2019/4/21

社会復帰が楽しい、という話

寛解って言葉を最近知りまして。「全治とまでは言えないが、病状が治まっておだやかであること」を言うそうです。確かに僕の統合失調症という病気は、完治とか全治とかなかなかなり得ない病気だし、昨年体調を崩さぬとも、服薬は22歳の時からずっと続けていたわけで、ああこの「寛解」という状態を迎えて、維持する、というのが大事なのだろうなあと思っているこの頃です。まあなんか良い言葉ですよね、「寛解」。

さて今日は社会復帰が楽しい、という話を書こうかなあと思いました。僕は社会復帰を試みるのは2回目で、1回目は22歳の時、その時は仕事を始めるまでに3年ほどリハビリ期間というか静養期間を取っています。今回は3ヶ月の入院を経た後、10月には一応開業して、半年経った今、徐々に仕事に戻りつつあり、社会復帰のペースとしては、前回と比べると早いし、進行的にもいくつか業務実績も加藤康祐企画設計として出すことができ、比較的順調と言えるのではないかなあと思います。

社会復帰の楽しさの前提にあるのが、「絶望」だと思います。いきなりトーンダウンですが、これ結構大事で、「絶望」するって結構難しいんですよね。なんか希望があったり、まだどうにかなるんじゃないかとか、まだどうにかできるんじゃないか、と思っているうちは人間頑張ろうとしてしまうのだけれども、きちんと「絶望」すると、フラットな気持ちでスタートラインに立てると思います。まあただ、すごく特殊な状況下、僕の場合は医療保護入院という形になってしまったけど、そういう環境が整った状態でないと、なかなかできないこと、というのもあるかなあと思います。

僕の場合は会社潰れるとか、仕事続けられなくなるとか、普通の生活ができなくなるとか、あと病院を出してもらえなくなるとか、そういうことに怯えた状態で入院して、最終的に全部一旦諦めるわけだけれども、そうやって、背負っている荷を一旦下ろすことは、集中的なな休養が必要な時には不可欠なことだと思います。

その上で、社会復帰が楽しいということ。これは言わば、ビジネスの面においても「リカバリー」ということなのだけど、ほぼゼロベースの状態に戻って、少しずつできることが増えたり、何かを作って世に出せたり、売上が立って報酬が振り込まれたりする、というのは商売の原体験で、久しく忘れていた感覚というか、忙しさの中で少しずつ麻痺していった感覚のような気もします。きちんとクライアントが抱えているこういう問題を解決したから、自分の口座にいくら振り込まれる、という当たり前のことのありがたみを再確認する良い機会のように思います。

実際に、できなくなったことがまたできるようになったりとか、これまでと遜色なく仕事ができているなと確かめることは、日々の生活を送る上での安心感にも繋がっている気がして、特に僕の年齢になっての療養と仕事というのは、なかなか切り離せないものだなあ、という気もしています。なかなか療養に専念するということだけだと埋まらないものもあって、やっぱり自分が仕事をこなせたり、少しずつでも食べていける水準に近づいていったり、ということが、残りの時間を安心して休むことに使う、ことにも繋がるのかなあと。

絶望の焼け野原から、少しずつ希望が芽吹いていって、いくつかの仕事が花を咲かせて、種子を得てそれをまた撒いて、かなりそれまでと比べてシフトダウンなんだけど、それを着実にやっていくことは決して埋め合わせとか、やり直し、ということだけではなく、自分のこれからのワークスタイルだったりキャリアだったり仕事観や人生観みたいなものに、また少なからず影響するのだろうと思います。実際、これまでとは価値観も変わったのかな、という気がしていて、新しい自分を形作っていくのも楽しみであります。

後は、昔より病気に関してオープンマインドでいられる社会の変化、というのもあるのかなあと思います。この二十年ほどで世の中の理解も大分進んだと思うし、病気のことや、障がいのことを、発信する個人も増え、それに応じてSNSを始めとしたメディアもツールも増えました。僕の身の上話をしていくことに関する肌感覚も、今回大分変化があったように思います。

まあただ、ひとえに社会復帰と言ってもわかりやすい正解はなくて、週5日8時間働くことなのか、収入が一定水準を満たせば良いのかみたいなところから、やりたい仕事をやるとか、好きなことを仕事にするとかいうところまで、目的とするところは自在に設定し得て、僕にあってはとりあえず加藤康祐企画設計として過負荷にならずに「続けていける」実感が伴うまで、仕事が回るようになることがまずは大事なのかなあという気もします。

いずれにせよ、昔のように仕事ができなくなってしまったと悔いる気持ちはなく、割と今、自分のペースで仕事できているし、少しずつ仕事の量も増えて幅も広がっているから、割と現状に納得できるな、というステータスなので、やっぱりリカバリーでありつつもリスタートなのと、せっかくできた余白をこれまでと違う埋め方をしよう、というところに新しい楽しさも出てくるのかなあと思います。

社会復帰が楽しい、という話。

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