2016/7/29

仕事とは? – 広義の仕事と細かい粒度

加藤さんは大体酔っ払うと「仕事とは?」みたいな話しかしない、というのは仲間内だと定説になっておりまして、まあ8割方実際そうだと思うのですが、最近、この辺、僕があまりに広義の「仕事」という言葉を使っているのだな、ということにふと気付きまして。昔だと、ビジネスとプライベート、仕事とボランティア、オンとオフの境界線がないワークスタイル、ライフスタイル、みたいなことを言っていたと思うのだけど、最早そうですらなくて、すごく「広義の仕事」ということをすごく「細かい粒度」ことに宛てがってるなあと思うのですよね。

結論から先に言うと、「役割を果たす」ことが「仕事」ということかなあと思います。

ただ、例えばこういう使命があって、こういう役割を果たす、みたいな大上段の話というより、なんかすごい些細なことがそうなって来た気がするのですよね。

ソフトウェア開発では「チケット」というタスクの受け渡しをします。この人がこの課題をここまでやって、こうなったから担当を他の人に受け渡して、受け取った人がそのチケットを進めるようなのが基本的なイメージ。ソフトウェアみたいな構造物を作って回していくためには無数のチケットが発行されて、色々な人達の間でチケットが受け渡されて、固定的なチームでもなくて、チケットごとに関係者が疎結合のような形で関わりあうようなイメージです。こういうのは自分に担当が振られた時に宛てがわれた役割を果たせば次の人に受け渡されるわけだから、割とわかりやすい「仕事」ではないかなあと思います。

もう少し日常的なことを言うと、例えば重い荷物を運ばないといけない時に「ああ、俺やります」と言うのは役割を引き取るという作業になるわけですよね。でまあ、やると言ったら運ぶわけで、重い荷物を運ぶことが「役割を果たす」ことになって、だから「仕事」になる。もっと簡単なことだと、例えば「カメラ持って来てください」って言うのはカメラ持って来てくれという依頼が、写真を撮るという役割になる。じゃあ「役割を果たす」ことって何かと言われると「撮影すること」となる。あとなんかそれ説明書き1枚作った方が良いんじゃない?みたいな時は、役割を見つけたり、役割を作ったりするみたいなことですよね。それでまあわかりやすい説明書き作れれば、それは役割を果すことになって、ああちょっと良い仕事したな、みたいなのがある。

「役割を果たすこと」=「仕事」でもないのだろうと思います。なんかでも構図として、それシンプルでやりやすく、だからこそ、楽しくしやすいみたいに思ったりしている。ああここでちょっと仕事すると楽しそうだなー、というような。カジュアルな。

EUREKAって言葉がありますけど、仕事を探す、ってのは、役割を見つける、ってことなのかも知れないですね。別にずっと仕事してなくて良いんだけど、「仕事化」できると、ちょっと人の役に立てたり、人を良い気分にさせたり、逆に人を褒める機会になったり、人と語らう機会になるので良いのかなと。

ところで、僕がやってる「仕事」の1つにETの独自プロジェクトというのがあります。例えばET Luv.Lab.とかユレッジとかですよね。この辺、仕事だって言ってるんだけど、プロジェクトとしての役割とか実はあんまりないというか、かなり薄いんですよね。ただもっと粒度を細かくして見ると結構役割ってあって、例えば取材した人がより良く周囲に自分のことを理解してもらえる材料になるっていう「役割を果たす」場合もあれば、それを見た人が取材依頼をしたり営業材料になったりっていう「役割を果たす」場合もある。だからそんなプロジェクトとして社会に対して役割を果たすという大それた目的に向かわなくても、案外、個別の記事レベルで「役割を果たす」ような「仕事」ができていれば、その総和で、プロジェクトは意義を担保できたりする(ユレッジは割とサイト自体の存在意義が機能しているプロジェクトではあるのですが)。

1日8時間働くことを「仕事」って考えると、まあ広義って言うよりはもしかしたら少し乱暴な「仕事」って言葉なのかも知れないですけど、日々の些細なことに、「あ、今こんなことが自分の役割ではないか?」とか「こんなことできたら役割を果たせるのではないか」みたいな小さな役割のトライ&エラーを繰り返す中に「仕事」ってのは発生し得て、役割を果たすと何か得るものがあるわけで、割と楽しむための努力をしようとすると、仕事っぽくなる、みたいなことになるんじゃないかと思うのですよね。

実際、僕自身「仕事とは?」と言ってる割に「お金儲ける話」とか「お金稼ぐ話」をそんなしてないんじゃないかなあと思っていて、自分の周りにある色々なことに対して「どう役割を果たすか」みたいなことの話が「仕事とは?」って話になってるだけじゃないかなあとも思うんですよね。

小さい役割を小さく果たして小さな仕事をする、みたいなことをちょいちょいやってくみたいなイメージ(基本、発想が小さい)。

なんかそういう広義の仕事という言葉を、顕微鏡と言わずとも虫眼鏡で見るような、とても細かい粒度でちょいちょいつまんでるみたいな感じなんじゃないかなー、という気がした。

加藤 康祐 / 企画・設計

プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。

加藤康祐企画設計

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