2020/5/23

生まれつつある新しい社会システムについて

先日、児玉龍彦さんのプロジェクトについて読みました。ニュースなどでも少し話題になっていますね。ちょっとずつ考えたことの整理がついた感じがしたので、このタイミングで一度何か書いておこうと思いました。ウィズコロナ、新型コロナウイルスとの共生ということが言われますが、今の自粛が延長され、ないし、緩和され、ニューノーマルと言われるような生活様式の中で時が進んでいく、イメージできるようで、なかなかイメージしづらい、だからやっぱり先行きが見えない、という感じがあるのではないかと思います。

児玉さんの研究をすごくざっくり解釈すると、日本で抗体検査を行った患者が、通常の患者に比べ、抗体を既に持っている時の反応に近しい変化が読み取れる、ということのようで、仮説として、新型コロナウイルスの流行以前に、類似のウイルスなどによって、既に日本人には免疫を獲得している人が一定数いたのではないかと推量できるようです。これを前提に今後、大規模検査、コンタクト・トレーシング・アプリ、アビガンなどをはじめとした治療薬の導入などで、より能動的な治療に踏み込めるのではないか、そういう風に理解しました。

受動的な治療、すなわち、自己申告し、医療機関を受診し、検査をして、隔離・入院治療を行う、ということに対して、能動的な治療は大規模検査、コンタクト・トレーシング・アプリなどを用いて、広範囲にセンシングとモニタリングのメッシュを作り、経過観察だけでなく、治療薬の投与など積極的な感染症への治療を行う、ということかなと思います。日本(アジア圏)で、感染、重症化、死亡リスクが免疫保持により低いとすることは、言わば今回のケースで静態的条件と言えて、センシングとモニタリングは動態的状況を把握するもの、この2つを前提とすると、より社会活動や経済活動を行いやすくなることが想定されるのではないかと感じました。勿論、これまでに危惧されていたオーバーシュート、医療資源の枯渇は引き続きリスクであることに間違いはないですが、脅威に対して有利な前提条件が見込めそうで、かつ今後はそれを察知し対応する社会システムの準備も進んで来るということであれば、ただ特効薬、ワクチンの開発を待つ、ということだけに希望を持つよりは、幾分考えようもありそうです。

個人消費の低迷、移動頻度の減少、事業淘汰(倒産や廃業)など経済的な影響は不可避な状況で、より業績への影響が如実に現れて来るこれからに不安はあるわけだけれど、限定的とは言え、先に挙げたような新しい社会システムで一定のリスクマネージメントができるようになれば、先日、提示された「新しい生活様式」も拡張していくことができそうで、ただし、大きな経済的な減衰に対してV字回復というのは想像し難く、緩やかな回復を目指す上では、持続的、中長期的支援政策が必要になって来るように感じます。今のところ、終わりなき旅、ではあるんですよね、おそらく。

「赤と緑のシナリオ」(世界をレッドゾーンとグリーンゾーンに分けて考える)や「免疫パスポート」みたいな言葉も出て来ているけれど、完全に安全ということはあり得ないだろうから、免疫を持つことの確度の問題や確率論的なリスクがどの程度という議論もあるだろうけど、検査やアプリでメッシュを作って市中の状況を把握した上で、これまでのように感染者数、病床数、重症化数を見ていくような体制が作れれば、今よりは個人の行動制限も緩和でき、社会に余裕や余力が生まれるのではないか、そんな風にも思います。

世界に目を向けると、後進国での感染拡大が広がっており、食糧不足や暴動、革命、引いては国の崩壊みたいなことまで起こり得ないとは言えないし、SDGsに挙げられているような地球温暖化など別の環境変数、社会問題とも、今の世界の様相は密接に影響し合うものだと思うので、なかなか楽観できる状況ではないけれど、新型コロナウイルスとの共生を目指す上での社会システムが、医療やテクノロジーの先端から、少しずつ形成されつつあるのかな、そんな印象を持っています。

まとめ

ウィズコロナというのは、危機管理の優先度が高まった状態、だと言えて、国家の危機管理(医療体制や検査体制など)、企業の危機管理(時差通勤やリモートワークなど)、個人の危機管理(衛生への気配りや三密を避ける行動様式など)など様々なレイヤーに危機管理がある上で、それが中長期的に持続的に実践されていかなければいけない、という状態ではないかと思います。そしてそのことは社会に沢山の歪みや変化を生み出しています。アフターコロナというのは、そういう意味では、危機管理の優先度を下げられる状態とも言えて、今回のようなセンシングとモニタリングを実現する社会システムの前進があれば、ウィズコロナからアフターコロナへ歩みを進めている、という風にも考えられるのかも知れません。最終的には自然災害のように、危機への対処をしている状態ではなく、危機への備えというフェイズまで社会が落ち着けば、社会も幾分平静を取り戻した、と言える状態になるのではないかと思います。

そんなことを考えつつ、ラグビーいつになったらできるかな、くらいが当座の僕のマイルストンだったりもするのですが、少しずつ先のことを考えられるような研究や施策が専門家の方々の手によって動いて来つつある感じもしていて、なんか良い方向に進んでいけば良いなと思います。「願い」だな、そういう気持ち。

加藤 康祐 / 企画・設計

プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。

加藤康祐企画設計

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