2008/6/6

「好き」でなくて何ができる

「英雄、色を好む」って言いますけど、色と言わず英雄は「何か」がとてつもなく「好き」なんだと思います。強欲、と言うとちょっと言葉が強烈過ぎるか知れないですけど、執着、もっと言うと、ライフワークなんて言ってしまえば、割と伝わりやすいかも知れませんね。

昨日、客先で仕事の話はほどほどに、そんなライフワークの話になりました。クライアントは犬の話を延々と、僕はラグビーの話を延々と、仕事そっちのけで話して、話の量自体は僕が2ならクライアントが8くらいでしたが、僕のラグビーはたかだか10年、クライアントの犬はざっと計算しても50年ほど「好き」でい続けたことになりますから、ちょっと太刀打ちできないですよね。その方が「犬馬鹿」と自分のことを仰って、「犬」がライフワークだと言っていたのが非常に心に残りました。

「犬馬鹿」と聞いて、最近似たような言葉を聞いたなと思い出して閃いたのが「靴馬鹿」という言葉です。高校時代の同級生がKönig Der Meisterというリペアサロンを始めました。彼が自身のWEBサイトで自分のことを「靴馬鹿」と言っていたのを思い出したのです。

彼がいわゆる一般的な靴の修理と違うアプローチなのは、「靴を作れる職人が靴を修理する仕事をする」ということです。その辺りが駅前の修理屋さんとかとの差別化要因。せっかくなので、「馬鹿」で連想したのは甚だ失礼な話なのですが、クライアントに彼の仕事を紹介して、WEBサイトを見せてみました。クライアント自身もオーダーメイドシューズ履いたりしてるそうで、なかなか面白い話だね、それはとおっしゃってました。

「靴を作れる職人が靴を修理する」ということに対するアンチテーゼは容易に思いつきます。靴を作れる職人なら、靴を作ればいいじゃないか、ということです。ですが僕はこういうことだと思うのです。靴が好きなんだろうと。とっても好きなんだろうと。彼の今を考えて好きな靴に関わっていく手段としてたまたま修理ということが有効な手段であっただけで、最終的に彼にとっての第一義は「靴が好き」この一つに尽きるのではないかと思うのですよね、彼の話を聞いていると。今も靴を作ること自体は並行して続けていますし。

きっと「靴」を大好きな「靴馬鹿」は、50年後、「靴」をライフワークとして生きているのではないかと思います。必ずしも「靴」を飯の種にせずとも、何らかの手段で「靴」を好きでい続けるのではないかと思います。そういう「覚悟」を彼の言葉から感じます。

好きでい続けることは、実は相当な「覚悟」がいることです。流行り廃れのめまぐるしいこの世の中で、一つのことを好きでい続けることは、簡単なことではないと思います。けれども、そういう情熱を持ち得ないで、何ができるか?と思うのです。

幸いなことに、ここ数年はただ飯の種のためだけではなく、ただ好きだからという理由で自分の情熱を注ぎ込む対象を持った人に多く出会えました。昆虫がライフワークの大学教授とか、放送部上がりのポッドキャスト伝道師とか。僕のクライアントも顔を思い浮かべれば、皆さんそういう人達だなあ、と思います。徹底してます。その情熱に僕は毒されて熱されて仕事をしている、そんな気もします。

好きじゃないことは、できないと思います。長くは続けられないと思います。ライフワークにはできないと思うのです。犬馬鹿と名乗れるほど、靴馬鹿と名乗れるほど、何かを好きになること、そういう能力って実は英雄たる秘訣なのではないですかね。

ひとり仕事: フリーランスという働き方
(2012-10-5)
売り上げランキング: 14,705
100円

加藤 康祐 / 企画・設計

1980年1月12日生まれ。フリーランス歴15年。プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。学生時代にデザイン会社でWebデザインを経験。2005年よりフリーランスとしてキャリアスタート。これまでに個人から上場企業まで、100以上のクライアントとのプロジェクトを経験。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの編集・運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート等。趣味はラグビーと料理。Keep the head up, Bind tight & Stay low.

加藤康祐企画設計

是非、フォローしてください!
Twitter / Instagram