2014/6/20

ワークシフトのその先へ – フリーランスという働き方が目指すもの

フリーランスが楽しいのか、自分が楽しいのか、よくわからない昨今ではあるのですが、何度も書いて来た通り、僕はこの働き方をとても気に入っています。一つには、非常にプリミティブであり、そしてシンプルである。その上で、自由だから、いわゆる世の「普通」とは違うこともできる。そういう感触はあるのかな。その上で、最近、いくつか気になる記事がありました。

どうしてプロに無償で仕事依頼しちゃダメなのか – 原価のある、時間 – What a strange world it is.

「どうしてプロに無償で仕事依頼しちゃダメなのか」ですが、僕どちらかと言うと受ける側の立場で頼む側ではないことの方が多いです。ただ例えばで行くと、自前でやってるWebサイト、ET Luv.Lab.ではご存知の通りインタビューを色々な業界のプロフェッショナルの方にさせていただいていますが、これは無料でお付き合いいただいています。一方、ユレッジでは同じく色々な業界の方のプロフェッショナルの方に原稿をお願いしていますが、こちらは少額ではありますが、費用をお支払いしています。

たまにWebメディアのご相談を受けるのですが、大体、うまく言ってない話は、書きたい人が無料で記事を書く、ということになっている場合が多いです。で、それ本当にそもそも論だと思うんですけど、そこにあるディールとコミットメントってなんなのか。頼む側はディールを作れているつもりで空振りしているケースが多いんじゃないかなあと思う。勿論、うまくやっているところもあって、細かいことは知らないですが、例えばJunk Stageとかはうまく回っているんだろうと思います。

多分、すごく平たく言うと、どういうディールを作って、どういうコミットメントが果たされるか、って話だろうと思うのですけど、ちょっと穿った言い方をすると、仮に「どんなに世の中にとって良いこと」であったとしても、ただ困っているからお願いするだけじゃ、それは借りだと思っていたほうが良いし、そこにコミットメントがきちんと働かなくても文句言えないですよね。ただ、無償でただディールを作る、ってのは基本的に無形の資本の切り売りだと思うので、お金によるディールよりむしろ神経質にならなくてはいけない。

その上で、ディールって与えられるものだけじゃ自分の利益になる、わけもなくて、受ける側が自分でしっかり定義付けして、自分で意味を持たせてやらないと、受けてもコミットメント発揮し得ないと思います。人から頼まれた理由と、全然違う意図で物事を手伝うってことは往々にしてあるんじゃないですかね。自由に仕事をするということは、ある意味、こういう「型」から外れたディールを色々なところに作って、そこへのコミットメントの成果から、新しいディールを作っていくことで、仕事を作るって、つまりそういうことだと思います。そういうことができないとフリーランスはただの「個人で働いてる人」でしかなくなる。

「make it deal.」って歯ざわりの良い言葉ですが、特に無償という時に、そこどう考えるか大事ですよね。こないだ困ってることがあって、ラグビーの先輩方にご相談したら、じゃあ代わりにおまえちょっとデザイン作業して、ということになって、ただ、しょうがねえな、にしないのはディールを作るのがうまい、ということだと思います。本来的にはディールの作り方自体がとてもクリエイティブなことだと思っていて、そうじゃないとリソースが限られている中でバーターとかもできないですしね。割と抽象的な話になってしまいましたが。

やらされ仕事じゃない「自分事」感覚を 柳澤大輔(1) – 山崎亮 〈ハタラク〉をデザインする – Asahi Shimbun Digital[and]

これ、何と言うか、言われたくないですよねw(先輩だけど)。ただ僕も法人化する時に考えていた部分で、ただ、少なくとも週の半分とか1/3とか組織の仕事して、後はフリーランスとか、基本的には一番まずいと思っていて、これでうまくいってない話はしばしば耳にします。フリーランスという仕事の自由さと、そこに伴うある意味のストイックさみたいなものって、完全に自分が自分をコントロールする状態にあって、初めて機能するものだと思います。

あと、できれば仲介業者や制作会社の下請けをせずにダイレクトでクライアントと付き合うこと。手に職があるから、組織のリソースの不足分をフリーランスが埋める、ということはあり得ると思いますが、単価が良くても疲弊する働き方だと思う。人手が足りないからってディールはそんなに魅力的なディールじゃないですよね。そうじゃなくて、そこに自分が入らないと、機能しないことがあるから入っていく、という形で入っていかないと、機能しない。

よく「代替不可能性」ということを言うんだけど、僕のやっているWeb制作のような仕事は、社会では最早コモディティでもあるので、この「代替不可能性」がないと、クライアントとは長く付き合えない。で、それは勿論、手に職系のこともあるんだけど(WordPressできるとか、デザインとプログラミング両方わかるとか)、どっちかって言うと、その手前のコミュニケーションのところで、きちんと問題設定できるかとか、問題の咀嚼の仕方が正しいかとか、それをわかりやすい形でクライアントと共有できるかとか、そういうことだと思います。

フリーランスの多くは手に職系の商売ですが、同時に客商売でもある。僕がそういうことを忘れると、すぐに僕の仕事はなくなると思うし、だから手に職系の仕事をしながら、足で稼いでいる。こないだ、ネットでフリーランスとしては有名な方が、良くない発注元のことをTwitterに書いてたけど、まあなんか、付きあわなきゃいいですよね。で、そうじゃない人と付き合うために、自分の仕事をきちんと設計してば良い。「名前」で仕事しないで、「人」で仕事するんだと思う、多分。

あと、余談ですが、「自分事」ないし「ジブンゴト」という言葉について最近思うのは、大事なのは「自分の仕事」にできるかどうかだと思います。あれ「自分事」とか「ジブンゴト」って言うから、アンニュイな感じになっちゃうんであって、「自分の仕事」にできるか、って話だともっとストレートにわかりやすくなりますよね。で、そういうことに一番自由なのはフリーランスだと思います。

まとめ

なんかここ数日、この2つの記事について書きたいなあと思っていて、結局まとまらずつらつら書いてしまったのですが、そう言えば、先日のWIREDのコーヒー特集でも「フェア・トレード」じゃなくて「ダイレクト・トレード」って書いてあったけど、僕らの商取引も同じなんじゃないかなあと思いますよね。で、「フェアだ」とか「フェアじゃない」とか言ってるのはしょうがない気がして、トレードってだから契約という意味ではディールを作ることに他ならないので、大事なのは「ダイレクト」であること。

できる限り、僕の仕事の周囲ではそういうことにしていきたいと思うんですよね。そういうことの先にフリーランスの、ある意味、働き方の限界の、その先、がある気がしていて、例えば、コンサルタント、と呼ばれるような人以外でも、クライアントとそういう付き合い方できるようになっていけば、もっと色々面白くなる気がしています。

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加藤 康祐 / 企画・設計

1980年1月12日生まれ。フリーランス歴15年。プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。学生時代にデザイン会社でWebデザインを経験。2005年よりフリーランスとしてキャリアスタート。これまでに個人から上場企業まで、100以上のクライアントとのプロジェクトを経験。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの編集・運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート等。趣味はラグビーと料理。Keep the head up, Bind tight & Stay low.

加藤康祐企画設計

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