2014/5/6

野菜流通のIKEA化 – 植物工場と野菜流通のこれから

たまたま面白いニュースをみかけまして。植物工場に関わるニュースです。

「半導体工場レタス」7日に初出荷 富士通 – SankeiBiz(サンケイビズ)

富士通が会津若松で低カリウムレタスを栽培するというニュース。

ローソンが秋田に植物工場 ベビーリーフを生産 – SankeiBiz(サンケイビズ)

ローソンで秋田でベビーリーフを栽培するというニュース。

これちょうど植物工場ということについて、学びがあるなと思ったので場合分けして考えてみたいと思います。

需要が限定的である場合の機能性食材の供給

富士通が会津若松で栽培する低カリウムレタス、僕は知らなかったのですが、「カリウムの摂取制限のある透析患者や腎臓病患者でも安心して食べられるのが特徴」なんだそうです。つまり特徴としてはかなり限定的でもありますよね。その上で、雑菌の少ないクリーンルームを活用、とあり、これは半導体製造に欠かせないもの。そういう意味で、テクノロジーにドメインのある企業が、野菜の生産に試験的ではあるにしても、取り組む意味はあると思います。自社ノウハウが転用できるわけですよね。

前にユレッジで児玉龍彦さんが富士フィルムファインケミカルが1年で敷地の除染を実行した話をされてましたけど、そういう技術の活用というのが、今まで僕らが想定していなかった分野へ、というのはあるのではないかと思います。そう言えば、富士フィルムってアスタリフトというアスタキサンチンのサプリメント事業してますよね。アスタキサンチンは紅鮭に多く含まれる成分として有名で、僕も関心があり面白い経路で入って来る事業者もあり得るんだなと思ったのを覚えています。

需要を自社でコントロールできる場合の自社生産への一元化

次にローソンですが。これはニュースにもこれと言って特別なことは書いてありませんが、ここ数年で野菜棚もできましたし、どの店舗でどの野菜がどの程度の頻度でコンビニで売れるのか、というのは既にデータがきちんとあるはず。コンビニエンスストアって、日本で一番細やかな流通小売網の一つですよね。そういう意味で、飲食店チェーンがやるより、一歩進んだ話になるんじゃないかとか。

ということは、つまり、販路を自社で抱えているローソンのようなケースを考えた時に、そもそも農業の問題点って大規模流通の需要に同じ値段と流通量で供給が応えなきゃいけないってところが大きいから、植物工場は巨大流通小売が自前でやるのが一番理に適ってるのかも知れないと思いました。捌けるって確信があれば、スケールメリット効かせて、コスト圧縮できますよね。自社内で完結するSCMみたいなことになるイメージ。コンビニの野菜棚が20品目くらいだとするとそれを埋めるように植物工場化を自社ブランドで統一するという進め方は、事業採算性を考えても成立するんじゃないかと思いました。まあでも、一方でこないだ大地を守る会のトマトがローソンに並んでるのも見たので、どこまで振るのかはわからないですけど。

まとめ

ざっくりと農業における植物工場の必要性、みたいなことはイメージあったんですけど、このニュース2つを読んで、どういうプレイヤーが、どういう商材を開発して、植物工場をビジネスで機能させるのか、もうちょっと踏み込んで考えると、面白いなと思いました。既存事業からの展開を考える時に、技術なのか、流通なのか、労働力なのか、何か強みがないと、これだけ新しい分野でしかもそれなりに規模感があり、現状コストがそれなりにかかるところで、今後に繋がっていくようなスキーム組み立てられなさそうな気がします。まあ外野からの想像ですが。

題名にIKEA化って書きましたけど、すごい大きな流れはファッションのSPAみたいなことが、野菜の世界で行われていくのかなあと思うんですよね。既にそういう取り組み行われてるけど、植物工場というのが今の世の中にフィットしていくということは、つまりそういうことになるのではないかと感じました。植物工場については賛否両論あると思いますが、食料生産のセーフティネット的なことも含めて、重要なイノベーションの一つかなあと思います。ただ、その上で、多分、商売として回るところでしか本格的な普及は進まないですよね。

と考えるとな、という。食べることに感心は強いので、植物工場になればいいじゃん、みたいなことを考えているわけではないですが、自然栽培の野菜とか、オーガニックな食べ物とか、いう一方で、この辺もリアリティのある世界だと思ってないと、ちゃんとバランス取れないと思うんですよね、という話。

加藤 康祐 / 企画・設計

プランナー、デザイナー。加藤康祐企画設計代表。Webデザインを入り口に、2005年よりフリーランスとしてのキャリアスタート。主な仕事としてベンチャー企業でのサービスのUXデザイン、独法との防災メディアの運営、社会的養護の子どもたちの自立を支援するNPOのサポート。ラグビーと料理、最近イラスト。

加藤康祐企画設計

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