2008/1/11

僕の100はクライアントの80でしかないという法則

客商売をやっていて常々思うのは「僕の100はクライアントの80でしかない」ということです。どんなに良い提案であっても、大概の場合、僕は80までしか到達していない。ですがそれは自分自身心がけて狙ってやっていることでもあります。

インターネットの世界には「Rough Consensus and Running Code」という考え方があります。「ある程度の共通理解を作って、後はプログラム走らせちゃいましょうよ」ということです。銀行の基幹システムなんかがこういうことじゃ駄目なわけですが、改良が比較的に簡単なインターネットの世界では、こういうことがまかり通ります。サービス名にα版とかβ版とかついてるのもそのためです。また、そうした「Rough Consensus and Running Code」で公開することで、ユーザからフィードバックをもらい、修正をかけながら「Better Service」を作っていこうという姿勢でもあります。

企画提案も一緒で、本来的に完璧なものというのは実行する本人の意思なしに100%の形は生み出し得ませんから、80くらいまで仕上げて、後の20は会ってプレゼンテーションした後に打ち合わせの中で詰めることを前提に考えるくらいで良いと思います。

考えれば当たり前のことで、クライアントのビジネスへの業務理解度はその業務を実行しているクライアント自体が一番高いわけです。それを完璧にトレースすることはできないし、逆にそこに100%シフトウエイトしてしまうようでは、「外部」頭脳ではなくて「代替」頭脳になってしまいます。実際問題、僕のような外部プランナーの立場で、クライアントのビジネスの機微を100%理解するというのは、物理的に不可能ですから、有り得ない話ではあるのですけれども。

わかったつもりになるよりは、わかることとわからないを明確に切り分けられた方がいいです。

逆に僕の100がクライアントの80でしかない以上、達成しないといけない用件はあります。それは、スピードだったり、能率のよさだったり、漏れのなさだったり、バランス感覚だったりします。クライアントに後20を足してもらえば100になるように、完璧な80点を目指す必要はあります。スムーズな論理構造の構築を目指して、かつ、的を得ていなければいけません。残りの20を引き出し得る80でなくてはなりません。

単純な割り算ですが、100を目指して100の力を出すと、100÷100=1で、80を目指して100の力を出すと100÷80=1.25ですから単位あたりの仕事量は80を目指した時の方が大きいのですね。つまり、より仕事を丁寧にやるということです。

これは仕事の方法論と言うよりは、むしろ心構え的なことで、「僕の100はクライアントの100」であると思ってやるのと、「僕の100はクライアントの80でしかない」という仮説の上で仕事をするのでは、色々実際のアクションの取り方が変わってくるでしょう、ということです。

だから本当は「仮説」なのに、半ば無理矢理、「法則」にしてしまっているのです。

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加藤 康祐 / 企画・設計

1980年1月12日生まれ。フリーランス歴15年。プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。学生時代にデザイン会社でWebデザインを経験。2005年よりフリーランスとしてキャリアスタート。これまでに個人から上場企業まで、100以上のクライアントとのプロジェクトを経験。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの編集・運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート等。趣味はラグビーと料理。Keep the head up, Bind tight & Stay low.

加藤康祐企画設計

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