2007/5/26

『思考の整理学』 外山滋比古

思考の整理学
思考の整理学

posted with amazlet on 07.05.26
外山 滋比古
筑摩書房 (1986/04)
売り上げランキング: 1248
おすすめ度の平均: 4.5

5 知的生産の方法を簡潔に語る好著
2 のんびり「学生している」高校生・大学生へ
5 この本のレビューは正しいです!!

極めて平易にわかり易く思考の整理について語られている本です。思考について平成になってインターネットの登場もあり、めくるめく様々な言葉が出てきましたが、こういう昭和の言葉で語られた思考に対する穏やかな考察というのは今読む価値があると思います。

”三上”という語がある。その昔、中国に欧陽修という人が、文章を作るときに、すぐれた考えがよく浮かぶ三つの場所として、馬上、枕上、厠上をあげた。これが三上である。
ref. p37

何かを調べようと思っている人は、どうも欲張りになるようだ。大は小を兼ねるとばかり、なんでも自分のものにしようとする傾向がある。これでは集まった知識の利用価値を減じてしまう。対象範囲をはっきりさせて、やたらなものに目をくれないことである。これがはじめのうちなかなか実行できにくい。
ref. p86

借りた本では論外だが、読むときに、鉛筆でしるしをつけて読み進むのも良い。あるいは、赤、青、黄などのサインペンを用意して、自分の考えと同じものは青、反対趣旨のところには赤線、新しい知識を提供しているところは黄の線をひいておくというようにすると、一見して、どういう性格の部分であるかがわかって便利である。
ref. p89

裏から言うと、書く作業は、立体的な考えを線上の言葉の上にのせることである。慣れるまでは多少の抵抗があるのはしかたがない。ただ、あまり構えないで、とにかく書いてみる。そうすると、もつれた糸のかたまりを、一本の糸を糸口にして、少しずつ解きほぐして行くように、だんだん考えていることがはっきりする。
ref. p136

『平家物語』はもともと語られた。繰り返し繰り返し語られている間に、表現が鈍化されたのであろう。たいへん込み入った筋であるにも関わらず、整然として頭に入ってくる。作者はいかにも頭脳明晰であるという印象を与えるが、これはひとりの作者の手柄ではなく、長く語ってきた琵琶法師の集団的功績というべきものであろう。
ref. p139

声を出してみると、頭が違った働きをするかもしれない。ギリシャの哲学者が、逍遥、対話のうちに、思索を深めたのも偶然では内容に思われる。沈思黙考は、しばしば、小さな袋小路の中に入り込んでしまって、出られないことになりかねない。
ref. p154

話してしまうと、頭の内圧がさがる。溜飲をさげたような快感がある。すると、それをさらに考え続けようという意欲を失ってしまう。あるいは、文書に書いてまとめようという気力がなくなってしまう。しゃべるというのが、既に立派に表現活動である。それで満足してしまうのである。あえて黙って、表現へ向かっての内圧を高めなくてはならない。
ref. p157

気心が知れていて、しかも、なるべく縁うすいことをしている人が集まって、現実離れした話をすると、触媒作用による発見が期待できる。セレンディピティの着想も可能になる。なによりも、生々として、躍動的な思考ができて、楽しい。時のたつのを忘れて語り合うというのは、多くこういう仲間においてである。
ref. p158

この月光会には註がついている。「月光会(ルーナー・ソサエティ)1770年代、エディンバラで月一回、満月の晩に集った会合の名称。酸素の発見者プリーストリー、蒸気機関の発明者ワット、そのエンジンの製作者ボールトン、ガス灯の発明者マードック、印刷業者バスカヴィル、天文学者ハーシェル卿などが常連で、その中心的存在はエラズマス・ダーウィン。この人は、進化論のチャールス・ダーウィンの祖父である」。
ref. p165

インブリーディング(inbreeding)ということばがある。同系繁殖、近親交配、近親結婚のこと。ニワトリでも同じ親から生まれたもの同士を交配し続けていると、たちまち劣性になってきて、卵もうまなければ、体も小さくて弱弱しいものになってしまう。
ref. p166

三上を唱えた欧陽脩は、また、三多ということばも残している。これも良く知られた言葉である。三多とは、看多(多くの本を読むこと)、做多(多くの文を作ること)、商量多(多く工夫し、推敲すること)で、文章上達の秘訣三か条である。
ref. p175

ギリシアのアルキメデスが、比重の原理を発見したときにユーリーカと叫んだと言われる。
ref. p176

ひとり仕事: フリーランスという働き方
(2012-10-5)
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