2015/1/12

『街道をゆく モンゴル紀行』司馬遼太郎

割と司馬遼太郎で育った人なのですが、街道をゆく何冊か買ってあって、のんびり読んでおりまして、年明けモンゴル編を読み終わったところ。ちょうど、僕が学生時代に司馬遼太郎さんが亡くなって、当時は結構大きなニュースで僕も喪失感みたいなのあって、記念のムックとかも買っていくつか読んでいたのだけど(残念ながら手元に一冊も残ってないという失策)、以前から興味を持っていたのが、司馬さんがモンゴル語専攻だったということでした。モンゴル関連だと『ペルシャの幻術師』、『草原の記』などがあるようです(おそらく草原の記は読んでる気がするんだけど、内容全く覚えてない)。この街道をゆくでのモンゴル訪問が司馬さんにとっての初めてのモンゴルだったそうで、「初めてのおつかい」ならぬ「初めてのモンゴル」、そういう風に読めます。

街道をゆく 5 モンゴル紀行 (朝日文庫)
司馬 遼太郎
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ちょうどこれ読んでる時に、なぜか友人がモンゴルの草原に行ってたり、結婚式で再会した友人がモンゴル行ったとか話していて、面白いなあと思ってたのですけど、最近じゃあ朝青龍とかいましたけど、昔は近いようで遠い国だったんでしょうね。この本は1978年、つまり民主化以前の社会主義国だった頃のモンゴル訪問の話で、僕が産まれる2年前のこと。話はウラジオストク経由の入国から始まり、本書の多くはロシアの話にも割かれているのだけれど、旅中のトラブル、ロシアに対する司馬さんの忌避感、歴史観と、後はやっぱり旅先で遭遇する人物の描写ですよね(多分、それが面白いんだと思う、小説)。おそらく小説を書く時は資料をもとに「この人はこういう人」って明確に決める必要があって、それが物語への没入感を産んでるのだと思うのだけど、司馬さんが人を観た時のリアル、というのはこういう紀行文にこそ現れるのではないかと読んでいて思いました。

モンゴル、親日のイメージあるけど、一番読んでいて、微笑ましいエピソードだなあと思ったのが:

「日本人もモンゴル人もお酒に弱い」

ってセリフが現地のガイドさんの話として出ていて、暗に中国人との酒の飲み方と比較しているのだと思うのですが、毅然と強い酒を飲み続ける民族がいる傍ら、酩酊して無礼講になってしまうだらしない民族もあって、まあでもそういうのが笑い話として共通項になるってのは、なかなかよい空気感だなあと読んでいて思いました。あと馬乳酒をはじめ(ラクダのもあるそう)、食べ物のこととかも小説家の描写はやはり活き活きとしている。あ、そうそう、ちょっと脱線しますが、一つ好きな動画がありまして。これモンゴルの旅情感あって良いですよ。鉄道だけど。

Trans-mongolian : A long train journey from Factoria on Vimeo.

これプロジェクターで映してボーッと観ていると結構気持ち良い。最近の僕のモンゴルのイメージはこれです。

この『街道をゆく』シリーズはやはり面白いなあと思っていて、最近は司馬遼太郎さんの小説を再読することも(全部処分してしまった)、そもそも歴史小説を読むこともほとんどなくなっているのですが、こういう教養や洞察のある人が、少し前の時代の日本や世界を旅した紀行文というのは、近い昔の歴史小説的な読み方もできて面白いと思います。書き手でそれぞれのフォーカスが違うのも面白いと思うポイントの一つです。

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民藝とか手仕事系の切り口なら、民芸運動の時代にバーナード・リーチが日本を旅した記録、なかなか面白いです。訳が柳宗悦という豪華さ。

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あとこれまだ読んでいなくて、昨晩たまたま友人に紹介されたのですが、宮本常一さんの『空からの民俗学』、つまり空撮と民俗学の話、何やら友人のお父様も関わっていた話だそうで、さっき思い出して中古で注文しました。こちらも楽しみ。宮本常一さんの本は、僕読んだ本も、普通に旅の本としても読める感じであったと思います。

まとめ

割と色々参照したので長くなってしまいましたが、これに続いて「南蛮の道」(バスクの話に興味が)、「ニューヨーク散歩」、「韓のくに紀行」、「肥前の諸街道」辺り、ちょっと自分に関わりのあった土地のものをいくつか買ってあるのでまたゆっくり読もうと思います。シリーズ大作なので、そういう読み方もありかも知れません(だから、モンゴルだけは異例チョイスかも、モンゴル語専攻だったという冒頭の話がどうにも気になっていたので)。

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Kindle版も出ていた。旅先でも旅先のちょいと思いついて買えると思うと、これは便利かも。

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