2020/3/8

僕はいかにパンデミックについてわかってなかったか?という話

最近、改めて思うのが、僕はパンデミックについてよくわかってなかったな、ということです。これだけ科学が発展した時代に、日本が疫病で悩まされることはないんじゃないかとか、公衆衛生の状態の悪い途上国で起こることなんじゃないかとか、根拠のない思い込みというか希望的観測だったわけなんだけれども、何となく考えなくて良いことにしてしまっていたなあ、という気がします。

しかし実際は、これをパンデミックと呼ぶことになるかはまだわからないけれど、新型コロナウイルスは世界的な流行の様子だし、広まるスピードも早いし、各国が対応に苦慮している様子もメディアを通じてですがうかがい知ることができて、大きな災厄になっているように見受けられます。なので、ここは、まず自分はパンデミックについて全然わかっていなかったな、というスタート地点に立って、いかにパンデミックについてわかってなかったか?という記事を書くことで一旦整理を試みることにしました。

パンデミックはいつでも起こり得た

今回、こんな本を読んでみました。National Geographicからつい最近出た本で、図解を交えてコンパクトに世界的な疫病について整理されており、僕のような入門者にもわかりやすいものでした。たまたま最近日本で大きな流行がなかっただけだな、と考えることもできます。

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また、NHKスペシャルの「MEGA CRISIS 巨大危機~脅威と闘う者たち~第3集 ウイルス“大感染時代”~忍び寄るパンデミック~」という特集をNHKオンデマンドで観ることができました。ここでも近い将来、パンデミックは起こり得て、日本でも大きな流行が起きる可能性があることを示唆しています。

ウイルスを抑制することへの想像力の不足

これも想像力が足りなかったよな、と思うのですが、ウイルスを抑制するためには、人間の活動を抑制する必要があって、それは社会の機能を抑制することになって来るのだな、ということがあります。今回のような恣意的に社会の機能を抑制するような試みは、東日本大震災の時の計画停電くらいしか経験がなく、「社会システムへの撹乱と専門性」にも書きましたが、ウイルスの流行がこれほどまで社会システムに影響を及ぼすことになろうとは、と思います。世には今回の対応から生まれる混乱を「人災だ」という声もありますが、実際、災害というのは「”天為”と”人為”の相関」で、以前書いた、「『人はなぜ逃げおくれるのか―災害の心理学』 – 予知できれば対処できるか? – 災害文化の醸成について」という記事に詳しいです。

モニタリングとセンシングの難しさ

また、「科学的根拠」という言葉をちらほら耳にしますが、一方で僕らは今回のウイルスの流行のセンシングとモニタリングの難しさについても自覚的になっていなければいけないと感じます。レジリエンス 復活力–あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何かという本のまとめとして、僕はレジリエンスについて「頑強なシステムは脆弱性を孕む。クライシスを許容するシステムが必要であることと、危険が閾値を超えた際に、その状況の変化への適応ができるシステムでなければならない。その適応のためには危険のモニタリング(監視)とセンシング(察知)が必要。」と整理しましたが、変化に適応できるためには、イマココの状態が正確に把握できている必要があります。中国ではITを用いて、この監視と察知の部分かなり先進的な取り組みがされているようです(スマホを通じて、バイタルデータを日々政府に提出するとか、どの電車の何両目に乗ったか申告するとか、日本で同じことをするのはかなり難しい印象がありますが)。

数字の揺らぎと推計

例えば、WebサイトならGoogle Analyticsのようなツールで、ログを詳細に分析することができ、改善や対応の施策を根拠を示しながら立案するのは容易です。しかし、感染者数、致死率、死亡者数、というような数字が毎日更新されていますが、世の中からサンプリングして市中感染の度合いも踏まえて把握した感染者数ではないですし、コロナウイルスによる肺炎と検査・診断されずに肺炎で亡くなっている方も既におられる可能性があります。武漢のデータにどこまで頼ってよいのかという問題もあります。かなり揺らぎのある数字をベースに、感染の実態を推計して、更にはその感染拡大の推移を推計して、それに対応した施策を考えていかなければなりません。韓国では積極的な検査によって軽症の人も入院し、結果、病床数が足りず自宅で亡くなる方が増えているそうですが、むしろ確定的に見れる数字は、残病床数や医療従事者数、窓口への相談件数といった数字のような気がしていて、感染の拡大が収束するまで、これらの数字を制御していく必要がありそうです。

まとめ

4つ僕が気になったポイント上げてみましたが、これまで考えたことなかったことだなと思います。他にもたくさんありそうですが(まあ、ほとんど知らなかったし、考えたことなかったよな、という気がしている)、わかってなかったなと、わかること、というのは大事な気がしていて、最近、テレビに出てくる専門家の方でも質問に対して「それはわからない」「それは断定できない」という答える方も増えて来ていて、逆に言うと、徐々に「確定できること」「〇〇が足らないから確定できないこと」「未知のこと」みたいなことの切り分けも進んで来ているのかな、という気もします。そういう整理をじっくり進めていくことでしかないだろうな、正しい理解を作っていくというのは。

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加藤 康祐 / 企画・設計

1980年1月12日生まれ。フリーランス歴15年。プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。学生時代にデザイン会社でWebデザインを経験。2005年よりフリーランスとしてキャリアスタート。これまでに個人から上場企業まで、100以上のクライアントとのプロジェクトを経験。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの編集・運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート等。趣味はラグビーと料理。Keep the head up, Bind tight & Stay low.

加藤康祐企画設計

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