2018/1/6

「今日のニュース」の落とし穴 – スローメディアとプロジェクトに必要なバッファの話

突然ですが、横浜中華街に行ったことがありますか。中華街、半ば観光地で、勿論、地元の人しか行かない美味しいお店も多いのですが、遠方からの来客も多く、特に週末の客引き合戦はかなり熾烈です。お店の入口を見ると、「テレビで話題!」「○○に取材されました」ということで、場合によっては当日の放映された映像をPOP代わりに流しているところも。取材されたの何年前かわかんないけれど、あれだけお店がひしめき合ってると、初めて訪問する人は何か手がかりが欲しいもので、メディアに取り上げられたことがアイキャッチになっているわけですね。

なんか不思議な導入をしましたが、今日はちょっとプロジェクトとメディア、について書いてみようと思います。ポイントを2つ挙げると「スローであること」「バッファが効くこと」かなあって思います。PRやプロモーションを専門にしている人にはあたり前のことかも知れませんが。

今日のニュースの落とし穴

今日のニュースってあるじゃないですか。最近だとスマートスピーカーが読み返してくれるような。僕の若い頃からのニュースのイメージというのもそれだったのですね。テレビをつけるなり、新聞を開くなりして、今日のニュースを観るなり読むなりする。それを日々積み重ねたものが社会の理解になっていたのだけど、今日のニュースって今日しか接点ないですよね。ほとんど。

マスメディアの難しいところは話題になる代わりに、それがすごく刹那的だということです。基本的には賞味期限が「今日」だから。マスメディアに掲載される準備は、例えば密着があったり、インタビューがあったり、特集されるとなればとても大変ですけど、その時間帯にそのコンテンツを見ている人にリーチする、そういう特性がある以上、思っているより、その効果を計算したり、プロジェクトのプロモーションの設計に組み込んでいくことが難しかったりします。

勿論、アウトリーチは必要で、マスメディアで話題になることは重要。一気に目的のコンバージョンを刈り取れる可能性もあります。事実ある。ただ、読めないなあっていうのが、なかなか実際難しいところです。

スローメディアとプロジェクトに必要なバッファ

今日のニュースの対義語のような言葉ですが。「スローメディア」。これは何を指しているかというと、じっくり取材してもらい、ゆっくり記事にしてもらって、じわじわと広まる、というようなイメージ。具体的にはネットメディアで公開された記事がSNSで徐々に話題になり拡散され息長く読まれるということのようなイメージです。

プロジェクトをやっていると、365日のうちの1日に強烈なアテンションを欲しいのかというと、そういうわけでもなくて、例えば365日のうちの30日とか60日とか、継続的に緩やかなアテンションを取り続けて、関係性を繋ぎ止め、継続的にメッセージを届け、同じ目的に向かってもらいたい、みたいなことがしばしばあります。なので、僕がプロジェクトやってて、特に大事だと思っていたのは、このスローメディアと、+そこから繋ぎこんだオウンドメディアでの刹那的でない繋がりです。

スローであること、バッファが効くこと。プロジェクトの膂力をつけるのには、この2つが必要なのだろうなあと思うのですよね。

シンプルな問い

すごい単純な話をすると。

「今日のニュースを見ていて、人生で何回これ行こうと実際に行ったことがあるか?」

ということなのですが。これが自分を振り返ると、恐ろしいくらい回数少ないんですよね。ほんと、具体的な例を一つも思い出せない。何百も何千もそういう情報に触れて来たはずなのに、全然覚えてない。これ怖いなあと思うんですよね。

むしろ、自分で探したり、見つけたり、友達が話題にしていたとか、紹介していたとか、目上の人に教えてもらったとか、友達に薦められたとか、後輩に誘われたとか、そういうことなんだよな、っていう。どちらかと言うと、検索的だったり、SNS的だったり、インターネット的だったりする。

勿論、そういうことの入口にマスメディアでの情報発信があるケースも多いと思うのですが、コンテキストからコンタクトポイントまでは大分距離が離れていることが想定できて、なかなかダイレクトに働きかけられない、というのが実感です。この辺の難しさがあるんじゃないかなあと思います。

スローメディアとの仕事、プロジェクトに生まれたバッファ

昨年までプロモーションを担当していたカナエールでは、色々なネットメディアにお世話になりました。どれもスローメディアと言っていい。Earth Garden、greenz.jp、soar、Rhythmoon、それから大手だけれども現代ビジネスなどなど、他にも僕以外がアプローチしてくれたメディアもあり、僕が関わったところだけでも、編集者の人とコミュニケーションを取りながら、内容の濃いコンテキストが生まれて、それが多いにプロジェクトの膂力になりました。それぞれにメディアのファンがおられ、それがコミュニティを成しており、そこにカナエールというコンテキストが受け入れられて広まっていく様子が見て取れました。

実際、チケットの販売期間は90日間ほどあり、この期間に様々なメディアが作ってくれたバッファによって、徐々にアテンションが膨らんでいく、そんな感じになっていたと思います。そこにはやはり継続的に点ではなく線で、それをいくつも重ねて面で、一般の人達にアプローチしていくことが必要で、ここにスローメディアの価値があったんじゃないかなあと振り返ります。

一方で、僕の部屋には新聞を大きく飾った当日のコンテストの記事が額装して飾ってあって、これはマスメディアです。だから、それぞれの機能性とか特性を考えておかなければいけなくて、即効性なのか、遅効性なのか、刹那的なのか、継続的なのか、ということをプロジェクトを運営していく上では捉えていないといけないんじゃないかなあと思います。

まとめ

今日は毛色を変えて、プロジェクト側から見たメディアについて少し書いてみました。マスメディアにもネットメディアにも、プロジェクトって救われることがとても多いです。であるがゆえに、それぞれについてプロジェクト側も丁寧に理解しておかないといけないなって思うんですよね。

中華街ですが。街頭のテレビ録画に惹かれる人もいれば、匿名のグルメブロガーの記事に誘われる人もいて、情報で人が動く、ってまだまだ思い通りにいかないことたくさんあるよなあって思います。

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