2014/8/2

『美しい瞬間を生きる』 向田麻衣 – ある女性の自由との対話

Lalitpurという言葉を僕が覚えたのはつい最近のこと。友人から仕事の相談として舞い込んだ話が、向田さんのプロジェクトのWeb側のお手伝いでした。この本は主に今の話をしている。極めて最近のことが書いてある。荷物を開封したら不良品で彼女がネパールに飛んだ、というのをFacebookで見かけたのはついこの間のこと。Webサイトのもろもろも、僕が実装作業をしたのはついこの間のこと。そういう意味でも生々しい読書でした。

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やっていることを遠目に見ればあたかもスーパーマンのようで、しかしそのディテールに近づけば吹けば飛ぶマッチ棒の火のようで、ただ、そこにあるテクスチャは洗練とも素朴とも違った、何だろう、丁寧に手で鞣された革のような質感がある。楽しげに書いてあるんだけど、なんだか過不足のない湿度がある。そういう湿り気とともに丁寧に紡がれた言葉を追っていくのは、だから生々しい。

と少し読後感で普段と違うテンションで書いてみましたが、この本、面白いです。一気に読んだ。まず写真が綺麗だし(Kindleじゃなくて紙で買った方が良いと思う、この本)、ケレン味なく読める文章だし、彼女のとてもパーソナルな部分から、ソーシャル(つうか社会との接点に対して)な部分まで、聞いていた話と何の齟齬もなく綴られていて、読んでいてしっくり来た。

ところで、ジャンヌ・ダルクっているじゃないですか。隊列を率いて自由のために戦う女性像。そういう側面はありつつも、彼女の言う自由のそもそもって、もっと個人の内在的なもので、あんまり社会から勝ち取る自由、とかじゃないんじゃないかなと思いました。「化粧をすること」自体は男なのでよくわからないし、本を読んでもわからずじまいではあるのですが、それがある種の触媒として、だから極めて内と近い距離にある外因的なものとして働きかける、みたいなことなのかなと。ネパールに雇用を生むことは、もしかしたらその一歩先の話、ということかも知れない。

彼女自身が自由に向きあう対話のディテールみたいなもの、には共感し得るところもあるし、僕も全然違う文脈でそういうことを考えてきた結果、うちのタグラインって「The Incentive Engine」になってるんだろうと思います。

ちょっとセンシティブな感想も混ざっちゃいましたが、とても面白い本でした。良い読書だった。

あと余談。終盤、彼女の地元、石巻のことが出て来て、アイトピア通りのかめ七呉服店のことが書いてある(多分、前に後輩から聞いてたけど、すっかり忘れていた)。なんだか実は彼女とは母校絡みだけでなく、石巻絡みでもちょくちょく名前を聞く機会があって、改めて振り返ると面白いなと思うんですが、かめ七呉服店の2階が今はなき復興民泊で、僕、旅先では勢いで飲んで勢いで寝て、かなりの早起きなので、IRORIもまだ開いておらず町も起きてない時間、かめ七呉服店さんの前のソファが僕の石巻での仕事場でした。本当に真冬でも、そこに座って仕事していた。

かめ七

ここで仕事をしていたら、大阪から来ていたボランティアの若者と話して、ヘンプのワークショップするよと話したら、レゲエあまり聞かないけどBAGDAD CAFE THE trench townというバンドが好きですと教えてもらい、糸島にヘンプのワークショップも兼ねてSunset Liveというフェスに出かけたら、BAGDAD CAFE THE trench townが出演していて、完全に僕にしかわからない理由で一人大興奮した、みたいなことは人生を豊かにしてくれるConnecting Dotsだと思う。

生きたいように生きている、という実感は、自由か不自由かの前に、そういう瞬間にあるんでしょうね。

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