Being Social
なんか巷はTwitter関連書籍の出版ブームみたいでして、僕もとりあえず一冊注文してみましたが、Twitterは色々な意味で面白いですね。Twitterのサービスそのものが出てきた時は、大きなインパクトを受けませんでしたが、Twitterのユーザとして自分が少しずつソーシャライズされてくる感覚というのが、何とも言えない驚きと言うか快感と言うか。
ちょうど松岡正剛氏の『誰も知らない 世界と日本のまちがい 自由と国家と資本主義』という話題になった本を、今更ながらに読んでいるのですが、歴史が「縦横斜め」に結び付けられて、個別の事実は知識として知っているにしても、その見えてなかった関係性、相対性をわかりやすく説明していて面白いです。というようなことが、Twitter周辺でも起こっているんじゃないですかね。人間が「縦横斜め」に結び付けられている。それすなわち松岡氏の言葉を借りるならば「編集」されている。
そうか、ある意味、ソーシャライズされるということは、編集される、ということではないかと思いました。「Being Social」と言ったって、独力でソーシャライズされるわけではない。むしろ他者との関係性によるところが大きい。人が人を編集し合う。そういうことがソーシャライズされるということなのではないかと。
以前友人のデザイナーと夜明けまで酒を飲んでいた時に聞いた話ですが、弟子にして欲しいという若人に、彼は「とりあえず今この時代にあって、ソーシャルなことに興味を持たないといけないよ、やってみ」という話をしたそうです。それはもうクリエイターとして、というよりは社会人として、ある種の仕事を始めるための前提条件として、「ソーシャルであること」を提示したわけです。これは非常に面白い。そして所属に強く縛られないタイプのクリエイターであれば、「ソーシャルであること」はこれからの可能性の大きな一要素だと思います。「毎日10分スケッチしてみ」とか「毎日10サイトいいサイトピックアップしてみ」とかど同列に、いやむしろそれ以上に重要なトライアウトとして「ソーシャルであること」が挙がってくる時代になったわけです。
よくその手の話になると、どういうツールを使うと、どうで、という話になりがちですが、まあ僕もそういう話は得てして好きな方なのですが、肝心なのは編集をする/されるという環境に身を置くことと、それに伴う5W1Hではないかと思われます。別にネットにどっぷりが良いわけではありませんよね。その上でソーシャルメディアや距離や頻度やタイミングといった実社会における色々な制約を圧縮してくれる力を持っています。だからまずツールの話から入るのが手っ取り早かったりもするのだと思います。まずは体験してみてなんぼですから。
社交界デビューなどと言うと、鹿鳴館のようですが、ヨーロッパのサロン文化のようなもの、もしくは職能的なギルドのようなもの、そういうものとも近いながらよりカジュアルな結び付きとしてソーシャルメディアがある。そこで交わされる情報が、世の中にしばしば大きな影響を及ぼすこともある、また世の中にまで波及せずとも個人の生き方に対して大きくコミットすることがある、そうでなくとも、ゆるやかなコミュニケーションの恩恵を少なからず甘受し、自分もアフォードしていきたいと思える、というような現状極めてポジティブなコミュニケーションのプラットフォームになっていると思います。
今後ソーシャルメディアがどういった方向性に進むのか、未知数なところも多いと思います。そのうち、ソーシャルメディアなどという概念が機能しなくなるくらい、既存のコミュニケーションとごちゃまぜになるのかも知れませんし、もうなっている気がします。「乗り遅れると損をする」なんて言いませんが、「始めた人は始めている」わけで、世代間の隔絶より、今後このソーシャルなことへのコミット度における隔絶が、大きな意味を持ってくるのかも知れません。
ただ、僕らがインターネットやモバイルに対してそうであったように、「これから」の人たちは、少なからず、「Being Social」を「あたりまえのこと」として、世に出てくるのではないですかね。

加藤 康祐 / 企画・設計
プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。
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フリーランスとして働き始めるってどういうことだったのか?フリーランスとして働くってどういうことなのか?フリーランスが目指すことってなんなのか?5年間の自分の経験から書きました。(2010年執筆)