2015/11/15

悼む人

ふと『悼む人』という本を思い出しました。『永遠の仔』で知られる天童荒太さんの作品で、表紙の彫像が舟越桂さんの作品なのも含めて強烈な印象を持っています。今年、映画化もされていたよう。近親者を悼むのではなく、何の関わりもない不慮の死を悼む旅をする男性の物語。

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そう言えば、9.11のテロを最初に知ったのはNHKの夜21時のニュースだったと記憶しています。実家で階下から親に大声で呼ばれ、慌ててテレビの前に行くと、そこには飛行機がビルに突っ込む映像が番組のオープニングとして流れていました。戦争が始まる、と思った。当時はソーシャルメディアなどまだなかったけど、今回のパリのテロについてはFacebookの安否確認で知り合いが無事という通知があって知り、その後、BBCやCNNなど海外のメディアの反応や、友人知人の投稿を見てことの大きさを確認することになりました。

インターネットでPray forという言葉を見かける時に、祈るという言葉が正しい訳だと思うのだけれど、今回の場合は悼む、という言葉がその大部分を占めるのかなと思います。テロで亡くなった人を悼む気持ち、それはあると思う一方で、その場に深くいる人の慟哭や憤怒や悲哀を簡単に類推することはできないと思うし、例えば東京で同じことが起こったとして、心の様相が平和を願う気持ちに1日2日で行き着くかというと、とてもそうは思えない。1日2日で結論が出る話でもない。ささくれ立ってるところも大いにあるであろうところに、かける言葉もない。そんな気がします。

そう言えば先だって『山本美香という生き方』という本を読みました。戦場を取材するジャーナリストの半生と、その死にまつわる本です。ホテルの隣の部屋にいたジャーナリストが米軍に砲撃され亡くなられてた話が書いてある。そういう生々しさのなかに、自分はいたことはない。

世界各地でそういうことが起こっている現状で、何をどうして悼むのか。レバノンでも大規模なテロがあって、Facebookのアイコンを三色旗にするのはおかしい、みたいな話の正誤はどうでも良いと思っていて、甚だ不均衡な中に世界はあって、それは貧困もそうだし、難病もそうだし、難民もそうだし。でもリゾート旅行にも、秘境巡りにも、ビジネストリップにも行くわけだ、僕らは。甚だ不均衡なところに立っている。今日、住む街が静かなのは、世界が穏やかだ、ということではない。

こういうことを考える時に、邪魔なのは賢しさだ。人間はもっと本質的に生物だ。この国の平和は、案外どの国とも陸続きでない、という一点において支えられているものかも知れなくて、それは有史以来ずっと変わってないのかも知れない。

どこまでを祈る権利が自分にあるだろうと思った時に、悼む人という本のことを思い出したのでした。

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加藤 康祐 / 企画・設計

1980年1月12日生まれ。フリーランス歴15年。プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。学生時代にデザイン会社でWebデザインを経験。2005年よりフリーランスとしてキャリアスタート。これまでに個人から上場企業まで、100以上のクライアントとのプロジェクトを経験。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの編集・運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート等。趣味はラグビーと料理。Keep the head up, Bind tight & Stay low.

加藤康祐企画設計

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