2015/5/20

スピーチコンテストについて考える – カナエール前夜から今日までのこと

今日ちょっと興味深いニュースを見つけました。長野県が児童養護施設の若者の進学支援のために給付型奨学金をスタートしたというニュース。

児童養護施設の若者の進学支援 長野県、給付型奨学金を創設 – 産経ニュース

「給付型の奨学金制度は民間が行う事例もあるが、人数的にも限られている。行政が直接、こうした奨学金制度を創設するのは全国でもおそらく初めて」

とあります。長野県は教育に対して先進的という印象を持っていて、仕事仲間が関わっている「Code Academy」や後輩が関わっている「ISAK」なども長野だし、こういう取り組みはとても良いことだと思いました。僕が関わっているカナエールは、NPOのブリッジフォースマイルによって運営されていますから、民間ということに当たると思いますが、昨年から始まったカナエール 横浜は、横浜市との共催となっています。

本人が記入する申請書には、進学して学びたいことや将来の抱負を記入する。選考は提出書類で行い、面接などは行わない。

なるほどなと思いました。何度も書いてるのでご存じの方も多いと思いますが、カナエールは奨学生を意欲と資金の両方を支えるため、スピーチコンテストに120日間をかけて奨学生が社会人ボランティアと共に挑戦し、スピーチをした奨学生に返済義務のない奨学金を給付する、という形を取っています。

つまり、プロジェクトとしてのカナエールがないのだなと。そうするとこのニュースを主体とした時に、そもそもスピーチコンテストをやる意味、という問いに行き着くのではないかと思います。

とは言え、僕は立ち上げには関わってないですし、実行委員もまだ2年目。そこまで正確にプロジェクトがスピーチコンテストをやる意図を書けるとも思えず、もう少し個人的なことを振り返ってみようと思いました。平たく言うと、カナエールとの馴れ初め、みたいな話です。

カナエール前夜

ことの起こりは友人がこれまでやっていた社会福祉の取り組みを法人からNPOに分離させようと思ってるという相談でした’(これが、えと菜園農スクールです)。法人自体には元々立ち上げから僕の得意分野だけ手伝ったりしていたのですが、NPOとなるとよくわからないなと。そこでFacebookで誰かNPOに勤めている人にヒアリングできないか?と考えて相談した友人が勤めていたのがブリッジフォースマイルでした。相談と言っても「話ちょっと聞かせて」レベルだったので(僕の知識がなかったため)、友人がスタッフ2名を更に連れて来てくれて普通に酒を飲んだのでした。

その後、相談を持ちかけた友人から、僕のインタビューサイトでカナエールというプロジェクトの取材ができないか、という相談が持ちかけられます。取材してみて欲しい、という依頼は初めてだったので僕としてもとても興味深く、半分は受けて、半分はお願いみたいな、とても奇妙な取材になりました。それで生まれたのが、カナエールの事業部長、植村百合香さんのインタビューでした。俗に言う、ちっちゃい怪獣の話。

植村 百合香 – 「踏み入って、踏み留まって、踏み進める」 – ET Luv.Lab.

その後も3人と懇意にさせてもらっており、カナエールも取材したしスピーチコンテストを一度見せてもらおうと思って、チケットを買って楽しみにしていたら、コンテストの1週間前に植村さんから電話がかかってきまして。「お願いがあるのですがー」「あー、もしかしてカメラマン?」「エスパー!」、という記憶に残るやり取りがあり、僕の1週間後のカナエール 2013 夢スピーチコンテストでのカメラマンが決定しました。どうせ行くなら仕事あった方が僕も居場所あるし、という理由で快諾し、とは言え、現場のことを何もわからないまま初陣を迎えます。ただ現場では丁寧に案内があって、それまでのカメラマンの方や(急遽難しくなった理由が石巻案件だったというのが奇遇)、事務局からの撮影の要点の指南書もあって、良い仕事ができました。当日の感想みたいなのは書いてありました。

「カナエール2013 夢スピーチコンテスト」に行って来た : kosukekato.com : the idea espresso

1年目

その後、撮影したこともあって、Photobackというサービスでフォトブックを作るから、協力して欲しいという依頼を受けます(その後、運営元のコンテンツワークスさんとはお仕事するようになる)。面白そうなのでお手伝いすることに。そのこともあって、友人に実行委員に入らないかという誘いを受けて、本格的に実行委員としての1年目が始まります。カメラマンやって良い経験だったので、通年プログラムを撮ってみたいという気持ちもあり。そりゃ本業だからというわけで、プロモーション、Webチーム配属。当時の感触はこの記事に詳しい。

カナエールではプログラムをサポートしてくださる方々を募集しています : kosukekato.com : the idea espresso

最初はプロジェクトの継続サポーターを100人増やそう、ということからでした。とてもよくできたランディングページが既にあったので、ソーシャルメディアなどをどういう風に活用して、広めていくかみたいなことをぼんやり考えていました。その後、カナエールの全てとも言われてる社会人ボランティア、エンパワメンバーの募集、特にテコ入れが必要だったクリエイターの募集、そしてコンテストに集客するためのページなど、ランディングページの制作とそこにアクセスを当てるための施策をやっていました。とは言え、当時、カナエールのこと、児童養護のこと、わからないことの方が多く、少し変わったやり方をしていました。

