
『極北の大地・グリーンランドの夜明け ―THE FIRST STEPS―』 – 考証のアウトリーチとしてのグラフィック・ノベル
大体、いつもちょっと変わった本、読んでるのですが、これ大いに変わった本でした。グリーンランド人画家、ヌカ・K・ゴッツフレッセンとSILA・デンマーク国立博物館グリーンランド研究センターの共同執筆によるグラフィックノベル、なんだそう。
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そもそもグラフィック・ノベルというのがわかってるようでわかってない。
グラフィックノベルという用語を厳密に定義することはできず、しばしばこの用語は、論争において、グラフィックノベルとそれ以外のアメリカン・コミックの芸術的な性質に対する、主観的な相違を暗示する目的で使用される。一般的に「グラフィックノベル」という用語は、「コミックス」や「コミック・ブック」という用語に内包される子供向けのユーモラスな作品群から、伝統的なアメリカン・コミックよりもシリアスであり、大人向けであり、あるいは文学的である作品群を、暗に峻別するために使用される。この区分は、大衆娯楽におけるコミック作品からファインアート形式のコミック作品を峻別するために、美術史研究者やファインアート作家により使われているフランスの大人向け漫画「バンド・デシネ(Bande Dessinée)」と、同様の理由で用いられている。
そうそう、この「バンド・デシネ(Bande Dessinée)」というのを以前何かで見かけて認識はあったんだけど、そういうものを読むのは今回が初めてでした。確かにコミックというには説明的だし、絵本というほど子供向けではない。4500年前の話、というと途方もないけど、ちょっと日本人の感覚にはあまりない「原始的な」雰囲気を感じさせる絵柄や、独特の色味、少しの生々しさ、ないし生臭さみたいなものも相まって、そんなに日本人が持っているものと遠くない、けど、違うみたいな、面白い距離感で読みました。ちょっと絵柄に文字が浮いてる感じしたけど。
さて、この本ですが先述の通りSILA・デンマーク国立博物館グリーンランド研究センターの考古学的な考証をもとに、グリーンランド人の画家がグラフィック・ノベルした、つまり研究成果のアウトプットとしてグラフィック・ノベル化されたとも言えます。こういうの、言わば、アウトリーチで、「アウトリーチ – 欠如モデルからプロジェクトモデルへ」としてサイエンス・アウトリーチをメインに書きましたが、今回のグラフィック・ノベルも一つのプロジェクト・モデルだったりするのでしょうね。
極北どっぷりの友人が紹介していた本だったので、興味本位で手に取ったけど、割とケーススタディとしても面白かったです。
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加藤 康祐 / 企画・設計
プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。
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フリーランスとして働き始めるってどういうことだったのか?フリーランスとして働くってどういうことなのか?フリーランスが目指すことってなんなのか?5年間の自分の経験から書きました。(2010年執筆)