2020/6/17

コンタクト・トレーシング・アプリについて

元々、コンタクト・トレーシング・アプリ、ということには興味があったのだけれど、友人がボランティアで開発に関わったという話も聞き、ここのところ少し調べていました。色々な経緯があってここまで辿り着いたようで、こちらの記事に詳しくまとめられています。

コロナ接触を通知する日本版「接触確認アプリ」を作ったのは誰か?…「6割普及」への挑戦 | Business Insider Japan

まだ、アプリはリリースされていませんが、現段階でのアプリ・デザインについてもGitHubで公開されており、確認することができます。最終的にはCOVID19 Radarで一本化されたとのことですが、両方見ておくと勉強になる気がします。

COVID19 Radar
まもりあいJapan

そこで考えたことを少々。

アプリのインストールについて

コンタクト・トレーシング・アプリは相当数のユーザへのインストールがないとなかなか機能しないとのことで、アプリのインストールがハードルになってくるようですが、一番手っ取り早く効果を発揮しそうなのはLINEの厚生労働省がコロナウイルス対策のアンケートを行ったアカウントでの通知かなあと思います。元々、アンケート参加者は能動的に今回のコロナウイルス対策に協力してくれようとした人たちと言えて、次のステップとしてコンタクト・トレーシング・アプリのインストールを促すことは、文脈的にも繋がるので効果がありそうです。イベント参加者へのリマインドメールに近い(当然離脱者はあるものの)。後は、公共広告とか、場合によっては、内閣総理大臣がアプリのインストールを奨励するお願いをしても良いと思うし、普通のアプリ・インストールのグロースではできないことができ得る気がして、テレビやネットを通じた啓蒙・啓発も進めば、乗り越えられる気もしています。

行動変容について

基本的にこのアプリは、技術的な仕様を割愛すると、接触数をカウントして表示してくれるダッシュボードと、そこから相談窓口に繋ぐCTA(Call to Action)が用意されています。ただ、実際のUXに目を向けると、例えば:

  • 昨晩、酒飲みに行ったけど、カウント増えてないな
  • 一昨日、満員電車乗ったけど、カウント増えてるな
  • 今日、仕事で店頭に立ったけど、思ったよりカウント増えてないな
  • 今週、外回りが続いたけど、思っていた以上にカウント増えてるな

みたいな、その人の行動と接触数のカウントをリンクして考えるはずで、体調と合わせて相談をすることにしたり、そうでなくても少し自制的になったり、逆に少し安心したり、行動変容を促す材料になります。単純に数値の増減を見守るというよりは、自分の行動様式(生活とか職業とか)がどの程度のリスクをはらむか、ということに少し感触が持てるようになるわけで、あくまで「自分の頭で考える」ためのツールと言えます。ステイホームのリモートワーカーと、対人接客する店頭スタッフでは、カウントの桁が違うようなことも想定できますし、実際はそこにあるリスクに応じた防御策も現場で講じられているわけで、接触数5回以上だとリスクが高い、みたいな単純な閾値を設定することも案外難しそうです。ホントはあまり利用を意識せず必要な時に確認して現在の自分の状態を確認できる、スマホにインストールされているものなら万歩計アプリとかに近いものかも知れません。

プライバシーについて

最後にプライバシーについてですが、アプリのデザイン見る限り、行動履歴や位置情報は共有されず、記録も14日間しか保持しない仕様のようです。まあだから、「あの人、感染している可能性高いよ」、と第三者に指さされるようなことはないということですね。ログを用いれば動態的に感染症拡大のリスクを把握できそうだけれど、そうすると全体主義的になったり、監視社会的になったりして、パーソナルな記録に留めて、ユーザの行動変容を促すというのが今回のスコープになっており、アプリの設計の良心で、その辺りがデザインにも反映されているのかなあと思います。

まとめ

というわけで、コンタクト・トレーシング・アプリというのは特効薬ではなく、人々が新しい生活様式の中で日々抱えるリスクを可視化する手段で、「感染のおそれ」に対峙するための判断材料の一つ、ということではあるのかなと思うのだけれど、第二波の可能性も示唆されているし、その中で経済活動や生活をどうしていくのか、完全なるロックダウンではなく、ある程度の都市機能を維持しながら、という日本的なやり方に、親和性の高いツールなのかも知れません。まずはリリースされたものをインストールするところからかなあとは思うけれど、自粛というか、個々人の社会活動の匙加減、みたいなのを調整していく上で、見えない敵と対峙していくための、僕らが持てるセンサーの一つにはなっていきそうな気がしています。

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加藤 康祐 / 企画・設計

1980年1月12日生まれ。フリーランス歴15年。プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。学生時代にデザイン会社でWebデザインを経験。2005年よりフリーランスとしてキャリアスタート。これまでに個人から上場企業まで、100以上のクライアントとのプロジェクトを経験。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの編集・運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート等。趣味はラグビーと料理。Keep the head up, Bind tight & Stay low.

加藤康祐企画設計

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