2006/7/21

物語構築法

小学生の時になりたかった職業は建築家でしたが、中学生以降になりたかった職業は小説家でした。中学生の時は司馬遼太郎や宮沢賢治が好きでしたし、高校生になると村上春樹や小林秀雄が好きでした。プランニングの仕事の5割は書くことだと思います(残りの5割は喋ること)。僕にとって書くということは、対人コミュニケーションのためだけでなく、自分の考えを整理しまとめるための自己コミュニケーションという意味でも、非常に重要な役割を担っています。

Experience Transportersでも、ブランディングの章に「Brand You, It’s A Story」というタグラインをつけています。「ブランディングをするということは物語を紡ぐことである」ということです。ただ闇雲に書くのではなく、ストーリーを作るつもりで書き、ストーリーテリングのつもりで語るというのが重要なポイントです。

長い文章を書く時、僕は大抵1パラグラフ1エピソードになるように書いています。脈絡立てて繋がったエピソードの連なりがストーリーになるという考え方です。日本には古来から起承転結というモノを書く時のの考え方がありますが、僕の場合、起(承転)(承転)(承転)…結、というイメージで書いています。一つ前のエピソードの「転」を受けて、次の「承」が始まりまた「転」を受けて、「承」へと繋がる。従って、異なるエピソード間の接点、蝶番の部分が重要になってきます。

一つの内容を複数パラグラフに渡って書いていると書いていて飽きてきますし、書いてる方が飽きてくるということは読んでいる方も飽きてくるでしょう。「論考」と言っているからにはそういったディテールの詰まった文章を書くという手もあると思うのですが、ブログというメディアの特性を考えると、書き方にある程度のキャッチーさは確保しておきたいと思うのです。

H-Yamaguchi.net: 物語は1種類しかない、という話

で、その「映画評論家」島田裕巳氏のいうことにゃ、「物語は1種類しかない」のだそうだ。

登場人物が、なんらかの問題に直面し、それをなんらかのかたちで解決して、なんらかのかたちで成長する。これが物語における「イニシエーション」ということらしい。私なりに一般用語で解釈すれば「課題クリア」だな。で、島田氏は、これだけが人を感動させる物語であって、古今東西の優れた物語はすべてこの特徴を持っている、と解説したわけだ。

島田裕巳氏は宗教学者で、宗教におけるイニシエーション(通過儀礼)に関して専門的な著作を持っているようなのですが、確かに一番オーソドックスな物語は、主人公の成長を描く、島田氏言うところの「イニシエーション」にあたる展開なのでしょう。加えて大事なのはイニシエーションを読み手に実感させるということです。このイニシエーションがあったことを伝えるための手法が、一貫性のあるエピソードの連なりによるメッセージングであり、対象となる事象、人物、組織などの成長を通して、読み手に読んでいる行為そのものを一つのイニシエーションとして体感せしめる必要があるのです。

とは言えそんな難しく考えなくていいでしょう。イニシエーションと言ったって仰々しいものではなく、些細なことでいいはずです。例えば、ハッピーな気分になったとか、勇気付けられたとか、ちょっと賢くなった気がしたとか、問題意識が芽生えたとか。ただ物語である以上、向こう側にいる誰かに語りかける視点というのは忘れてはならないと思います。

僕は小説を読むのが好きです。昨年は恩田陸氏のミステリーにはまっていました。世界観の作り方、感情移入できるキャラクター、冗長にならないストーリーテリング、そして恩田作品で肝心なストーリーの落としどころの奇抜さ。冒頭で挙げた「Brand You, It’s A Story」を標榜しているからこそ、僕は物語をよくよく読まなければいけないと思いますし、これからも読んでいきたいと思っています。

物語=ストーリーという視点で、物を考えたり物を書いたり物を語ったりすることが、今の僕にはベースになっているのです。

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加藤 康祐 / 企画・設計

1980年1月12日生まれ。フリーランス歴15年。プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。学生時代にデザイン会社でWebデザインを経験。2005年よりフリーランスとしてキャリアスタート。これまでに個人から上場企業まで、100以上のクライアントとのプロジェクトを経験。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの編集・運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート等。趣味はラグビーと料理。Keep the head up, Bind tight & Stay low.

加藤康祐企画設計

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