2020/3/12

戦争に反対する唯一の手段は各自の生活を美しくしてそれに執着することである – 社会不安と対峙する

コロナショック、世界恐慌、パンデミック、非常事態宣言、封鎖、中止、買い占め、内定取り消し、医療崩壊、爆発的な感染。テレビのニュースを見ていると、かなりショッキングな言葉が並びます。しかしながら、これは現実に起きていること、起きようとしていることの説明の言葉で、ないことにすれば良い、ということでもありません。「不安」という言葉を耳にすることが多くなりました。社会システムの撹乱に対して、社会に生じているのは「不安」。

正しい情報が必要なのか、安心のためのお金が必要なのか、確かにそれらは助けになるかも知れないけれど、限界があって、情報やお金だけではなかなか社会に蔓延する「不安」を払拭できないように思います。コロナウイルスの対策は長丁場と言われます。昨日は東日本大震災から9年を経た3月11日ということだったけれど、震災からの復興も、その意味が大分変わっています。何によって人は不安を解消されるのか、大きな社会不安が改善に向かうにはどうなれば良いのか、ベーシックな問いだけど、目下、そういうことが社会が直面している課題なのではないか、そんな気もしています。

そこでふと思い出した言葉が、「戦争に反対する唯一の手段は各自の生活を美しくしてそれに執着することである」という、作家の吉田健一さんの言葉でした。戦争ではないが、震災、そして、パンデミック、社会が直面する危機にあって、脅威への不安を払拭する手段として「各自の生活を美しくしてそれに執着することである」ここに戻ってくるのかなという感じもしたんですよね。

社会システムの撹乱に対して、対抗する社会の最小ユニットというのは家族です。そこには生活があります。生活を美しくするということは、日常を整える、正すということ。それに執着するということは、それを守る、保つということ。美しい、という言葉は少し人によって受け取り方の違う言葉だけれども、例えば、子供の笑顔とか、美味しい食卓とか、片付けられた部屋とか、そういうことかなあと思います。そこを調律していくことが、社会の恒常性に繋がって、蔓延する社会不安を薄らげてゆく。

なかなか果てしないアプローチにも思えるけれども、逆に言うと大きく傾いてしまった社会のバランスは、そういう一つ一つの社会の「粒」が改善することからでしか、なかなか元に戻し得ないということと、社会を構成する1人1人が最低限できること、という意味では、一番「確かなこと」なのかも知れないなとも思います。

病気のメカニズムが解明されるとか、感染の拡大が止まるとか、ワクチンが開発されるとかすれば、大きく社会不安も解消をされるのかも知れないけれど、なかなかすぐに結論が出る話ではなさそうです。イベントの自粛や一斉休校はライフスタイルやワークスタイルに大きく影響を及ぼしていますし、経済の低迷や金融市場の混乱もあります。情報が足りない、お金が足りない、をやっていると不安は大きくなるばかり、どこかで「満ち足りを知る」を「足りない」より強くしてあげる必要があって、まあでもそれは「考えよう」というか、マインドセットの切り替えによるんだろうと思うんですよね。

という時に、「戦争に反対する唯一の手段は各自の生活を美しくしてそれに執着することである」という言葉は、社会不安が蔓延する現状にあって参照する言葉として、とてもわかりやすく、ある意味で「便利」な言葉ではないかな、という感じがします。自分を変えよう、とかいう話でもなく、ただただ、生活を美しくしよう、というところに向いていくという。多分、生活を美しくするということは、色々な要素を包含していて、当然、見ばえのことだけでではなく、ゆえ、なんかそこから新しい試みやアクションが生まれれていくことも多いような気がします。また、色々な制限や制約が課せられている現状にあっても、意識して実践しやすい、現実的でシンプルなアクションプランでもあるように思います。

確か、この言葉、以前、東日本大震災の時にも引用したような気がしていて、だから昨日、震災後9年目を迎えて思い出したということなんだけれども、不安に対するロジックとして、一つの軸になる気がしますね。

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加藤 康祐 / 企画・設計

1980年1月12日生まれ。フリーランス歴15年。プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。学生時代にデザイン会社でWebデザインを経験。2005年よりフリーランスとしてキャリアスタート。これまでに個人から上場企業まで、100以上のクライアントとのプロジェクトを経験。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの編集・運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート等。趣味はラグビーと料理。Keep the head up, Bind tight & Stay low.

加藤康祐企画設計

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