
『WIRED VOL.14 死の未来』 – 或いは、未来の死
ああこれは絶対買おうと思っていたのですが、やたらファンキーな表紙ですが、特集は死の未来。割と興味のある話でした。WIREDたまにしか買わないんだけど、ハッとさせるようなリードが紛れ込んでて、いつもグイッとやられる。今回もコロンビア大学大学院のDeath Labというのの記事にハッとさせられることが書いてありました。
死後、自分の体がどこへ行くのかという問題について言えば、全世界的な人口過多が指摘されているいま、これからどんどん増える遺体の数に対し、わたしたちが「墓場」として認識しているスペースが特に都市圏においていつか足りなくなるということは、しごく現実的な、当たり前の話である。
いきなり話飛ぶけど、畏れずに言うと、僕これ、行き場のないフレコンバッグが積み上げられた絵を思い出した。
Death Lab
さて、特集ですが、僕個人的にこの死者の増加という問題に取り組むDeath Labの話がまず面白かった。「ラボではいま、伝統的な要素から完全に切り離した追悼の方法を考えることを提案している」とあります。思い起こしてみれば、現代の伝統的な日本のお葬式をして埋葬を済ますことができることっておそらく贅沢で(だから死ぬのにはお金がかかるという話にもなるのだが)、多分、今後の日本社会の、それこそ今選挙で話題になってる経済のこととか考えると、かなり死のコストのダウンサイジングを、これも特に都市部では、図る必要性って論じられることになるのではないかと思いました(たまたま、僕が見かけてないだけで、もうある議論なのかも知れないが)。昔のヒッピーとかが描いた死生観とも違って、なんかもっとなんだろう、ある意味、クールビューティと言うか、立て付けとしてはソリッドなものになっていく気がする。それで故人を悼む気持ちが損なわれるというわけでもない気がしていて、ただやはり、何かこれからの都市生活にアジャストする方法論は、もう少しアップデートされていくんじゃないかなあと思います。この本のことをちょっと思い出したけど、それよりもっと現実的な問題だなあとも思う。
河出書房新社
売り上げランキング: 390,965
Biopresense
もう一つ、そう言えば!となったのが、Biopresenseの話。初めて聞く人にはちょっと突飛かも。
Biopresenseは、人の遺伝子を樹木の中に「保存」することで、木を「生きた墓標」とするというものです。
この人の話、TEDxKeioSFCというイベントで聴いたことがあって、とてもパーソナルな経験に紐付たいものだったな、というのをよく覚えています。例えば、実家の庭に植わっている木の一つに、一族の遺伝子が保存されている、って僕、割と生理的に受け入れられる話だなあと思っていて、それが何か特別な意味を持つわけでもないよなあとは思うのだけど、でもだから墓標ということなのだと思う。
リンゴ食べれるかはまた別の問題かなあと思ったけど、それよりまだ手前のこととして受け入れられることかなあと思ったりしました。
まとめ
他にも弔いに関するスタートアップの話があったりして面白いです。昨日か、Life Chestというサービスが発表になっていたのでWebちょっと見ていたのだけど、これ微妙だなあと思っていて、今の葬儀屋さんのサービスに不満があるとか、そういうことより、WIREDで紹介されている事例は、もうちょっと死の本質的に抱える問題と、物質的に孕んでいる問題に言及していて、読む価値が本当にあるなと思いました。
どういう風に死にたいかとか、どういう風に死に向かっていくのか、ということとは別に、そもそも未来に死ってどうなるのかってことは、とても興味深い話だと思います。あんまり考えてなかったなあと思った。

加藤 康祐 / 企画・設計
プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。
是非、フォローしてください!
Twitter / Instagram
売り上げランキング: 14,705
100円
フリーランスとして働き始めるってどういうことだったのか?フリーランスとして働くってどういうことなのか?フリーランスが目指すことってなんなのか?5年間の自分の経験から書きました。(2010年執筆)