2020/3/6

社会システムへの撹乱と専門性

専門性、専門家、プロフェッショナル。色々な解釈がありそうだけど、今回のコロナウイルスの件に関して言えば、感染症の専門家、公衆衛生の専門家、ワクチン開発の専門家くらいが考えられますし、テレビのコメンテーターとしても、そうした専門家の人たちがしばしば出て来ます。僕もよくよくお話を聞いていて、科学的根拠に基づく考察・検証というのは重要なことだと思います。

一方で、地震、台風被害、感染症、テロなど、僕らの社会が直面するクライシス、つまり危機は、それぞれ別の事柄ながら、「社会システムへの撹乱」という意味では一致していて、危機に際しては、社会システムが撹乱され、混乱を生み、その影響範囲はとても大きくなる、ということも僕らは経験的に学習してると言えます。

脅威に対する一次的専門性

感染症対策には科学的にそれを研究している感染症の専門家の意見が不可欠なのは確かなのだが、地震や台風被害なども科学的にそれを研究している人がいて、ただ防災ということを考えるのに、それだけでは足らない、ということはよくよくこの数年で語られて来ました。脅威による社会システムへの撹乱があると、様々な領域への影響があります。ユレッジでは、「プロフェッショナルと描く防災の鳥瞰図」ということで、「防災以外の専門家」に防災について論じてもらう、という挑戦をしたけれど、今回の感染症に対しても似たような必要があるように思います。

社会システムへの撹乱に対する二次的専門性

実際は、政府の一斉休校の号令を受けて、教育機関や企業も柔軟に対応しているし、NPOや子ども食堂、地方自治体も指針を模索していて、そういう現場にはそれぞれの専門家がおり、プレイヤーとして感染症の拡大防止をにらみながら、自分の現場(持ち場)のレジリエンスを維持するために、知恵を絞って、アクションを起こしています。脅威に対する一次的専門性、というのはアカデミックに深い研究が必要なのは勿論だけれど、社会システムへの撹乱に対する二次的専門性、というのが社会システム全体の恒常性を担保するには大事になって来ます。

横断的な研究と複眼的な対処の工夫の必要性

こういった話は、危機管理とか危機対策、という言葉でまとめられることもあるし、システムズ・レジリエンスという社会システムの自己回復力を考える研究もあるけれど、社会システムの撹乱に対する「政治判断」と呼ばれるものは一次的専門性に頼るだけでなく、二次的専門性を包摂した判断が必要になるでしょう。経済、教育、医療、福祉、雇用、介護、金融などなど、社会システムの撹乱は様々な領域に影響を及ぼすもので、脅威そのものの研究だけでは足らない、というのが実際だと思います。

情報を収集する側としても、そろそろ、一次的専門性に基づく知識だけではなく、二次的専門性に基づく考察も踏まえて、社会システムのどういう機能がどういう風に撹乱されているのか、それに対する対処や生じた課題に対する解決策は何なのか、そしてそれが自分や家族の生活や仕事に影響があるのか、みたいなことを考えていく必要がありそうです。

まとめ

社会システムへの撹乱に関して考える、社会システムの自己回復力について考える、というのって、言葉が大き過ぎて、しばしば抽象論になりがちなんだけど、自分がウォッチする専門性や専門家という意味の枠組みを広げると、より社会の変化に対して想像力を働かせやすくなる、ということはあるかも知れません。

まあ、頼りにする情報の枠組みを広げるということは安心に繋がる気もしますし(間違ったこと言ってたり、不安を煽るような人参照しちゃうとまずいですけどね)、今、世の中がどういう状態にあってどういう方向に進むのか、ということを類推しやすくなるんじゃないですかね。

脅威に対する専門性を、一次的専門性と二次的専門性に切り分けてやると、考えやすくなるのではないか、という話でした。

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加藤 康祐 / 企画・設計

1980年1月12日生まれ。フリーランス歴15年。プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。学生時代にデザイン会社でWebデザインを経験。2005年よりフリーランスとしてキャリアスタート。これまでに個人から上場企業まで、100以上のクライアントとのプロジェクトを経験。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの編集・運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート等。趣味はラグビーと料理。Keep the head up, Bind tight & Stay low.

加藤康祐企画設計

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