2016/1/9

手離れの良さについて考える

言葉として「手を離す」、というのは色々な解釈ができると思います。ここのところ良く考えていた。例えば「手離れの良い仕事」と言った時に、僕の仕事を考えると、作りきりでテンポよく稼げる仕事というようなポジティブな捉え方もできるし、作りきりで終わっちゃって継続性がないというようなネガティブな捉え方もできます。色々なチームで仕事するけれど、手を離せるように動いた方が良い仕事と、手を離さないように動いた方が良い仕事というのがある。その上で、手を離すためにも、手を離さないためにも、それぞれにそれなりの準備というか用意しておくことが必要で、プロジェクトに関わる時に手の離し方、というのは案外多く語られるトピックではない気もするけど、大事なことだったりもするのかなと思います。

こないだもパートナーさんと、仕事ローンチした後をどうしましょうか、という話をしていて、そんな話になりまして。

しかもこれ二元論的な話でもなくて、例えば一旦自分のところに問題を引き込んでおいて、解決できる部分を解決して、徐々に自分がやっていたことをクライアントに戻して、自走する形にするために手を離しながら、継続的な関係性を作っていく、みたいなこととかもあります。手を離した分、新しい問題に取り組むとか。まあ世に「属人性」という言葉があるわけだけど、問題を解決する時には、まず自分のところに引き込んで、そこでガッツリやって、解決された状態を維持するためにそれを仕組み化していくというのが常套手段だと思っていて、クライアントとのお付き合いの中でも、最初にかなりタイトにやって、その後、2年、3年、5年とゆるやかに連携しながらお付き合いを続けていく、というようなことがままあります。

「参照できる方法論を作る」という言い方をするのだけれど、例えば「仕組み」であったり「道筋」であったり「やり方」であったり、そこに方法論を作ることが、問題が解決された状態で自走して続いていくためのキーになるのかなと思います。ただ、何かそこにフレームワークを持ち込むと解決できるようになるという話でもなく、個別の事案の問題解決に取り組んだ結果、そこで作られたロジックやツールやアイデアなどのリソースを、整理して冗長性を持たせて浸透させていくみたいなことかなあと思っています。だからコアになるリソースの整理は経過でも重要だし、どこかのタイミングで棚卸しして、参照できる形でパッケージ化することも重要ですね(紙に落とすとか)。

後はやっぱり手を離すためには、内と外との連携が不可欠で、じゃあこれから手を離します、では済まないわけで、手を離す、離される、双方で準備して折り合いが付く状態を作らないと、いわゆる、やりっ放しとか、放り投げる、という状態になる。これあまり良くなくて、世に言う「引き継ぎ」の重要性だったりするわけだけれど。

うちは一人でやっている仕事ということもあり、割と手を離すことを考えながら物事をやるようにしていて、わかりやすい話だと、Webサイト作るのはこちらだけど、Webサイト走らせるのはクライアント、だからこそシステム入れる、ということだったりして、クライアントも都度都度一緒にというよりは、ある程度、手を離すことを望まれた状態で、依頼されるような仕事なわけです。手を離しても、頭だけ残しておいて、とか、基本的には手を離しても、たまに手は借りるとか、そういう塩梅の仕事が多い。

今日手伝っているプロジェクトで、思っていたより綺麗に手を離せて来た感じがするね、という話をしていて(その辺の感覚値の共有も大事ですよね)、それは逆に言うと属人性の排除ということとニアリーイコールだったりするのだけれど、参照できる方法論があれば、それを参照するのは別の個性で、方法論から属人性を排除することと、個性が活きるということは打ち消し合うものではないと思っていて、だからこそ方法論がある程度汎用性の高いものではなくてはならないと言えます。わかりやすいロジックとか、誰でも使えるツールとか、息の長いアイデアとか。

こういうのって問題解決の仕事の、問題が解決された後に常に付随してくる解決し切るべき問題、ということじゃないかなと思っていて、前に先輩とも話してたのだけど「打ち上げ花火」やっちゃいけないよね、という。だからこそ手を離すための設計って、どこかで問題解決の仕事には織り込まれていなければいけないんじゃないのかなと思っています。中長期的に見れば、人間老いるわけだし、状況も変わるわけだし、手を離すための設計を織り込んでおくというのは、ある意味でのレジリエンスの確保、とも言えると思います。

多分、仕事の中でも、割とデリケートな領域じゃないのかなと思うし、そこで一悶着二悶着あったりがするのも常だけど、なるべく負荷なく、解決した問題をランディングさせるみたいなこと、大事なんじゃないかなあと、改めて考えていました。

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加藤 康祐 / 企画・設計

1980年1月12日生まれ。フリーランス歴15年。プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。学生時代にデザイン会社でWebデザインを経験。2005年よりフリーランスとしてキャリアスタート。これまでに個人から上場企業まで、100以上のクライアントとのプロジェクトを経験。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの編集・運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート等。趣味はラグビーと料理。Keep the head up, Bind tight & Stay low.

加藤康祐企画設計

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