社会問題の変容 – アフター・コロナの社会問題
2013年くらいからでしょうか、関わり方を変えつつも、社会的養護、という親を頼れない子どもを支援する活動を、ボランティアとして、仕事として、サポートして来ました。ライフワークと言えるほど長くはやってないし、マイプロジェクトと言えるほど自分の活動の中心に据えているわけではないけれど、色々な社会問題の中で、僕が社会へのアプローチとして持っている一つの領域になっています。今もちょいちょい社会的養護の子どもたちを支援するNPOのWeb周りをお手伝いしています。
実行委員として関わっていたカナエールは、給付型の奨学金支援を目的としたプロジェクトでした。児童養護施設を退所して進学を選ぶ子どもが少ない、また、中退する子どもが多い、という状況に対して、少人数を対象としながらも集中的にサポートすることで、社会問題の打開を試みました。ここで注目していた数字は、子どもたちの進学率と中退率、プロジェクトが知られ、世の中に給付型の奨学金による支援が広まることで、それが1%でも2%でも改善すれば良いよな、というのがざっくりとしたイメージでした。
なのだけれど、昨今の現状を鑑みると、新型コロナウイルスの流行による社会不安は、こうした進学率や中退率というのも、まるでカナエールがなかったかのように、大きく動かしてしまう可能性があるな、とふと思ったんですよね。社会不安が増大すれば、進学という選択をする子どもたちの背中を押す人たちにも動揺があるだろうし、人生の選択という意思決定に、社会不安というのは少なからず影響を及ぼす可能性はある。1年前、2年前とは、当然状況が変わってくるし、よく危機というのは弱い立場の人にこそ皺寄せを及ぼす、というけれど、今、起きつつある社会の変化が、どういうインパクトを及ぼすのか、ということは考えていかなくてはいけない。
一斉休校の時に、NPOや子育て支援界隈の人たちもかなり声をあげていたけれど、感染症の流行、経済の低迷、というのは、これまであった社会問題を変容させていく可能性があるんだろうと思うんですよね。震災の時もそうだったかも知れないけれど、今回はより中長期的に広範囲に社会に作用する感じがしていて、新型コロナウイルスの流行という災厄があって、それがおさまるまで待てば元通りになる、経済や生活が必ずしもそうでなさそうなように、社会問題というのもその状況や性質を変えていく可能性があるな、という気がします。
社会問題はコロナを無視できない、というか、コロナが社会の直面する一番大きな問題となった時に、それを織り込んで社会問題をどう解決していくか、ということを考えていかないといけない状況になって来ているのかなあ、という気がします。勿論、過去の試みは、様々な効果や思い出や経験、それから挑戦を生んだわけだけど、しかし、そこで生んだ社会的な効果は、今回のコロナショックで減衰させられたり、方向転換を余儀なくされたり、無効化されてしまう部分も少なからず出てくるのではないか、そういうことをイメージしながら、今後のことを考えていかなければならないのではないか、そんな感じもしています。
ちょっと腰を据えて考えていかないといけないことだな、という気がしています。

加藤 康祐 / 企画・設計
プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。
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フリーランスとして働き始めるってどういうことだったのか?フリーランスとして働くってどういうことなのか?フリーランスが目指すことってなんなのか?5年間の自分の経験から書きました。(2010年執筆)