2016/2/9

使えば使うほど味が出る道具の話 – 「Look Alike」の重要性

世の中には「使えば使うほど味が出る道具」というのがあって、例えば、包丁とかハサミとかあるわけだけど、そういうのデジタルサービスに置き換えるとどうなるのかな、ということを昨晩考えていました。これはだからメタファーなのだけれども、何を持って「味」とすれば良いのか。

使えば使うほど便利になるものはあります。例えばEvernoteには数千のメモやスキャンが溜まっており、検索をかければ引っ張り出せるようになっており、これまで利用していた分だけ、利便性が高まっている。iPhoneユーザがAndroidに乗り換えたくない理由も、アプリやコンテンツなどの資産がiOS上に溜まっていて、今更乗り換えるにはコストが高い、ということがありそう。あとECやWebサービスに目を向けると、長く使えば使うほどお得、とか繰り返し使うとポイントが溜まってお得、とかありますね。

でもこれは「味」なのだろうか。

ここで改めてデジタルサービスの「味」ということを考えると、時間軸での利用の蓄積で、より良いサービスが受けられるもの、ということなのではないかな、という気がしました。

例えばPocketではコンテンツに対して能動的なアクションを取ると、お薦めのためのアルゴリズムがアップデートされていそうです。使えば使うほど良いサービスが受けられる。

またFacebookでは類似オーディエンスという広告の機能がありますが、もともと持っている顧客リストに似ているユーザを抽出して広告を打つことができます。

またサービス側の蓄積としてもAmazonの「この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています」はやはり秀逸ですよね。

ビッグデータと言いつつ、Webサービスでデータが特に生きてくるところ、ってこの「Look Alike」をレコメンドしてくれるって部分かなと思います。大体、以下の3パターンがあるかなと。

  1. 問いかけ
  2. コンテンツの関連性
  3. 行動の蓄積の分析

これApple Musicを例に考えるとわかりやすいと思いました。Apple Musicを使い始めると最初に好きなアーティストをいくつか選んで、その人の趣味趣向に合わせた楽曲をレコメンドしてくれます。これが「問いかけ」。次に今聴いてる曲を好きな人は他にもこんな曲を聴いています、みたいなのもある。これが「コンテンツの関連性」。後は今サービスで行われてるかわからないけど、今までの再生回数の蓄積で自分の趣味趣向を判別して楽曲をレコメンドしてくれる可能性もある。これが「行動の蓄積の分析」。

この「Look Alike」、つまり似ているものを抽出してくれる技術は、ECしかり、その他のWebサービス然り、これから生まれてくるサービス然り、コンバージョンの近くに配置できる可能性が高くて(ECが一番わかりやすいですね)、AIと言わずとも、Machine Learningが活きてくる分野かと思いました。レコメンデーション・エンジンという言葉自体は随分古くからあるけれども、ようやく「この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています」以上のものとして、僕達が体験できるようになって来たというか。

特にユーザ個人の行動の蓄積とその分析による「Look Alike」の提示というのが一番代替不可能性高い気がしていて(そのサービスを使い込んでないと導き出せ得ない、という性向が強いから)、そういうものをサービスに落とし込めると、冒頭の「使えば使うほど味が出る道具」に親しくなるのではないかと思いました。

そう言えば話題になってないけど、インターネットが出て来た時に、「Connect」ということがキーワードで、ソーシャルメディアが出て来た時に、「Share」ということがキーワードになって、その更に次って何かってなると「Look Alike」なのかもなあなどと。それは人である場合もあるし、商品である場合もあるし、もっと抽象的な意思決定のためのパターンであるかも知れないし、働きかけるためのターゲット、ってことかも知れないけれど。

最終的にドッペルゲンガーとか見つかっちゃったら怖いですね。見た目も年齢も違うけど、趣味趣向が完全に一致みたいな。ああ、怖い。

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