意力と想像力を常時働かせておくことが、荒波に圧潰されないための現時点での唯一の処方箋のように思います。

きっと対処療法だけじゃ立ち行かなくなる、そんな危惧があるのです。

加藤 康祐 / 企画・設計

プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。

加藤康祐企画設計

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