2019/3/3

『子どもの未来をあきらめない 施設で育った子どもの自立支援』高橋亜美 早川悟司 大森信也

Amazonで在庫切れになっているから、もしかしたら結構な人に今回読まれるのかも知れない。先日の児童養護施設で起きた事件で亡くなった大森信也さんが参加した著作、『子どもの未来をあきらめない 施設で育った子どもの自立支援』を読みました。2015年の出版だそうだから、僕がカナエールやってた本当に最中だけれど、子どもを巡る現状に関して、とてもわかりやすい文章と構成でまとめられているので(内容的に読みやすいか、と言われると、読みやすいのだが、かなり真に迫ったことが書いてあり、読み進めるのは苦しい)、たくさんの人に読まれて欲しい本だなと思いました。

子どもの未来をあきらめない 施設で育った子どもの自立支援
高橋 亜美 早川 悟司 大森 信也
明石書店 (2015-07-01)
売り上げランキング: 3,326

失業、貧困、病気、犯罪。18歳で施設を出ることを余儀なくされる子どもたちには、何かあった時の担保や保険になるものが少ない。18歳を過ぎれば大人なんだからという自己責任論もあるのだろうけれど、今回の事件を受けて、やはり国が言う自立が、うまくいかなかったケースを考えざるを得ないなと思います。事件は事件、なのだが、そのように追い詰められてしまっている子どもが、世の中には相当数いる、ということへの僕らの想像力ということだろうか。そういうことの助けになる本だと思う。

今回の事件、児童養護施設の退所者が施設長を殺害した、ということより、大森さんを失った、ということなのだろうと思います。大森さんがどういう現場で何を考えてどのように子どもと接していたのか、ならば残された人たちは何ができるのか。今回のようなことが起こらないように、そのような状況に子どもが陥らないように、社会全体が子どもの支援に取り組まなければいけないことがこの本には記されていて、だからこそ残された人たちが代わりに実践をし続けていかなければ、亡くなった方の冥福も祈れないのではないだろうか、そんなことを思いました。

あと日本の福祉は全然ダメなのか、というと、そういうことではないと思う。社会資源は充実してるし、支援団体も頑張ってるし、色々な現場で色々な人が動いていて、ただそれでも子ども一人ひとりの個別の問題に、きめ細やかに対応しながらサポートしていくことは、とても難しいことなんだ、ということなのだろうと思う。一方で、子ども自身が社会の様々なサービスやインフラを活用して、生き抜いていくことも、あまりに色々なことがある人生でやはり難しいことなんだ、ということでもあるのだろうと思う。

広い意味で、福祉を支援する、みたいな感覚が、これからの時代には必要で、高齢者のこともそう、障がい者のこともそうだし、子育てのこともそうだろうけど、税金を納めてサービスを享受する、からもう一歩それぞれが踏み進める、ということなんじゃないかなあと思います。

とても良い本でした。

子どもの未来をあきらめない 施設で育った子どもの自立支援
高橋 亜美 早川 悟司 大森 信也
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