2009/9/24

なりきりプレイ

最近、何かと話題のレシピサイト、クックパッドですが、僕の身の回りの女性も「使ってるよ!」と言ってました。600万人ほぼ女性ってスゴイですよね。国内では他に類を見ないんではないでしょうか。そもそも、「レシピ」という無形の言わば知財が、コンテンツになってしまうというところに気付いたのだけでもびっくりだし、クックパッドの成功で気付かされた、という気もします。

さて、このクックパッド、オフィスに何と自前のキッチンがあるそうです。しかも立派な。

クックパッドのオフィスが凄すぎる件について – Future Insight

ユーザ目線とかいうとありきたりな表現になっちゃうんですけど、レシピサイトを運営する会社がオフィスにキッチンを持ってる、ってのはそれだけで、ある種の説得性が生まれますよね。「料理好きな人が多い会社が運営しているんだなあ」という。

ともすれば、飯の種を見つけて、後は技術にどっぷりーという印象が強いネットベンチャーの中でこういう社風は好感度高いですし、好きこそものの上手なれじゃないですけど、きちんと正しい立ち位置に立った上で開発している会社なんだなあと、スタンスからして感心させられます。

話変わりますが、陶芸家のお弟子さんの話。備前焼の窯元がクライアントなので、幾度か伊部という備前焼の里に足を運んで、実際に登り窯に火が入っているところなども拝見させていただいたのですが、あの世界もやっぱりスゴイ。

陶芸でも壺とか小鉢とか大皿とか色々ありますが、やっぱり一番見てて完成されているなあと感嘆させられるのは茶碗。特に初めて観に行かせていただいた作品展が、茶碗展だったもので、あの両の手ですっぽり包み込みたくなるような愛らしさと、圧倒的な存在感は、見てて飽きませんし、見れば見るほど引き込まれてゆきます。

さて、茶器を作るわけなので、茶道がわかってなければいけない、だから勉強しているという話をお弟子さんから聞きました。高名な岡山の茶道家の先生のところへ、着物で週1回ほど通っているという話でした。何でも使う茶器も国宝級で、非常に緊張するという話でしたが。

これって、実はWEBサービス企業のオフィスにキッチンが、という話と同義で、ユーザ目線というか、「渡り」なのだと思うのですよね。陶芸という世界があって、茶道という世界があって、言わば、こちらの世界とあちらの世界的隔絶があるのだけれども、「モノ」があちら側で使われる以上、「作る人」もあちらの世界に渡って踏み込んで、体験的にその勘所を学び得ようという姿勢。

ユーザに対する真摯な態度って、結局何かって言うと、そういうあちらの世界に踏み込む労苦を厭わずに体験的に学習しようとする姿勢なんではないかと思ったのです。

なまじ受託業務メインで仕事してますから、もっとそういう踏み込み方を、僕らの世界では営業ということにもなりますが、ただそれだけでも駄目で、ユーザとしての感覚を研ぎ澄ましていかないといかんのだろうなあと思いました。

顧客が好きなものを自分も好きになる。顧客が大事なものを自分も大事と感じる。そういうのが心遣いってものなんだろうと。

なんかカッコいい横文字並べるだけじゃなくて、古くからこちらの世界からあちらの世界へ踏み込むために時代の職人、作り手が為してきた努力、そういうものを想起してモノ作りに当たらないといけないなと、改めて思いました。

なりきれないと、ふりきれない、のではなかろうか。

加藤 康祐 / 企画・設計

プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。

加藤康祐企画設計

是非、フォローしてください!
Twitter / Instagram

(2012-10-5)
売り上げランキング: 14,705
100円