2016/3/6

5年目の3月11日 – 5年間の振り返りと、これから何を続けていけるのかということ

あまりじっくり考える時間が持てなかったのですけど、2016年3月11日で東日本大震災から5年を迎えます。5年という月日が長かったのか短かったのか、人によってまちまちだと思うのだけど、少し自分が関わって来たことをこのタイミングで振り返ろうと思いました。1つ1つ思い出しながらやっていこうと思います。

2011年3月11日

僕はまだ実家で仕事をしていました。両親はそれぞれ外出しており、僕と祖母が家に残っていて、地域は停電しました。ただ、世の中は動いていて、自分も何かしなければいけないのではないか、という気持ちに駆られ、当時、交通が麻痺していたこともあり、駅名から、駅に関するツイートと、駅に乗り入れる路線に関するツイートを抽出して表示できるサイトを作りました。当時はAPIが公開されていたANPIレポートと連動させて安否情報が確認できるようにしていました(ANPIレポートについてはユレッジの和田祐介さんの記事をご参照ください)。

駅情報検索

ただ、この時、まだ現地に足を向けたり、他の人のようにボランティアに行ったりということまでイメージできていなかった。目の前の混乱と、それを受けての仕事のことでいっぱいいっぱいだった記憶があります。

食の安全と東日本大震災

震災の影響はしばしばETのクライアントにもあって、クライアントの船が気仙沼で被災するなど、混乱がおさまればそれで済む話でもありませんでした。大きかったのは食の安全の問題。特に、野菜販売のクライアントの仕事では、お客様からの問い合わせにどう対応していくか、放射能検査をどのように行っていくか、しかし知見もないし費用もかかる中、これまでになかった問題をどう解決していくべきなのか、よくよく話しました。多分、当時、食に関わるありとあらゆる事業者さんが経験した試練であったのではないかと思います。

そんな中、ブロガーとしてオファーをいただいたのが、大潟村への取材でした。いち早く放射能検査に取り組んだ事例を、啓蒙啓発の目的で取材させていただきました。このことから学び得たことは大きかったように思います。

今、向き合うべきは何か #大潟村あきたこまち : kosukekato.com : the idea espresso

ISHINOMAKI 2.0

震災から1年が経ち、横浜の飲み仲間で震災後すぐに石巻に入った小泉瑛一君から、何度か現地に来ないかという話をもらっていました。ソーシャルメディアで流れてくる石巻のことを見て僕も気になっていました。小泉君だけが知り合いという状態でしたが、ET Luv.Lab.で小泉君を取材する、というのを最初のゴールにして、ようやく東北の沿岸部の被災地に足を向けることになりました。

「On the frontline」 小泉 瑛一 | ET Luv.Lab.

この時、現地で知り合った方々に今尚良くしていただいています。

一時画伯

震災後立ち上がったプロジェクトでETとしてWebサイトをお手伝いさせていただいたプロジェクトがあります。一時画伯です。

一時画伯

現代美術の第一線で活躍するアーティストが子どもたちのためにワークショップを行うプロジェクト。「Artist for a day」という名前の通り、その日1日は子どもたちがアーティストになれる、というプログラムです。僕は石巻でワークショップがある時に、サポートスタッフとしてボランティア参加させていただくことになりました。一時画伯の活動については事務局長の舟越奈都子さんへのインタビューに詳しいです。

舟越 奈都子 – 「アートへのホスピタリティ」 – ET Luv.Lab.

イトナブとの出会い、UXの授業

先述の小泉君に紹介したい人がいると言われて、東京でお会いしたのが、ISHINOMAKI 2.0のメンバーでイトナブを立ち上げた古山隆幸さん。僕と本当に同じ時代にWebの仕事をしていたプロデューサーで、震災後、石巻の次世代を担う若者を対象にソフトウェア開発やウェブデザインを学ぶ拠点と機会を提供し、地域産業×ITという観点から雇用促進、職業訓練ができる環境づくりを目指すイトナブを立ち上げました。

古山 隆幸 – 「復興のカリキュラム」 – ET Luv.Lab.

2013年、2014年の2年間、石巻工業高校の生徒さんに向けたGoogleハングアウトを活用した遠隔授業を行いました。児玉哲彦さん、迫田大地さん、田中勇樹さん、丸岡和人さんの4名のUXデザインに関わる方々にご協力をいただきました。

モチベーションとインセンティブ – 高校生のためのUXの授業 : kosukekato.com : the idea espresso
最小限を最大化する – 高校生のためのUXの授業 : kosukekato.com : the idea espresso

また夏に行われる石巻ハッカソンには、北山朝也さんと、高本大輔さんと、エンジニア・プランナー・デザイナー(俺)のチームで参加しました。

Psh! – 長距離移動をトリガにしたコンテンツのレコメンデーションアプリ – 石巻ハッカソン 2014 #SUW2014 : kosukekato.com : the idea espresso

