
『兄 小林秀雄との対話-人生について』 高見沢潤子 – 批評は生活的教養
小林秀雄を最初に知ったのは、多分、高校の国語の授業で、「批評とは人を褒める特殊な技術」というのがやたらと気に入って、折々で読んで来ました。最近読んだ本だと、『人間の建設』という岡潔との対談も面白かった。小林秀雄を面白いと思ってから、白洲正子読んだり、青山二郎読んだりしたので、なんかその年代のモノの考えには少なからず影響を受けている感じはします。
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本書は高見沢潤子さんという小林秀雄の妹さんが、鎌倉に通って兄と対話する形で書かれた本で(ちなみに高見沢さんの旦那さんは『のらくろ』の作者の田河水泡とのこと)、僕自身、読んでる割に読み込めてなくて、小林秀雄の言ってることすらすら説明できるにはほど遠いのですが、この本はそういう意味ですごいわかりやすかった。
読んでて思ったのは、やはりどの時代も同じだなあと。女性の社会での活躍についての話があれば、人を侮蔑するような批判を憂うみたいな話もあるし、なんか今、社会問題とされてることって、小林秀雄の時代から社会問題だったんだなあと思いました。
あと、ユレッジやりながら、Activity-Based Discussionみたいなこと言ってたけど、小林秀雄も、上辺の議論じゃなくて行動が大事ってことを言ってて、それは勿論、先人の西洋の哲学者が言ってることではあるのだろうけど、まあ小林秀雄の言葉はわかりやすいなと思います。
個人的に響いたのは、人は何かを成し遂げるのではなく、熟して実を結ぶもの、というところでしょうか。そういう人生の捉え方は余裕あっていいなあと読んでて思いました。そういうすごいわかりやすいことを言ってるんだけど、ハタと足を止めざるを得ない批評って大事だと思う。まあある意味、耳障りの良い話、と解釈する向きもあるかも知れないけど、世には聞いてるだけで疲れる批判が多過ぎるよなあ、というのが僕のざっくりとしたここ数年の感想です。
まあ批評がどうあるべきかみたいな話は、本来的に人類が話せるようになって以来ある話だから、今色々言ってることって、今みたいに色々なメディアなかったり、住環境や労働環境が違ったとしても、変わる話ではないんでしょうね。だから歴史そのものが古典、ということなのだろうと思うけども。
たまたま見つけて古本で頼んだけど、また折を見て読み返したいなあと思う本です。
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加藤 康祐 / 企画・設計
プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。
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フリーランスとして働き始めるってどういうことだったのか?フリーランスとして働くってどういうことなのか?フリーランスが目指すことってなんなのか?5年間の自分の経験から書きました。(2010年執筆)