Google Hangoutを使っての遠隔ドキュメント制作 : kosukekato.com : the idea espresso

これは別のプロジェクトの模様なのですが、ハングアウトで僕の制作画面を共有し、デザインやコピーを決め、音声で事務局に指示を出してもらいながら、つなぎっぱなしで作り続ける。というのをランディングページの制作でやっていて、これで予備知識が少なく勝手がわからない状況を凌いでました。今年はカナエールではこのやり方をほぼやってないのですが、逆に日常業務ではやっていたりします。カナエール自体でまだハングアウトが利用されておらず、ただ、翌年、Chromebookの導入することに繋がっていたかなあと思います。

1年目のプロモーション相当しんどく、200人だったそれまでの席数が、2014年度から1,000人に増え、これ本当に大変なことだなという状態。結局、プロジェクトの外の色々な方にお力添えをいただきながら(ご協力のお願いをしながら)、プロジェクトは集客のハードルを乗り越え、東京・横浜、あと僕は関わっていなかったけれど福岡も満員御礼。2014年は幕を閉じます。

プロジェクトの迫力について – カナエール 2014を終えて : kosukekato.com : the idea espresso

2年目

そして2年目が始まります。1年目より良い仕事にしようという思いがあって、今年度取り組んだのは大きく3つかなと思います。1つはWebリニューアル、もう1つはChromebook、そして最後にコンテンツ化。

Webリニューアルは前年に一度企画書を出していたのですが、本格的に着手したのは年明け1月。今年はWebチームのリーダーということになっており、リニューアルには3人で取り組みました。とにかくこれは回せる態勢を作ること。結果的には良いものができたのではないかなと思っています。

カナエールのWebリニューアル – プロが要らないDevOpsの仕組みづくり : kosukekato.com : the idea espresso

次にChromebook。これはずっと書いてるけども、最近思うのが、カナエールで「ITエンジニアになりたい」って子、ほぼ見てないんですよね(僕が知る限り)。パソコンやインターネットを日常的に自由に使うのがなかなか難しいという時に、ヘタすると初めて使い込むパソコンがChromebookと、クラウドのサービス、というのは良かったのではないかなと最近思っていて、これは当初の「パソコンどうしたら良いだろうか」以上の期待を個人的には持っています(あくまでも個人的にだけど)。

カナエールにChromebookがやって来た : kosukekato.com : the idea espresso
Chromebookとカナエールの挑戦 | カナエール 公式Webサイト

そうしてコンテストまであと1ヶ月、というところを迎えました。

まとめ

最近、これわかりやすいなと思ってる言い方があって、僕、実行委員なんですが、「カナエールを実行する」のが仕事の目的なんですよね。Webサイトを充実させるのが仕事の最終目的、ではない。という時に、やれることをやれば良いのではないかなと思っています。ボランティアをするのか、仕事をするのか、というか実行なのだよなあという感じがしています。だから実行できないと意味がない。

で、最初の問に戻ると、もともと良いスキームだと思っていて、色々なことを考えて来て、最終的に思うのは、奨学金の給付の仕方の是非の尺度は僕の中にあまりないのだよなと思いました。自分がこれまで書いたものを拾い読みしながら、そう思いました。先日の網谷勇気さんのインタビューでこういうのがありました。

ありのままに生きることって、わがままに生きることではないと思っているし、ありのままに生きるってすごい強さが必要だと思っていて、ありのままに生きることを選ぶのであれば、ありのままに生きていることを許容しないといけないから、寛容になることにも強さがいると思っている。バブリングのビジョンの中で「ありのままの自分でいることができ、あるがままの他者を受け入れられる強く寛容な社会」ということを言ってるのだけど、「強く」は絶対入れたくて、ありのままに生きるために強くなるのは、必要かなと思ってる。そういう自分と一緒に誰かがいてくれるのであれば、みんな共に生きていけるというか。

これどうやら1年前に僕同じようなこと言っていて、振り返りの記事でこういうこと書いてる。

その上で「寛容な社会を作る」みたいなことを言った時に、フレーズは綺麗だけど、現実は厳しい。そういう時に先ず以て、一人一人が強く在るための機会がたくさんあれば良い、カナエールっていうのはそういうプロセスの話なんではないか、という話を友人としました。「モチベーションのあるところに、インセンティブを渡す」、ビジネスであれ、プライベートであれ、うちのやりたいことって平たく言うとそれだけなので、そういう理解だと、自分のやりたいなあと思うことと、カナエールを手伝うこともあんまり乖離しないんだろうなと。そんな話をしました。

そういうことのためのプロジェクトとした時に、そのためのプロセスってのはやはり必要なんじゃないかなと思いました。ぐるりと周りましたが、スピーチコンテストをやる意味の説明って、多分、僕的にはそういう言い方になるのかなと。

コンテストまであと1ヶ月。ぜひ今年も会場に足をお運びください。

カナエール 公式Webサイト | 児童養護施設からの進学を応援する奨学金支援プログラム

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