2007/3/6

「思いつき」に溺れないために

Diggは「思いつき」に溺れないようにするためのツールという言い方ができると思います。Diggに関してはKevin Roseのインタビューを参照いただけると良いと思いますが、対象の記事を集団が評価(Digg)することによって、本当に意味のある記事を浮き彫りにするという試みです。日本では、はてなブックマークが近いサービスを提供しています。

今のCGMコンテンツ群は、ともすれば「思いつきの海」であるかも知れません。勿論、価値のある情報はありますし、有益な情報、優良なブロガーは多いですが、全体量で見るとやはり「玉石混交」という言葉が当てはまるのではないかと思います。

とてもニュートラルに考えると、「思いつき」はブログに書いてみようと思うでしょうが、「アイデア」はちょっと隠しておこうと思うでしょうし、「企画」をブログに載せちゃうようなことはないでしょう。なかなかインターネット上のCGMコンテンツで単体で「体系化された知」を為しているものに巡り合うのは難しい。

他者の「思いつき」を読んでるのだと思うと、ブログやSNSから得る情報というのは大いに疑ってかかってしかるべきでしょうし、それを鵜呑みにしてしまって実社会でのアクションに結びつけると、足下を掬われかねません。

だからDiggのように、「Wisdom Of Crowds」にコンテンツの審議をある程度委ねて、その中から自分に意味のあるコンテンツを選りすぐっていくという、「集合知」を利用した情報の選別は意味があるわけですね。James Surowiecki氏の『Wisdom Of Crowds』では集合知がいかに正しいか、またどういう条件下において正しく機能するのかというところを論証していて面白いです。

これまでのことは他者の「思いつき」に溺れないための話でしたが、同様に自分の「思いつき」に溺れてしまうことも気をつけなければいけません。ブログを書いて色々情報を発信していると、何となく自分が知識人のように思えてくるから不思議です。しかし、所詮は長くても1時間程度で考え記したもの。それもまた「思いつき」に近しいものと考えた方が良いでしょう。

ことに「企画」ということにおいては、自分の「思いつき」に溺れてしまうことは禁物です。長らく企画書を書いて推敲を重ねると、「他に類しない特別なもの」が出来上がったような心持になります。でも企画は企画した本人にとってどれだけの価値があるかということではなく、大事なのは提案する誰かの評価なわけですから、「思いつき」に溺れると、プロジェクト自体が溺れてしまいます。

僕もこのブログをほぼ「思いつき」で書いています。何となく直近の気になった出来事やニュースを思い出しつつ、「思いつき」で書いています。それ自体が問題とは思いませんが、そこに溺れることがあってはいけないと思います。

とは言え、世の中、即興性は大事ですし、噴出してくる思考を記録に残していくことは大事だと思います。ただ思うに、「思いつき」に溺れるのは、「思いつき」の段階で停滞して満足してしまっているからで、それを「アイデア」にし「企画」にできるよう、時間をかけ検討して努力を怠らないというところが大事なのかと思います。「思いつきの流布」はCGMで見られる手軽さと気軽さの副産物ですね。

それでもブログは面白い、SNSは面白いと思います。ただこの文章はしばしばそういうものに必要以上の期待をかけてしまう、自分への自戒の念なのです。

加藤 康祐 / 企画・設計

プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。

加藤康祐企画設計

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