2015/9/23

『大衆の反逆』 José Ortega y Gasset – インターネットと密集

群集心理、みたいな本を読もうと思って、Amazonを眺めていて、見つけた本。Atlantic Monthlyというボストンで創刊された文化評論誌では、ルソーの『社会契約論』が十八世紀を、マルクスの『資本論』が十九世紀を、そしてこの『大衆の反逆』が二十世紀を代表する著作と認定されているそうです。

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特に第一部の大衆の反逆(第二部は世界を支配する者はだれかということでヨーロッパ社会の話になります)は興味深く、まあ最近色々あるけれど、世論、言論、議論、インターネット、ソーシャルメディア、民主主義、そういうこと全部引っくるめて、とても参照できる内容になっていました。今回はKindleのハイライト機能使いながら読み進めたので、抜粋をいくつか。

群衆とは何かということについて、狭いところに押し込められてしまうことで大衆が生まれるという指摘をしています。

群衆という概念は、量的であり、視覚的である。

みんなとは、本来、大衆と、大衆から離れた特殊な少数派との複雑な統一体であった。いまでは、みんなとは、ただ大衆をさすのである。

例えばこれは今日的に言えば、「東京」であり「Facebook」であるとも言える。不自然に人が密集することによって生まれるものが大衆。「バズる」、「炎上する」ことの怖さって不自然に過度な密集が生まれ得るから、って解釈もできそうです。

今日の平均人は、世界で起こること、起こるに違いないことに関して、ずっと断定的な「思想」をもっている。このことから、聞くという習慣を失ってしまった。もしすでに必要な物を全て自分が持っているなら、聴いて何になるのだ?もはや聞く時代ではなく、逆に、判断し、判決し、決定する時代である。目が見えず耳が聞こえないにもかかわらず、彼らが口を出し、「意見」を押し付けないような社会生活上の問題は、一つもない。

大衆は団結した多数のこの人間たちを見た時、とてもそんなふうに見えないが、大衆でないものとの共存を望まない。大衆でない全てのものを死ぬほど嫌っている。

最大の善と最大の悪の潜在力であるこの大衆人を徹底的に知ることがきわめて重要となる。

現代は他の時代より上であるが、自分自身より下だ、と。きわめて強力でありながら、同時に自己の運命に不安をいだく。みずからの力に誇りを持ちながら、その力におびえている。

改めて並べてみるとかなり強烈なこと書いてあって、しかし「新国立競技場」「オリンピックエンブレム」「安保」の話などでしばしば可視化されたのは、こういうことのような気がしている。

人間についての、もっとも根本的な分類は次のように二種の人間に分けることである。一つは、自分に多くを要求し、自分の上に困難と義務を背負い込む人であり、他は、自分になんら特別な要求をしない人である。後者にとって、生きることは、いかなる瞬間も、あるがままの存在を続けることであって、自身を完成しようという努力をしない。いわば波に漂う浮草である。

大衆が社会の最前列に進みでて、以前には少数者だけのものであった楽しみの場所を占拠し、その用具を使い、かれらの楽しみを享受する決意をかためたことを示している。

大衆が大衆であることをやめぬまま、少数派にとって代わりつつある。

現代の大衆的人間の心理分析表に、2つの重要な特性を書き込むことができる。生の欲望の、したがって、かれの性格の無制限な拡大と、かれの生活の便宜を可能にしてくれた全てのものに対する、まったくの忘恩とである。

今日、われわれは超民主主義の勝利を目撃しているところだ。超民主主義の中で大衆は、物理的強制手段によって自己の欲望と趣味とを押し付けながら、法の外で直接に行動している。この新しい状況を、あたかも大衆が政治に倦んで、それを専門家の手にゆだねようとしているかのように解釈するのは誤りである。自由民主主義がそうであった。大衆は、政治家たち少数派が欠点、弱点を持っているにもかかわらず、とどのつまり、自分たちよりも公の問題を少し余計に理解していると考えていたのだ。ところがいまでは、大衆は、床山政談に法の力を与え、その法の力を行使する権利があると信じている。歴史のなかで、群衆が現代ほど直接に支配するにいたった時代があったとは、考えられない。だからこそ、私は超民主主義というのである。

最近、話題になってた「インターネットの限界」みたいなことも、この「超民主主義」みたいなことに端を発するような気がしています。本当は、決められる力と技を持っている人が本当に大事なことは決めれば良い、と思っていて、しかし、オルテガが危惧した時代より、さらに一歩を超えてしまっている。

1929年にこの本は書かれたわけだけれども、100年近く前の本でも現代の社会システムが孕む危険性はあまり解消されてない感じがするよな、という気がしました。

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加藤 康祐 / 企画・設計

1980年1月12日生まれ。フリーランス歴15年。プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。学生時代にデザイン会社でWebデザインを経験。2005年よりフリーランスとしてキャリアスタート。これまでに個人から上場企業まで、100以上のクライアントとのプロジェクトを経験。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの編集・運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート等。趣味はラグビーと料理。Keep the head up, Bind tight & Stay low.

加藤康祐企画設計

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