2021/2/8

統合失調症とプライバシー – テレビ、SNSあるいは妖怪

ちょっと難しいテーマです。統合失調症の症状として、幻聴や妄想と言った陽性症状が挙げられますが、これらの一つの発露として、統合失調症というのは「プライバシーを侵害される感覚を覚える病気」ということができそうです。例えば、テレビを観ていて自分のことが噂されているような感覚、というのがあって、被害妄想とか関係妄想とか言われるそう。画面のワイプなども(小さい窓に出演者の表情が映るやつですね)、自分を覗き込んでいるかのように錯覚します。こういう話は20年前に体調を崩した時にも他の人も言っていたので、ちょっとびっくりかもだけれど、割と典型的な症状なのかも知れません。

僕の場合は加えて、SNSというのがあって、自分がSNSに書いてることをテレビに覗かれていて、自分がSNSに書くことがテレビの出演者の発言に反映され、自分のことを噂されたり、自分の周囲を話題にされているような感覚があったんですね。なのでテレビを観て、SNSに文句を書いて、またテレビを観て、SNSに文句を書いて、書いては消してを繰り返し、しかしこれを知り合いが見てると、荒唐無稽支離滅裂なことを書き込んでるように見える。僕が3年前に体調を崩して、周囲から見て、一番顕著に異常に映ったのはこの部分かも知れません。無駄にインタラクティブ、というか。

プライバシーにかかること、監視されているような感覚、というのは、色々相性が悪いことがあります。アナログで言うと、盗聴、盗撮、デジタルで言うと、ハッキング、パスワード漏洩、アカウント乗っ取り、サイバーテロ、そういう本当はあまり起こり得ないプライバシーにかかるあらゆることというのが実際起こっているかのように妄想して、結果、独り文句を唱えたり、他者に攻撃的になったり、というループにハマってしまいます。僕は最終的に、空に向かって中指を立てたというのもあったなあ(衛星にも監視されてると思っていた)。そういう監視されてる感覚に苛まれると、身動きできなくなるし、逆に動こうとして過度の興奮状態になったりするわけです。

本当にひどいのは一時的だった気がしますが、当時はテレビでデマを流されているんじゃないかと、仕事もろくにせず、24時間テレビを朝から晩まで逆にこちらが監視するような日もあって、かなり神経をすり減らした記憶があるし、SNSに文句を書くだけではなく、実際、テレビ局に電話してクレームを入れようとしたりしたこともありました。テレビ観なければ良いじゃないかと思うかも知れませんが、確かにそれは一つの解で、僕の経験でも状況を一番加速するのはテレビだった気がします。ただ実際は家でテレビの前にいずとも、例えば、商業施設の家電売場とか、スーパーやデパートの館内放送とか、バスや電車のアナウンスとか、雑踏の人の話し声とか、あらゆるインプットが同じ構造で働くので、どちらかというと、それはもう休むべき時期、ということでしかないよなあとも思います。

ところで。昔どうだったのかなあということですが。民俗学的と言うか伝承の類でも、こういうことはあったんじゃないかなあと思うんですよね。誰かに覗かれている、それは例えば妖怪とかお化けとか幽霊とか言うようなことだけれども、そういう話というのは、もしかしたら少なからず実際に病気でそういう経験をした人の話をベースにしている可能性はあって、そこから身を守ったり、元の世界に戻るための示唆も含めて語り継がれていたんじゃないかなあと思います。実際に神に祈るというか、僕が覚えた感覚をより宗教的に捉えてる人もいて、僕にとっての周辺環境で具体的にどんな事柄が影響してくるか決まるわけだけれど(僕やっぱりネット系ですよね)、それは人によるな、という気もします。いやあでも昔の人、大変だったろうなあと思う。そういうこと学術的に研究してる人もいるのだろうか。

ということで、昨晩、ふと一度言語化しておいた方が良いな、という気がしたので、体調を崩した時に経験したことの一部でしかないのだけれど、統合失調症とプライバシーにかかることについて、書いてみました。コロナ禍を受けて、監視社会とかの話題にもなるけれど、監視っていうのはともすれば病的なことと紙一重で、結構怖いなという気もしていますよね。ただ、折々で落ち着いてまずいケースというのを言語化しておく必要はある気がしていて、当事者研究というわけじゃないんだけれども、自分に何が起こっていたかというのも、何となく時間の経過とともに記憶が薄れてわからなくなっていってしまうので、また同じ墓穴を掘らないためには、個人的な「伝承化」が必要な気もするんですね。そんなつもりで書いた。

加藤 康祐 / 企画・設計

プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。

加藤康祐企画設計

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