2014/5/6

アイデンティティ・クライシスからの復興 – 思考と実践の反復回路

僕がアイデンティティ・クライシスって言葉を覚えたのは高校の時だったか、大学の時だったか、社会人になってからだったかわからないのですが、明確に覚えているのは、いつだったか、ということで、僕にとっての最初のそれはアメリカ行った時だったと思います。

1つは英語ができなかったこと。2つはバスケ部に入れなかったこと。

向こう行って1年くらいはこれで結構難渋しましたね。してた、うん。ただ、1の解は、最終的に日本語書く授業増えて取り戻し(英語ができるようになったという話ではないのがひどい)、2の解はラグビー始めて一からの出直しみたいになって取り戻し(たまたま、すぐ試合に出れたのもでかい)。

こないだ、企画書をどうやって書けるようになるかということについて、参考書やテンプレートじゃなくて、数をこなしてフィードバックを次に反映する、みたいなことを書いて、結構、僕が尊敬する企画畑の方々に同意いただいて嬉しかったのですが、上の2つも何も変わらないですよね。作文すげえして、練習すごいして、授業でフィードバックもらって、グラウンドでフィードバックもらって。

まあこの頃、伸びたよなあ、と思うわけです。

これ以降、学生時代にボスに出会って全然だめじゃんと思ってそこから伸びたと思うし、少し休んで仕事ないぞとなってからまた伸びたと思うし、そこで行われることって、数をこなしてフィードバックを次に反映するってことだと思うんですよね。Web制作なんかやったことなかったのにすごい量Web触ったし、営業苦手だったのにすごい客先回ったし。

ただ、ほら、そういうのって地味じゃないですか。地味なことを積み重ねるのは存外難しい。じゃあ自分を律する強い精神力がある!とかにもならない。

ここで思い出すのは、よくよく引用している「イノベーションはクライシス・レスポンス」という話ですよね。で、イノベーションってなんぞやというと、数をこなしてフィードバックを次に反映するということをすごい圧縮した結果にしかないんだろうと思うんです。

ただ、それ愚直にやるには何か危機意識というか強烈な問題意識が必要で、個人の場合に言うならば、それは「アイデンティティ・クライシス」ってのは一つのポイントになるのかなと。ちょうど今やってる仕事で、こういうことを専門に人材育成に取り組んでるクライアントがいるんだけれど、ある意味での「身に詰まされる思い」みたいなのないと、人はエンジンかからないですよね。「気づき」とかじゃ変わらない。

これもしかするとリジリエンス考える上での一つのヒントになるのかなあとも思いました。クライシスにあって、状況に適応する、とはどういうことかという話。数をこなしてフィードバックを次に反映する、というのを小さく凝縮して行う、というのは一つの解かなあと。大きく解決はできないってことですね。

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ブログ書くのとかもそう。確実にこのブログでイノベーションは起こってないですがw、細かく思考と実践、つまり考えて書く、んでフィードバックを次に反映する、みたいなことは作業としては大事だし、明日からの仕事を進める上での材料には確実になっている。そういう意味での蓄積であって、情報発信そのものに本来的な目的はないんだと思うんですよね。かと言ってどこかにゴール見えてるわけでもないのが恐ろしいのですが。まあでも文章書くのを初め、運動も、仕事も、働き方も、全部明確なビジョンに向かってとかいう話より、ことに個人の成長の問題としては、アイデンティティ・クライシスから始まって、ひたすら小さく積んで小さく積んで、結果、今があるってことなんじゃないのかなあ。その代わりそのフィードバックループを機能させ続けないとダメですけど。

だからまあ、「復興」という言葉をつけたのだけど、自分の過去を振り返ると、そんな感じなのではリジリエンス、と思った次第。まあまだこれは思考の入り口。

加藤 康祐 / 企画・設計

プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。

加藤康祐企画設計

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