2009/7/2

幼心に見るコレクト嗜好とセンスのブラッシュアップのメカニズム

WEB覚えた頃はとにかくブックマーク、ブックマークしてました。まだGoogleさんも登場してなかったですし、del.icio.usもはてなブックマークもなかったですから、良いサイト、というものを探し当てるのは結構骨が折れる作業で、実際、僕の仕事の一翼を担ってましたし(今、思うと不毛だ)、なんか海外の先進ビジネスのブックマークをWEBに晒しておくだけで、結構なコンテンツになっていたように思います。

しばらくそういうクリッピング的なことに興味はなくて、なんせ思い立ったらすぐ検索すればいいわけですから、そういうことへの情熱も薄れていたわけなのですが、最近、Tumblr始めて、文庫本に赤線引きながら読んでいくような、参考書にハイライターでマーキングしていくような、必ずしも後で参照する目的でというわけではなくて、ワンクッション、行為が入ることによってより記憶に留まり易くなるということと、オープンなので色々な人が付加情報を後付けしてくれるというあたりで意味があるのかなと。

それとは別に今日一日クリッピングしたものを眺めてみる、みたいなのは楽しいんですよね。スクラップブック、って大抵労力と成果が見合わなくてやめちゃうんですけど、Tumblrに関してはTomblooという神業的なFirefoxのアドオンがありまして、これを使うと、かなりストレスがなくなります。もう何と言うか、劇的、とソフトウェアに関して思ったのは久し振りのことです。

昨日、後輩と酒を飲んでいた席で、僕は子供の頃、マセていた、ということを思い出しました。ただませていた方向がちょっとおかしくって、「食いマセ」だったんですね。

僕らの世代は『美味しんぼ』や『ミスター味っ子』をテレビアニメで見ていた世代なので、結構そういうことにも興味があって、僕は多分小学生の時だな、『檀流クッキング』とかも読んでいて、まあそういうことへの興味って結構あったんですね。

で、僕のベッドには親父の「東京グルメガイド」みたいなのが隠してありまして、今で言うとミシュランやザガットみたいな感じだと思うのですが、右側に店の写真と説明があって、左側にメニューが載っていると。幼い僕はそういう本眺めながら、「この店に行ったら、これとこれを前菜に、メインはこれにして、デザートはこれを頼もう」みたいな妄想を夜な夜なしていたのです。そもそも高校くらいまでほとんど外食しませんでしたから、まあそんなこと考えながら家の飯を食べていたわけです。

似たような話で、「コロコロコミック」とか「コミックボンボン」とか割と分厚い少年誌がありまして、そういうのに玩具の情報とかゲームの情報とか載っているのですが、そういうのを見ながら、弟と「とりっこ」という遊びをしていました。

厳密に言うと遊びでもなんでもないような気がしますが、その少年誌の最初から出てくるキャラクターを交互にひたすら選んでいくんですね。当時、ガンケシとかカードダスとかいうガンダムの玩具が流行っていたのですが、基本的に「お小遣い」というものがなく、買ってもらえる時に買ってもらう方式だったので、自分のお金で買わない代わりに、買ってもらった雑誌で所有欲を満たしていたと。

ただこういう幼い頃の経験で言うところの「情報のコレクト嗜好」みたいなものって、ネットで情報を収集していたりする、ってことと本質的な快楽のメカニズムとしては一緒なんだろうなあと思ったりするわけです。勿論、今は食べたいものはある程度食べれるし、買いたいものはある程度買えるし、情報収集もその先に自分の仕事があるから意味があると思うのですが、とは言え、構造的には幼い頃の遊びと本質的に変わっていない。

じゃあそういうものは幼稚な行為かって言うと、全然そんなことはなくて、むしろセンスのブラッシュアップの訓練になっている。綺麗なものとか、面白いものとか、美しいものとか、奇抜なものとか、そういうものを自分のフィルタでコレクトする、という行為って人間生きている限り必要とされる能力の一つだと思うんですよね。

よく言う話ですが、本屋に行くと無力感に襲われます。「僕は今ここにある本だけでも、生きている間には征服できない」というような(そんなことを言う奴にはこれまで会ったことがないと言われるんだけれども)。ただ、別に図書館に住みたいということではなくて、キュレーターなのかコンシェルジュなのかコーディネーターなのかわかりませんが、人間には有り余るほどのコンテクストが世の中には既に用意されているわけで、その中で取捨選択をしていく行為自体がセンスのブラッシュアップということの一つの型、訓練のような気もするのです。

昨今、良く言うシンプルに行こう的なことも、そういう取捨選択の一つの形でしかないのであろうし。清貧の思想、みたいなことも、きっとそうだし。一方でアラブの王族みたいな生活に憧れる人もいないわけではないのだろうし。

などと考えると食道楽も所有欲も馬鹿にできません、という話。

加藤 康祐 / 企画・設計

プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。

加藤康祐企画設計

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