2019/6/25

働き直すのデザイン – 障害者就労、就職氷河期、社会的養護

今日も仕事仲間とご飯食べながら話していたのですが。僕らの業界、言うなれば、デザインとかITとかWebとかという専門領域というのはあるのだけれども、それとは別に興味分野みたいなものがあります。テーマと言っても良いのかな。例えば、仕事仲間はデザイナーだけれど「犬」が大きなテーマだったり、僕はもうちょっとテーマが散逸しているけど例えば「食」だったり「器」だったりして、主にクライアントとの出会いがきっかけだけれども、いくつかそういうテーマを持っています。

実際、漁業や農業のクライアントの仕事をして料理することが趣味になったり、陶芸家のクライアントの仕事をして家の器が増えていったり(まあこれ散財しているので、悩みのタネでもあるけれども)、仕事でのテーマが生活や暮らしに降りてくることも多く、それが自分のCharacteristicsを形作る大事な要素にもなるなあ、という気がします。学習することも多いし、仕事を通じて経験的に理解することも多いし、実際に色々な現場で目で見たり肌で触れたりする機会に恵まれることも多いです。

さて。

最近、気になっているテーマがあります。タイトルに挙げた「障害者就労」「就職氷河期」「社会的養護」。障害者就労については先日『障害者の経済学』の感想エントリに少し書いたけれど、今まさに変化の真只中にある分野です。「就職氷河期」のことも久方ぶりにニュースで最近話題です。8050問題などというキーワードも出て来ています。「社会的養護」親に頼れない子どもたちについては、2017年に終了したカナエールというプロジェクトを通じて、進学格差の問題に関わって来ました。

これらって別々の社会問題のようですが、実は大きく見ると「就労」だったり「働き直す」ことの問題ではないかなあという気がします。終身雇用のエスカレーターの仕組みが崩れ去って、働き方に多様性が生まれている一方、ドロップアウトする人も少なくない。非正規雇用を転々とする人が増えていたり、一昔前はブラック企業という言葉も流行りましたが、心身の疲れで仕事を休む、離れるというケースもままあります。

やり直しが効く社会、セーフティネット、リカバリー。制度はそれなりに設計されているけれど、現実はやはり厳しくて悩んでいる人も多いように思います。特にハンディキャップを抱えている人や、保険や担保になるものが少ない人は、乗り越えなければいけないハードルも多く、社会全体として働き方に「インクルーシブ」な視点が必要ではないのかなあと感じます。やっぱり仕事って人生の軸になるもので、しかしそれは決してスーツを着て定時オフィスで働く、ということだけじゃなくて、家にも作業所にも個人の事業主にも中小の事業主にもあてはまって、都市と地方の違いもあるし、限定的にしか働けない人もいて、その辺ってまだまだアップデートされていかなければいけないのではないかと思うのですよね。

しなやかな社会というけれど、弾力性が求められるのって、特にそういうやり直すとか働き直すとか生き直すとか、そういう部分のレジリエンスなのかなあと。勿論、社会制度の設計だけじゃなくて、個人やコミュニティも成長というか、新しい形を模索していかなくてはと思うけれども、そういうところのデザインって、誰がどうやっていくのだろう、そういうことに関心があるのかなあ、という気がします。僕自身、フリーランスというあまり型にはまらない成約を受けない働き方を選択してきた中で、働き方を変えたり、少し休んだり、収入が増えたり減ったり、色々なことがあって、ある1つの社会問題というよりは、色々なところで、そういうことを考える機会があるのかなあという気がします。

なんかその辺、今後のテーマになりそうだなあという気がしています。

加藤 康祐 / 企画・設計

プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。

加藤康祐企画設計

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