2015/1/2

『勤力を鍛えるトレーニング(勤トレ)』 川下 和彦 – マリアナ海溝より深く潜れ – 変人であれ、不良であれ

僕は割と広告代理店の人との付き合いは少ない方だと思うのだけれど、そんな中でここ数年とても懇意にしていただいているのが川下さんです。懇意にしていただいているというか、正確に言うと酒に付き合っていただいて、僕に「それじゃあ足りないんじゃないの?」ってものを折々で見せてくださる先輩(実際、大学の先輩でもある)です。はっきり厳しく言われる機会はないに等しいけど、話してて、ああそこまだ俺ぬるいんだな、ということを気付かせてくださる、貴重な人であり、毎回飲みに行くのを楽しみにしています。

勤力を鍛えるトレーニング(勤トレ)
川下和彦
ディスカヴァー・トゥエンティワン (2014-12-18)
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本を出すという話は3年くらい前からうかがっていて、ずーっと待ってたのだけれど、昨年末遂にできたというご案内をいただいて、読むのを楽しみにしていました。ご本人からも感想書くならえこひいきなしに思ったこと書いてくれ、と言われたので、例によってレビューみたいなことではなく、極めて個人的な感想を書きたいと思います。

読みながら思い出したことが2点。

まず一つはTom Petersの話。学生時代に仕事のボスから薦められてサラリーマン大逆襲作戦という三部作を読みました。ちょっとシリーズタイトルだけだと半沢直樹っぽいけれども、「ブランド人になれ」「セクシープロジェクトで差をつけろ」「知能販のプロになれ」というそれぞれ副題がついていて、割とここに書いてあったことが、僕が仕事を組み立てていく上で、長い間ベースにあったなあと思います。基本的には自己啓発の本なんだけど、冒頭に「ホワイトカラーは近い将来激減する」という極めて大事なことが書かれていて、大学時代のキャリア論のレポートや、このブログにもしばしば引用して来た話ではあるけれど、実際、ITの普及が企業にダウンサイジングを求める必然とかも問われてきているし、その前提で戦闘力を高めていく、というのが僕のずーっとあるキャリア観で、多分、それは川下さんの書いておられる勤力というのに近しいのではないかと思います。

もう一つ思い出したのは西川りゅうじんさんの話。言葉尻を文字って時代の空気を風刺する名人で、確か昔は自分のこともバブルのシーラカンスとおっしゃってた気がするけれど、あの人の風刺って多分に戒めだったと思う。川下さんの本を読みながら、当時の原稿とか、少し叱られたこととか、ブレストでアイデア出せないのに辛抱強くお付き合いいただいたこととか、少し反芻していたのだけれど、なんかしばしば僕らはバブル世代みたいなものを卑下しがちだけど、あの時代を戦い抜いてたトップランナーの人達ってすごい仕事にストイックだったと思うし、すごく原理原則的なところで芯が通った話をされていたと思う、だから今でも覚えている。

あのだから、ぶっちゃけた話、川下節(読めばわかるのだが、川下さん言うことすごいストイック、イラストカワイイけど、本人はたまにラオウに見える)って、自己啓発のロジックとしては、しばらく流行らない類のものだったかも知れないなと思うんですよね。僕の知る限りだと、あんまりこうやって体系化されたすげえいかつい話、久しく読んでなかった。ただ時代の変遷も鑑みると、平たく言うところの「ストイックさ」って、これからどんどん必要になってくると思います。徹夜してレッドブル飲んで乗り切るみたいな話ではなく、自分の仕事への厳しさって意味で。

僕自身、耳が痛いところもあったけど、一番しっくり来たのは、口でああだこうだ言う前にやって証明しろ、ってことですかね。そういう「実」でねじ伏せるみたいなことができないと、これから生き残れるかどうかみたいな話より、むしろ、面白い仕事に巡り会えないと思う。パワープレイ(力技)というのは、本来的に無茶をやる、ってことじゃなく、単純に力でねじ伏せるということだと思う。ああ、勤力の話読んでたら、すっかり書くこといかつくなってしまった。

いつものテンションに戻ると、とても面白い本です。さくさく読み進められるし、ただ、書いてあることで、「これはなあ」って思わない人も少ないと思う。それくらいエッセンシャルに大事なことが書いてあるのと、僕は書いてあることのどれも否定するものではありませんでした、フリーランスであっても。後輩によくわかんない相談されたりしたら、この本、読めって言おうと思いました。

ああしかし、待ってた本がこういう本で良かったな。僕の傭兵力を鍛えるためのモチベーションにもなりました。一年の初めに読むのにちょうど良いかも知れません。ピリッと背筋を通して胸を張って出社日迎えられると思います。お薦め。

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川下和彦
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加藤 康祐 / 企画・設計

プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。

加藤康祐企画設計

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