2020/11/22

会社を畳んだ時の話 – コロナ禍と再出発について

僕が会社を畳んだ理由は、コロナ禍の影響ではなく、2年ほど前に大きく体調を崩したのが原因だったのですが、ふと、会社を畳むという選択肢がどういうことなのか、ということを僕自身もう一度整理しておきたくて、少し書いておこうと思いました。

僕は大体半年くらいかけて体調を崩し、にっちもさっちもどうにもいかなくなって、3ヶ月ほど入院し、仕事を始めたのはその3ヶ月後、軌道にある程度乗ったのは2年目から、みたいなイメージでしょうか。1年ほど休み、3年ほどかけてある程度のところまで戻せればなあ、というのがざっくりした計画です。当時は色々な人にご迷惑をかけたし、仕事も全くできなくなったし、ちょっと仕事できるような状態じゃなかったのですが、僕の場合、入院中の病室で会社を畳むことを決めるという、土壇場、災厄の渦中での意思決定(そんなかっこいいものではなかったけど)になりました。

よく会社は残していれば(株式会社イーティー)、ということを言われることもあるのですが、実際はそういう状況じゃなかったというのが正直なところです。

  1. 仕事ができなくなってるので、収入が止まっている状態が長く続いている
  2. 仕事を回していたので、出ていくお金はそれなりにあった
  3. 療養から社会復帰までの道筋が皆目検討ついてなかった

お金は入って来ないし、お金は出て行くし、今後の挽回の目論見が全く立たなかった、だから倒産を待つくらいなら畳まないと、ということだったようです(この判断をした時は思考回路も切羽詰まってたので、放り投げたに近いですが)。そんな状態だったので(病室から出れない状況だったので)、会社を畳むことは、父と税理士さんにお任せすることになりました。会社を畳むのにも相応の手続きやそのための手数料などがあり、ただ借り入れなどはなかったので、出ていくお金を止めて、払うべきものを払って、法人口座に残っていたのは数十万円程度だったでしょうか。

なんでこんな話をしているかというと、僕のように本人が体調不良にならずとも、コロナ禍でこういうケースは往々にして起きてくるのかも知れないなということと、それはゲームオーバーではないということです。当時のクライアントともお付き合いは残っているものもありますし、知的物的アセットもほぼほぼ今の個人事業に繰り越せています。少し家賃の安い場所に引っ越して、しばらくは生活コストを低く抑えながら休養して、ちょっと時間はかかったけれど、クライアントの数を徐々に増やして再出発を進めています。今の状況に、今の事業のサイズ感はそれなりにフィットしている、そんな風にも思います。再出発をしようと思って切ったスタートではなかったですが、振り返れば、きちんと再出発をできたな、そんな感覚にも2年を経てなっています。

お店を畳んでも、その人が亡くなるわけではないし、腕が廃れるわけでもないのだろうと思います。しかるべきタイミングで次のフェイズがある。勿論、持続化、大事なのは事実ですが、再出発を前提とした廃業、というのは、それはそれでとても価値ある選択だと思います。1年後なのか2年後なのか3年後なのか、わからないですけど、そういう再出発の開業・起業が増える時期があるとした時に、そういう人たちを応援したり支援したり、という政策があるべきだろうと思うし、金融機関などにも積極的にサポートして欲しいなと思います。もしかしたら僕の仕事もあるかも知れない。

2018年、株式会社イーティーを解散、という経験をしてなかったら、僕もこういう価値観にもなっていなかったかも知れません。僕は会社を畳む状況としては、比較的恵まれていたと言えて、ただ自分の体調の方がよろしくなかった。現状でも持続のために粘り通さないといけないと考えている事業者さんも、そうでない事業者さんもいると思うし、従業員を抱えている経営者さんと、僕のように個人でやっている事業主では勝手が違うとも思うのですが、それなりの人が取り得る選択肢、という時に、その先のことをきちんとサポートする枠組みを、今からでも早くはないので、用意しておいて欲しいな、そういう風にも思います。

中小企業の新陳代謝、などという言葉が使われると批判が集まるけれども、社会のレジリエンスを担保するには、廃業と再出発がきちんと応援される社会であること、というのは今、選択を迷っている人にも大事なんじゃないかと思うし、ここ是非やって欲しいなと思っています。

加藤 康祐 / 企画・設計

プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。

加藤康祐企画設計

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