2008/3/9

パラダイス鎖国と言われて

海部美知氏の『パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本』という本を読みました。海部氏のTech Mom from Silicon Valleyは僕もRSSリーダで愛読させていただいておるのですが、改めて書籍として読んでみると考えさせられることしきりでした。

僕がアメリカに行った時期は日本の海外駐在員の盛りの最後の時期だったように思います。僕がいたニューヨークも大変な好景気でした(とは言えそこでビジネスをしていたのは僕ではなく親父です)。高校生としての経験でしたが、September 11前ということもあり、ニューヨーク、アメリカが非常に活気を持っていた時代だったように思います。

その頃と比べると、日本企業の海外駐在員は大分減ったと聞きますし、僕の母校も海外駐在員の子女だけではとても生徒数を賄えず、日本からの受験生を受け入れるようになったと聞きます。

僕はご存知の通り、海外志向がほとんどない人間で、僕の仕事自体も国内で完結しています。クライアントが海外で仕事をされている企業も多いので、海外の情勢に疎いわけにはいけませんが、さりとて僕の仕事自体は国内で行われていますし、そのことに不満を感じていません。

という意味で僕はパラダイス鎖国の中にいるのかと本書を読んで感じた次第です。

日本というマーケットは良くも悪くもそれなりに大きい。グローバルな視点から見て成長可能性は今後あまり期待できないけれども、携帯電話しかり、国内市場で高いマージンのビジネスを行っていって、事業の採算性を満たせるだけのマーケットがある。というところに甘んじているのが、今の日本がパラダイス鎖国たる所以でしょう。

「モノ作り大国日本」という標語がありましたが、日本で作っているものというのは極めて少ない。海外で競争力を持っている商材と言えば、自動車が真っ先に浮かびますが、それもトヨタとかホンダとか一部の優良企業に依存している部分が大きい。今日本が「モノ作り大国」かというと甚だ疑問です。

一方で、「モノ作り」の時代は終わったという議論もあります。しかしながら日本で「モノ作り」以外のビジネス形態が伸張しているかというと、金融市場でリーダーシップを担っているのは外国資本ですし、ベンチャービジネスも欧米のように隆盛を見せているわけでもありません。

日本にいると日本のおかれている状況に極端な危惧を抱く必要性がありません。生活水準も高いですし、何だかんだ言って所得水準も他の国と比べれば高い方でしょう。しかし、この借金大国日本が、パラダイス鎖国化においてどんどん国際的な競争力を失い、国内の狭い市場を複数の企業が食い争い結果飽和していくであろう状況は、将来性を感じ得ません。

僕の仕事だって、アジアのIT立国、例えば韓国やインド、最近では中国などにアウトソーシングが進めば、今よりも仕事は減るかも知れません。知り合いづてで仕事を回していますから、クライアントが競争力を持ってさえすれば僕の仕事は成り立つわけですが、日本だけを相手にしていれば食っていける世界というのは、今の世界情勢から見たら奇異なことかも知れません。

パラダイス鎖国と言われて、非常に危機感を感じます。それはこの国が、というスケールにおいてではなく、むしろ自分の人生がというスケールにおいてです。パラダイス鎖国という概念が個人を対象に当てはめれるものなのであれば、僕は綺麗にそこにはまっている気がします。

収束と拡散、という考え方に立てば、近い将来、また日本は拡散を志向しなければいけないと思います。しかしながら、その時に昔ほどの競争力を日本が持てるのか、グローバル化した世界に対しての交渉力を発揮できるのか、と考えると非常に不安です。

井の中の蛙じゃないですけど、グローバルな視点で見ると、100人に2人程度の人しか射程距離におさめられないわけですよ、僕は、しかも最大公約数で。

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加藤 康祐 / 企画・設計

1980年1月12日生まれ。1998年よりデザイン会社のパートタイムアシスタントとしてWeb制作を経験。2005年に独立、フリーランスとして、企業、個人、NPO、独立行政法人など、様々な領域でのITやデザインによるサポート業務に携わる。2018年、加藤康祐企画設計を開業。これまでの経験を活かし、より広い視野でクライアントの問題解決に取り組み、クライアントと一緒になって新しい価値創出をし、平静な社会の実現を目指す。

加藤康祐企画設計

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