現在は直接授業を行うというより、イトナブのメンバーをサポートする方向にシフトしており、2014年にはUX武者修行ということで、イトナブの新人デザイナーの太田サヤカさんが仲間内を1日ずつ武者修行して回る、という取り組みを行いました。

イトナブ UX武者修行 Day 1 – ETの回 : kosukekato.com : the idea espresso

その他のこと

UXの授業の生徒さんと話してみたい、そんなことから決まった石巻行きで、ヘンプデザイナーであるmaricoさん、瞳硝子さんとワークショップをやろうということになりヘンプ・ワークショップを行いました。

「Wヘンプワークショップ @ IRORI石巻」やります! : kosukekato.com : the idea espresso

『いしのまき浜日和』が刊行された折には、現地を見て回りたいと思い、小泉君に愛車のジムニーで案内してもらいました。

リアルいしのまき浜日和 – 「未来へのヒントは、石巻の浜にある。」 : kosukekato.com : the idea espresso

三陸沿岸を海外のGeekBeatTVというメディアを運営するビデオブロガーが回るツアーに参加する機会もありました。

宮城県沿岸復興支援視察ツアー : kosukekato.com : the idea espresso

釜石の福祉施設でIT関連のインストラクションをしたこともありました。

遠野、釜石 – シビック・プライドとウェルフェア・トレード : kosukekato.com : the idea espresso

特に2012年以降は、節操ないというか、依頼があればできる限り現地に行くようにしていて、あまり何ができるというわけではないのだけれど、行ったからにはきちんとコンテンツ化だけはしようということを最低ラインにしつつ、色々な方々とご一緒することになります。

日本の揺れやすさと地震防災を考えるサイト、ユレッジ

とは言え、ほとんどが誰かの何かのお手伝いという関わり方が多かったのですが、2013年4月から独立行政法人防災科学技術研究所の協力を受けて「ユレッジ」が始まります。ETのプロジェクトとして、震災にも関わることを能動的に始めたのはこれが最初でした。東北に関わる様々な方々から寄稿などをいただきつつ、僕自身、編集者として、インタビュアーとして、専門家の皆さんの知見のコンテンツ化に取り組みます。

「インタビュー:放射能は取り除ける」 – 児玉 龍彦 / 東京大学アイソトープ総合センターセンター長 / 東京大学先端科学技術研究センター教授 – ユレッジ : 日本の「揺れやすさ」と地震防災を考えるサイト
「インタビュー:システムズ・レジリエンス」 – 丸山 宏 / 統計数理研究所副所長・教授 – ユレッジ : 日本の「揺れやすさ」と地震防災を考えるサイト
「情報の空白地帯」を埋める:一般社団法人情報支援レスキュー隊(IT DART)創立総会レポート – ユレッジ : 日本の「揺れやすさ」と地震防災を考えるサイト
「まち」を「つくる」:COMICHI石巻 ー災害後のまちづくりを考える – ユレッジ : 日本の「揺れやすさ」と地震防災を考えるサイト

このプロジェクト、記事を発表するメディア、以上の機能はない一方、多分、僕ら(編集に前半小野梨奈さん、後半葛原信太郎君に入っていただいています)じゃないとこうならなかったろうという気はしていて、これまでにいくつか個人的に持ち得た東北との接点とも地続きで、読んだ人の何か一助になれば良いなと思っています。

まとめ

こうやって見ると、この5年間、主に取り組んできたのは総じてコンテンツ化、だったように思います。有り体に言うと、それくらいしかできなかった。ただ振り返って思うに「そういう役回り」ということで、5年間を過ごして来た、という理解で良いのかも知れない。そういうことはもしかしたら、10年後も続けてられるのかも知れないなと思います。

あとバラバラにとりあえず取り組んでみたテーマが、時の経過とともに繋がってくるということもあって、小泉君のET Luv.Lab.での取材がUXデザインの分野でのイトナブとの活動にも繋がっていくし、食の安全の問題と対峙しなければいけなかったことがユレッジでの児玉龍彦さんの取材にも繋がってくる、システムズ・レジリエンスとIT DARTの話は地続きだと思うし、ユレッジに寄稿いただいた渡邊享子さんの取り組みは昨年末取材する立場で確認することができました。

現地で色々な方とこれまで話して来て(しばしば酒飲みながら)、問題解決の仕事をしているという割に、そういうことができている感じはしないのだけど、関わり続けていく中で、色々見えて来たものもあって、長く細くというとあれだけど、色々なコンテキストの結び方があると思っていて、「そういう役回り」を続けていけたら良いのかなと思っています。

冒頭の写真はイトナブのRUN 311のTシャツ。震災後5年間続いているプロジェクト。

RUN311-グローバルランニングイベント

5年目、何を考えるべきかと思った時に、5年という月日を震災後過ごして来た上で、これから何を続けていけるか、そういうことを考えると良いのかなと思ったのでした。

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